深翠の魔女 1
魔女の瞳は翠に輝いていました。
それは、魔力を豊富に蓄えている証でした。
私は人間が嫌いだ。
父の顔も、母の顔も、ぼんやりとしか覚えていない。一度も私を見てくれた記憶が無い。
いつもいつも記憶の中の両親は
体の弱い兄の世話。
ガリガリの
皮を被った骸骨のような兄
兄とはたまに目が合った。
ぎょろぎょろとしたあの目が
たまらなく怖かった。
私はいつも家畜の世話、火の番、言葉を発しなくなって久しいおばあ様の世話。
水を汲みに行くと石を投げられる、翠色の瞳が珍しいらしい。魔女だ魔女めと石を投げられた。
少し魔女らしい事をしてやるとすぐに逃げていく。
両親が私の顔を見てくれたのは、私が■■歳になった時だった。
王に見初められたからだ、見初められたと言っても、たった一夜を共にしただけだが。
金貨1枚、私の価値。
私を見てくれた。私を見てくれた。私を見ている。「よくやった」と産まれて始めて褒めてくれた。
優しかったのは
声を掛けてくれたのは
手に持つ金貨を奪うまでだった。
私の生活は変わらなかった。
私は人間が嫌いだ。
人間嫌いの魔女。
深翠の魔女は勇者を王都から魔王城の麓まで守り支えました。
魔女の記録
翠の瞳の人間などいない。存在しえない。
マナに耐性のあるものは瞳が黄緑がかる事がある、と言われているが。それも微々たる差である。
マナに耐性がある事と、マナを蓄える事はまるで違うのである。




