魔族シトルベルト
勇者は魔王を倒しました。
勇者が倒すべきは魔王なのでしょうか。
魔族シトルベルトを捕縛、拘束し尋問した時の尋問官の遺した手記の一部をここに記す。
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魔族は非常に狡猾です
魔族は非常に残忍です
魔族は人語を話します
魔族は
信用してはいけません
ひとをさらってたべるから
ひとをだましてわらうから
ひととはなしていないから
魔王という存在は
魔族の王という意味ではないそうです
人の王とは全く違うようです
人の王がそうであるように、魔王も複数存在します
倒しても倒してもまた新たな魔王が顕れます
その度に勇者が魔王を倒します
勇者が
魔王を
勇者の意味は
魔族は笑います
魔族は歌います
魔族は
魔族の目的は
天使の
天使さまの声が聴こえます。
魔族の目的は女神を殺す事です。
神話の時代に討ち漏らした奴らを殺す。
そして女神を顕現させ、蹂躙し凌辱し殺す。
殺す。必ず殺す。
魔族は人類の敵、皆殺しにしないといけません。
ああ、シトルベルトさま、私と共に贄となり糧となりましょう。
以上
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魔族シトルベルトは死亡、魂の消滅を確認
尋問官は魔族に跨り絶命
死亡した尋問官が隠すように持っていた手記の回収を試みるも多層に渡る呪印が施されており、手に取った兵とその周囲の兵数名、一部の空間が消失
12名の神官と27名の魔法使いによる解呪作業を行い、73日目にしてようやく、ようやく回収した手記の内容がこの程度とは……死んだ兵と神官、魔法使いがうかばれぬ……多大な犠牲をはらい拘束した魔族も失うとは……
……
何故体が遺っている?
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王都へ報告
北部魔王領傍、大魔回廊砦の消失を確認
奴隷205名、兵士102名、神官12名、魔法使い26名、連隊長4名、部隊長1名、尋問官1名の所在も不明。
数ヶ月前に捕らえたと報告のあった魔族シトルベルト、またはその他の魔族の攻撃の可能性が高いと思われる。
勇者は魔王を倒しました。
勇者が倒すべきは魔族なのでしょうか。
魔族について 1
神話の時代、ドコカから顕れ、創世の女神さまと争った存在。魔王に仕えるわけでもなく。だけれど魔王と共にある存在。
魔物を産み出し、世界に放ち。
マナを産み出し、世界に放ち。
魔族はこの世界で自らの種族を増やす術を持たないそうです。
魔族はその死に際、内包したマナが暴走し、爆発する事が知られています。
魔族もまた、人知れず、少しずつ、数を減らしているそうです。




