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妖異変超  作者: 青赤黄
感情大戦
31/39

感情大戦 対憤怒 14時29分

 酸素を動かし自分達5人の通れるだけの空間を作る。具体的には口と鼻にだけ酸素を残してあとは酸素をどかして爆発できないようにする。

 俺の限界的にできるのは10分で、憤怒の元に行って帰るので4分もかかってしまうから攻撃するのは6分しかできない。

 そして、その一回目の攻撃を仕掛けてきたが、なかなかに順調。猩猩(しょうじょう)の能力がやはりいい。他に連れてきた3人も、回復を遅らせる。触れている仲間の能力効果を二倍にする。仲間の行動速度を二倍にするという能力を持った3人で、どれだけ早くとも回復を遅くしているから俺を含めた4人も攻撃してちょっとはダメージを与えられた。多分もう治っているのだろうが。

 それでも、今憤怒の偉業はこの場に釘付けにすることができている。憤怒は追ってきているが俺たちが円形に移動しているから憤怒も円形に移動していて、この場から少しも動いていない。

 だがこのそれも時間の問題でしかなく。こっちが先に憤怒を殺すか、こちらの体力が尽きて憤怒に殺されるのが先か、そういう耐久戦でしかない。

「よおし!もう一度行くぞ!残る奴らも行く奴もやることは同じだ!ぜってぇ勝つぞ!」

 おー!と叫ぶ声を背中で聞いて、5人で憤怒の足元まで走り、攻撃を始める。俺を含め猩猩以外の攻撃はすぐに治っていくが、猩猩の切り付けた部分だけはずっと塞がることなく血を噴き出し続けている。

 そして痛みにうめき、怒っているように爆発音が大きくなって、地響きも大きなものがあった。

 外にいて憤怒から逃げている奴らのことが気になるが、こっちも酸素を自分や他のやつに送っていないと酸欠で死ぬから、あまり外のことを考えている暇はない。

「あっ、あの、あの、すみません、今いいですか!」

 全員が攻撃の手をやめて、あり得ないものを見る。

 そこには近くの高校の制服を身にまとい、両手を胸の前で組んで不安そうな目でこちらを見てくる少女がいた。

 考えるまでもなく、ただの少女じゃない。

 ただの少女がこんなところまで来れるわけがない。

 なんらかの能力を持っていて、ここまで来れたのだ。

 なんの能力を持っているのかも重要だが、敵が味方かが今は1番重要だ。

「一旦外に出るぞ、君は俺たちの前を歩いて外に出てくれ、いうことを聞かないなら攻撃する」

「で、ですよね。大丈夫です。外?に出ましょう。え、えっと、走ったりした方がいいですか?それとも走らない方がいいですか?」

「走るな」

 は、はい。

 少女がほっとしたように息をついて、歩き出す。

 歩きは遅くもなく早くもなく、つかず離れずの距離で、なぜこっちの歩幅に合わせられるのかと気になったが、考えている暇はない。

 外に出て、外で逃げに徹していた奴らが、逃げながら遠くを指差して何かを言っている。

 指を刺している方を見ると、そこには大木があった。

 本当に大木だ。雲を突き抜けて頂点が見えないような、そんなふざけた大きさの大木。

「なんだ、ありゃ」

「わたしにもわかりませんけど、あれ見てウジウジしてる場合じゃないと思って話しかけました。本当はもう少し悩んでいたかったんですけど、それだとダメかなって思って、それにわたし、今雇われてる感じで、お金もいっぱい貰ってて、だから」

