皇位継承順位73位
勇者は魔王を倒しました。
囚われの姫を救う勇者。英雄を彩る物語。よくある物語。
1人の侍女を与えられた。
それで終わりだった。
父には1度も会った事はなかった。
王都から遠く離れた、他国の王族や有力者をもてなす為だけに作られた街。
普段そこに住んでいるのは
最低限の管理と掃除のための奴隷が数名、私、侍女だけだった。
自然と侍女とも仲良くなった。
とある村の大家族の五女だそうだ。
似た境遇だね、2人で笑い合う。
ここの暮らしは退屈だったが、不幸ではなかったと思う。
時折現れる王族や有力者の相手は少し疲れるけれど、辛いと思ったことは無い。
奴隷たちとも少し打ち解けた。
いつしか一緒に食卓を囲うようになった。
唐突に小さな幸せの日々は終わった。
ガタン!大きな音で目が覚める、深夜だというのに侍女は何をしているのだろう。
そうだ、後ろから脅かしてやろう、そう思いゆっくりとドアを開ける。
違和感はあった、血なまぐさい臭い……散らかった通路。少し怖かった。でも、好奇心には勝てなかった。少しずつ歩を進める。
リビングの暖炉の火に照らされた侍女の影が見える。
なんだ、やっぱり侍女だ。安堵し、やはり脅かしてやろう、ゆっくりと影に近づく。
おかしい、侍女は私と同じくらいの背格好だ。
影は
ゆうに3mはあった。
次に目が覚めた時。
私の目にうつったのは神殿のような壁と……揺れる天井だった。
勇者は魔王を倒しました。
勇者の救ったお姫さま、王も忘れたお姫さま。
侍女の記憶
気配を感じた訳では無かった。ただの勘、そうとしか言いようがなかった。
狙いはきっと姫さま、賊に私は勝てないだろう。せめて、せめて逃げる時間位は……
だが
何もかも甘かった。
私を見上げる姫さまの悲痛な顔。
あぁ……姫さま……どうかご無事で




