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妖異変超  作者: 青赤黄
人災の始まり
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変編1話 10月21日『反抗期』

 きょーうはだーいすきな人と一日中遊ぶの!

 来なくていい男がついてくるけど、どこかでまけば問題はないし、それに2人っきりになったらいろんなことできるし、今日はいっぱい可愛がってあげよう。

「とかなんとか、色々考えていたのに」

 小さく、目の前を歩くお母さん(クソババア)に聞こえないようにポツリと小さく、怨念を集め、憤怒で血を沸騰させ、殺せるなら今すぐにでも殺してやりたいと言う気持ちを後ろに隠しながら呟く。

「で、なんのよう?クソババア。これでクソみたいな用事だったらぶっ殺すから」

「もー何ぃ、反抗期なの?かーわいいわねぇ、クリス、あれ今はアリスだったかしら?それともリンダ?エリス?ティノ?」

「どれでもない、日針 縁連だ。クリスでもエリスでもアリスでもリンダでもティノでもノイでも、レイでもホークでもサリアでもジルでもカノでもない。私は今の体と、日針縁連という名前が好きだ。だからその名前で呼ばないで」

「えー、なんでお母さんの付けた名前を嫌うのー」

 両手をグーにして口元に持っていく。

 いわゆるぶりっ子扱いされるポーズだ。

 そのポーズは神楽ちゃんがやれば発狂もんに可愛いけど、それはもう、見た瞬間この世の楽園を見ることになるだろうけど、可愛いすぎて自分の理性がぶっ飛ぶこと間違いなしだが、

 47億年前から生きてるババアがやっても、いくら体が20歳の大学生の体でも、中身を知っていれば気持ち悪いだけだ。

 それに、どうせ出ていく時にはその体を壊して出ていくんだろう?

 本当に、早くこいつの核を潰さなければ、大体の場所はここ一万年で残り二か所まで絞り込めてる。

「それで、用っていうのはなに、もしかしてクラス全員失踪はあんたがやったの?」

 隠しても隠しきれない憎悪を滲ませて、目の前のやつに聞く。

「違う違う。私はそんな面倒なことをしてないよ、私がここにきた理由はね、簡単なことだよ。お知らせを伝えにきたんだよ。別の世界のものがね、こっちにきちゃってね、それを偶然たまたま拾っちゃった子がね、それの力を使って暴れてるのよ、だからお母さんとしてはそんな危ないところにいてほしくないなあって思って」

「場所は?」

 聞きたくもないことを聞かなくてはいけなくなってしまった。

 作りたくもない恩を作ってしまった。

 恩なんて返さないが。

「磊落高校からすぐの街よ」

 ピルルルル、ピルルルル。

 ポケットの中のスマホが音を立てて震える。

「はい、日針です」

「変異王、ちょっとやばいことが起こってます」

 スマホの着信をよく見ることもなく出ると(大切な存在である神楽からの着信音は変えているのですぐに分かる)相手は『合離鬼(ごうりき)』だった。

「やばいこと?」

「はい、ビルが切り取られて空に浮かんで、何人か落下死しています」

 危ないところっていうのは、今『合離鬼』のいるところのことか。

 なら多少は安心できる。

「『合離鬼』その落下死しそうな人を助けなさい。どうせ近くに『治師鬼(ちしき)』と『巴鬼(うずまき)』もいるんでしょ?『治師鬼』は治療、『巴鬼』はいつも通り、2人のサポートね」

 そう言って、電話を切る。

 あの子たちは体の歳で言えば上なのだが、敬語などは一切使わない。

 あの子たちにも人としての、高田空としての、中井陸としての、低木海としての生活があるはずだが、あの子たちはもう変異体となっているから私の指示には従わなくてはいけない。

 そこに少しの同情はするけど、他にはなんとも思わない。

「それじゃあね、私、いくところがあるから」

「前から言ってるんだけどぉ〜人間って守る必要あるかしら?人間ってゴミよ?クズでそこらへんの塵芥よりも役に立たない、世界を壊し続けて最近ようやっと守ろうとかなんとか言ってるけど、それだって自分達のためで本当に地球のことを思っての行動じゃないし、もし地球を思っての行動だったら許してあげてもよかったんだけど、それに、私がちょこっと力を上げたらそれだけで調子に乗って自分を1番だと思い込む愚か者しかいない。もう馬鹿馬鹿しくて仕方がない」

