違和感
魔王が勇者に倒されました。
意志を託された。それは……すぐに遺志へと変わった。
「私は勇者さまの妹の娘になります。お見知り置き下さい賢者さま。役職は……魔法使いです」
「なるほど……、親戚筋であったか」
勇者さま、私はこの先、この方と……あの方と、上手くやっていけるでしょうか?自信、ないです。
「……おい、どうした?もう着いたぞ」
「…………あ!すいません、ちょっと考え事してました。本当に、目と鼻の先なのですねこのダンジョン……」
「当然だ。魔王の城の守りの要の一つであるぞ。近い方がコアの魔力も供給出来よう」
眼前に広がる切り立った山脈、一際高い山の中腹に入口はあった。
魔王城前、通称「煉獄館」砦ダンジョンである。魔王城に侵入不可の強力な結界を張るための「ダンジョンコア」と呼ばれる魔導コアを守るために建設される。ある種人工……魔工……?のダンジョンである。
「ダンジョンコアも無いダンジョンに入る事になろうとはな、いっそ入ったついでに設置してやろうか……」
「滅消しますよ?
「毎回脅す時は造語なのか……」
「………………女子の間で流行っているんです」
「恐ろしい女共だな」
入口に降り立つ。賢者は自身の魔力で、魔女は杖を使って飛行していた。
「さて、我も細かな内部構造まで把握はしていないぞ」
「そうなのですか、少し期待していたのですが……仕方ないですね。目的地は最奥部ですし、なるべく最短で進みましょう」
ダンジョン内に入ってすぐに異常に気がつく。マナの瘴気で溢れているのだ。
「エーテル体にとっては厄介だな。こうも胸が苦しくなるものとは……」
「瘴気……どうして……」
「コアがマナを集め結界を張っている都合、行き場を喪ったマナが溢れる事はある。が、こうも早く……我も覚えがない」
賢者さまはともかく、私はマナの耐性に関してはほぼ0だ……あまり長居は出来ない。本当に最短で進まないと……。
「あまり急いて焦るとマナの保護魔法に支障が出るぞ。大まかですまぬが我の方がこのダンジョンには詳しい、最奥部なら12層だな……前衛は我が行こう」
「そ……うですね、ありがとうございます」
経験と、観察眼だろうか、賢者さまは会って間もない私にまで気を使っている。私は……自分の事ばかりだ。悔しい。
煉獄館6層目
特に支障なく進んでいる……かな?そう思っていた。
「女……違和感に気付かぬか?」
「……あ……え?」
「既に我の知る12層目にいる魔物より強い……ここから先……何が出るか分からぬ、慎重に行かざるを得ん」
……全く気づかなかった、賢者さまも1.2層にあった余裕が全くない。神経を張り巡らせ、襲撃や奇襲に注意しているようだ。
奥に……『ソレ』は居た。
「な………………女!撤退だ!!」
「イイイイぃぃぃぃ!!!!!!!」
「ぁ……え?ぐっあ!」
ズッ
右目と……右耳!??やられた……?!何に?それに、あれは……あれは…………ナニ………………?
深淵に、しんえんに、シンエンにいます。
覗かないで、のぞかないで、覗きます。
深えのま物のきろ
出会ったら逃げて、出会ったら逃げて、出会ったら逃げて。すぐに逃げて、早く逃げて、どこに逃げて、逃げてにげてニゲテ。
こんにちは