「ちょっと黙ってて」

 長々と喋る子の言葉を遮って大木のことを考える。

 あれは一体なんなのか、どうして生えたのか。

 それを突き詰めようとして、今はそれどころじゃないと思い返して、走って全員との合流をしようとする。

 少女のことは知らない。今は警戒だけをすることにした。

「まっ、待って、待ってください!ちょっとでいいのでわたしの話を聞いてください!」

 少女の言葉を無視して走り、仲間にあれなんだと訊いたところで、

「劫の話を無視するなぁ!」

 叫びながら異常な速度でこちらに突っ込んでくる女を見つけ、全員が立ち止まり、武器を構える。

「なんだぁ!やるってのか!いいぜ!全員切り刻んでやるよ!」

「刹那ちゃんダメ!」

 後ろから聞こえていた少女の声が届くと同時に、俺たちの間を縫うように、地面が割れる。

 いや、割れたんじゃない、切り裂かれているんだ。

「刹那ちゃん来るの早いよ。まだちゃんとお話ししてなかったんだからね。それに今のは刹那ちゃんが悪いよ。初対面の人にあんな態度を取ったら怒られるし、今ここは戦場なんだから当然攻撃されるよ」

「だってあいつら劫の話を聞かなかったんだよ!そんな奴ら生きてる価値なんてないんだよ!」

「刹那ちゃん、そんな言い方ダメだよ。次そんなこと言ったらしばらく話してあげないからね」

「えっ、そ、それはやだ!わかった、やめる、やめるから」

 刹那と呼ばれている女は、首を横に振る。

 なんなんだあいつらは、どういう連中なんだ。

 敵か?味方か?

「あの、すみませんが、刹那ちゃんがきちゃったので、ほ、本当は先に確認をとっておきたかったのですけど、すみません!手柄を横取りすることになっちゃいますけど許してください。一千万円もらってるんです。刹那ちゃん、あっちの爆発してるやつだけ殺して」

「りょーかい!後でいっぱいチューさせてね」

 刹那という女が言い終わると同時に、近づいてきていた憤怒が消滅する。

 全身を爆発させて、体全体がなくなったのだろう。そうすれば爆発して自爆して死ぬ。

 でも、そうするまでに、どのくらい小さくしなくてはいけないんだ。

 それを一瞬でやるだなんて。

 ほんとうになんなんだ。

「なぁ、あんたらは味方か?」

「えーと、わたしは、誰の敵にもなりたくないです。ごめんなさい、煮え切らない答えで」

「わたしは劫の悪口を言ったり、無視したり、劫の害になるようなことをしたらすぐに敵になるよ」

「それじゃあ、お前たちに依頼したのって誰だ?」

「あっ、えっと、それは言っていいことなのかな?あの人のことだから言っても特に怒らないだろうし、むしろニコニコ笑って許してくれそう。でも、もし言ってダメだったらどうしよう、ダメだったら私たちに酷い目にあうだろうし、でも考えすぎかな、でももし考えすぎとかじゃなかったら」

「金渡してきたやつはリオルってやつで、昔ちょっとあったやつだよ」

 ぶつぶつと呟いていた少女の代わりに刹那が答え、少女があっ、と声を出す。

「ねぇ刹那ちゃん、ダメだったらどうするのさ。私たち怒られちゃうよ」

「その時は殺せばいいでしょ?」

「確かに殺せるだろうけどやめてほしいなぁ、僕の残機あと少しで無くなっちゃうんだよー」

 後ろから声がして、振り向くと誰もおらず、

「この子たちは回収していくねぇ」

 また後ろを向くと、そこにいたはずの二人の女と、声の主もいなくなっていた。

 きっとあの声の主はリオルと呼ばれていたやつだろう。

「なんなんだあいつは」

 さっきから同じようなことばかり言っている気がする。

「お前、もう少し語彙を増やした方がいいと思うぞ」

 猩猩が、やっと喋ったと思ったらそんなこと言ってきた。

「わかってるよ。俺の語彙力の無さわよー」

「くくく、そりゃいい、自分のことを知っているというのはいいことだ。無知の知ってやつだ」

「笑うなよ〜」

 俺がいうと、周りの仲間がケラケラと笑い出した。

 さて、帰ったら他の人にあの3人のことを言わなくちゃな。

 他の奴らと一緒に笑いながらそう思った。

 異形狩り第一、ニ部隊&(ひいらぎ)こう&椿刹那 対 憤怒の異形

 14時36分 決着 勝者異形狩りチーム

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