 そいつ、ワールドと自分で名乗っている奴は、自分の体ではない女の体の指を、一本一本、ゆっくり、拷問するように折ってゆく。体の意識はワールドにあるが、痛覚等のものは全て体を乗っ取られている本人のものだから、拷問というのも間違いではない。

「それに人は感情の振り幅がありすぎる。憎悪を募らせて異形とかいう化け物を作り出すし、憎悪だけじゃなくて悲しみとか孤独とか、そんな感情からも生み出してるしさぁ」

 呆れたような声を出して、目から光を消したワールドは、借り物の体の口の中に手を入れて人の体ではあり得ない力を出し、奥歯、おそらく親知らずを指で引き抜く。それだけでは終わらず、2本3本と抜いていく。

 7本抜いたところで動きを止めて、歯を横に並べる。

 私はその人を助けない。ワールドを体から外に出すのは本人しかできないから。

「それにさぁ、最近だと妖怪も馬鹿になってきてるしさぁ、昔いた八首(やつくび)大蛇(だいじゃ)とかはよかったのに今だと人間と番になってるのもいるし、そろそろ何組か殺してもいいんじゃないかと思っててさ。狐火扇火、狐火春火(はるか)。狐火髪火(はつか)。あとー、人外の己龍と神楽のカップルと「はあ⁈」

 私はワールドの言葉に叫んで反応する。

「己龍と神楽が付き合ってるぅ⁈な訳ないでしょ!なんであんなゴミみたいな男と神楽が付き合うとかそんな話が出てるんだ‼︎あの子は私のものなんだよ!他の誰にもやる気なんてないし‼︎誰かにやるくらいなら・・・・・・ッ‼︎」

 

「どうしてやろうか‼︎」


「考えてないのね」

 チッ、こいつに突っ込まれてしまった。

 仕方ないだろ、殺すなんてやりたくないし、いざとなったらやるけど、何もしてない人を殺すのは抵抗がある。

「あはは!おもしろ〜」

「うるっせー、クソババア」

 くそっ、図星つかれた時ボキャブラリーが少なくなるのも腹立つけど、それよりだ、早く行かなくちゃ、今『合離鬼』のいる場所は今日神楽が行っている場所だ。

 己龍はどうなろうが知ったことじゃないが、神楽は助けないと。

「行かせないよ」

 『死地並べ(しちならべ)

 ワールドが呟き、周囲の土がマグマへと、文字通りの死地に変わる。

 『空機くうき

 呟くが、なんで言わないといけないんだろうと思う。

 空の飛行機。

 機には飛行機という意味があるとグー○ル辞書で見た。

 それを使って空に飛ぶ。

「さすがー、避けるねえ」

 ワールドが自分の体を燃やしながら手を叩くが、その手は炭化して脆くなっていて、一回叩いただけで、なんの音も立てずにボロボロと崩れ落ちる。

「それじゃあ、今日はここまで、バイバーイ」

 手を振ることもできずに、足が溶けて、膝が溶けて、下半身が溶けて

「助けて」

 自分の意識を外に出すことのできた女が一言言って、頭までマグマに浸かる。

「ごめん、助けれないよ」

 『死地点抜島(しちてんばっとう)

 死地を日本という島から抜く。

 それだけでマグマはなくなり、マグマがあった部分が、大穴になる。

 埋めるならどんな言葉がいいだろう。

 あとで考えよう。

 今は神楽を助ける方を優先しよう。


 空に浮いたまま、移動して、街に着く、そこには確かに普通ではあり得ないことが起こっている。

[日本よ、私のねがいを叶えろ}

 願いか、私なら神楽ちゃんと付き合うだけど、この人は何を願うんだろうな。

 意外と私と似たようなものだろうか。まあいい、とりあえず、崩れたビルをどかそう。

 岩を削る鬼『削岩鬼(さくがんき)

 それを五体くらい作り出す。見た人の記憶はあとで零火にでも消してもらおう。

 さーてと、神楽ちゃんはどっこかなぁ。

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