伝説の騎士
勇者は魔王を倒しました。
魔王討伐の偉業の一端を担った老騎士さまの話。
勇者の剣になりたかった。
絵本の中の英雄譚、勇者の傍らに常に在った騎士さま
盾となり、剣となり、勇者と共に数多世界駆け巡る大冒険の日々
憧れた、憧れだった
常にお傍に、常にお傍に、常に
何年も何年も鍛錬した
北方の領内で誰にも負けない強さを手に入れた。
いつか、勇者さまと共に、魔王討伐の悲願を、憎き魔族どもに正義の鉄槌を、私のこの両の手で成し遂げる。
そう思っていた。
そして
私は歳を取りすぎた。
人の命の短さの幾許たるやを知らなかった。
私は縋り付くかのように傭兵となり、戦士となり、王城内の指南役として、未だに勇者さまを待っていた。
とある日、勇者さまは現れた。
みすぼらしい、ボロ布のような服
いつ手入れをしたのだろうか、ボサボサの髪
眼に光なく、虚ろに王を眺めている
勇者……?
私の思い描く勇者、英雄譚に語られる英雄とはかけ離れていた。
だが私はついていく、勇者と共に、夢に見た冒険譚の中の住人に、この人と共に……!
この勇者こそ1000年成し遂げる事の出来なかった魔王討伐の英雄である、私はそう信じている。
勇者は魔王を倒しました。
勇者と元伝説の騎士の物語は今始まったのであった!
戦士の記録
戦士は王都から500マートル程先にある聖森にて戦死、王都から出て数刻程の出来事であった。
スライムの酸による損壊が激しく蘇生は困難。戦闘後には少しの骨が残るのみであった。
骨は丁寧に全て集められ、聖森にある霊廟へと丁重に葬られた。
勇者パーティ、1人目の犠牲者、王都の英雄、伝説の騎士。




