感情大戦 対憂鬱 14時23分
朱雀院の血統の血液には不死鳥の血が混ざっている。
それにより、朱雀院鳳凰の傷の治りは普通の妖怪の10倍はあり、その治癒能力は血液に宿っているため、他人にかけることで傷を治すことも出来る。
手首を爪で切り、流れる血をぼたゆきに飲ませる。
それだけでも、折れた指を治し、傷ついた体を治すこともできる。
ぼたゆきの妖術は氷。その威力は炎系妖術を得意としているはずの狐火家の長男、狐火零火に圧倒的に劣ってはいるものの。自分を中心に200メートル以内をマイナス200度まで持っていくことは出来る。
人であれば凍死してしまう寒さの中でも、鳳凰は自分の体温を上げ、憂鬱は元々冷めきっている体なので、凍ることなく5メートル四方の正方形の中を動き回っている。
地面を蹴り憂鬱に炎を浴びせ、見えない壁を蹴り反転し憂鬱の頭を蹴りあげる。
蹴った瞬間に無抵抗の相手にそんなことをしてしまった自分の存在が嫌になり、どこかに隠れたい。それが出来ないのであれば死んでしまいたくなる 。
腹部に氷の剣が刺さり、すぐに抜けていく。
氷の剣を持ったぼたゆきは何も無い天井を蹴り、針のような大きさの氷のつぶてを20作り出し、憂鬱の腹部を横薙ぎに切りつけ、通り抜けた瞬間に憂鬱の瞳につぶてをぶつける。
その行動はぼたゆきに自尊心と意思の消滅を強制し、ぼたゆきは手に持つ折れた剣の切っ先を首に向け、
剣を首に突き立てるより先に左半身を燃やされ、身体を焼かれる痛みで意思を取り戻し、強制力を振り払う。
口の前に出された血の流れている手首に吸い付き、口の中で鉄の味を味わっている間に、左半身の火傷は跡形もなく消える。
「君たち、すごいね。僕にこれだけ攻撃してるのにまだ死なない。いや、死なれても嫌なんだけどさ、僕が殺しちゃったって思って憂鬱になるだけだから。それにしても、僕の攻撃は少しも当たらないよね。君たちが早すぎるのもあるし、僕がくそざこなのもあるんだよね。はぁ、憂鬱だよ」
「お前すげぇ喋んじゃん。つーか、てめぇは弱ぇかわりに能力量が多いじゃねぇか、羨ましいわ!」
「本当はハイスペックなのに、自分は何も出来ないって思ってるやつ。ムカつく」
「うっ、うぅ、ご、ごめんね。こんなゴミみたいな僕なんて生きてる意味ないよね。さっさと死んでしまいたいよ。でも、死ぬのは怖くて、人は殺したいんだ。こんなクズやろうでごめんなさい」
憂鬱はそう言って自分の能力を2つ使う。既に使っている能力と、使った能力を合わせ、これで13個目だ。
憂鬱の使った能力は、
1、『教会造り』効果、自分の防御力を10倍にする
2、『不可視の立方体』効果、最大5m四方の正方形の不可視の空間を作り出す能力。内側から壊すことは難しい。
3、『避けるまでもない』効果、10秒間どんな攻撃も当たらない。再使用までの時間は5秒。
4、『視認力』効果、相手の動きがどれだけ早くとも追い続けることができる。
5、『回斬波』効果、半径10メートルに円形の斬撃を放つ。
6、『聖人の共食い』効果、自分または同類の血肉を食らうと、全ステータスが10パーセントアップする
7、『暴全自死尽』効果、自分に攻撃してきたものの意志を奪い、自殺させる。
8、『空全絶誤』効果、自分を中心として半径5kmの人間に自分の存在価値を無いものと誤認させる。
9、『時間異識』効果、自分から半径5m以内での時間の流れを10分の1にする。
10、『二次再害』効果、自分のした攻撃がもう一度起こる。
11、『鏡面越しの悪意』効果、自分のした攻撃が反転して同じタイミングで起こる。
12、『体幻総魂』効果、相手から体の感覚を全てなくし、代わりに相手が望む感覚を与える。
13、『水面の月』効果、相手がみたい幻想を見せる。
これらのものであり、12と13以外の全てに鳳凰とぼたゆきは対応してきた。
だけど、さすがに『体幻総魂』と『水面の月』はやばい。
痛みがあればあの2つの幻覚はどっちも解ける、だか、このふたつを組み合わされると、痛みを感じない、自分の望む1番幸せな幻を見ながら死ぬのだ。
そんな幸せな死に方。羨ましいよ、妬ましい。
だから死なせてあげなーい。
『創造機関』
で歯の鋭い犬を50匹くらい作りだして、
「行け!わんこたち!やーっておしまい!」
言いながら『絶対両断』を使いつつ腕を振り下ろし、憂鬱の『不可視の立方体』を切り裂き、
「あっ、やっべ!2人の幻覚解くの忘れてた!」
重大なことに気づいて『全てを水に流す』を使い2人の幻覚を解いた時には、もうがぶがぶされていた。
「なになになになに!何この犬たち!なんなのさ!」
憂鬱が叫んで足をブンブンと振り回して噛み付いてくる犬を追い払おうとするが、上手くいかずに犬に押し倒されてがぶがぶされる。
「痛ってぇ!なんだこの犬ども!俺の足に噛みつきやがって!私は美味くねぇぞ!」
鳳凰は言って、犬の口を無理やり開けようとする、だが、我がわんこ達はその程度の力では開けることは、あっ!顎ちぎられた!なんて酷いことをするんだ!
こんな酷いことをするなんて、君にはこれを見せてやる。
「・・・・・・。・・・・・・あ」
なぜかぼたゆきに撫でられて幸せそうにしているわんこ達に命令する。
わんこ達はちゃんと言うことを聞いて、ぼたゆきを押し倒し、顔を舐める。
「あっ!なにしてんだ!クソ犬ども!ぼたゆきは俺んだぞ!」
鳳凰がぼたゆきに近ずこうと足を動かすが、犬がズボンの裾を噛んで引っ張り、転ぶ。
それを見て笑っていると、わんこ達が死ぬ。
約半分は焼かれ、もう半分は切り裂かれて死んだ。
うわぁお、すごぉい。
そう思いながら見ていると、鳳凰がぼたゆきに近ずいて、自分の服でぼたゆきの顔を拭いて、首筋に噛み付く。
見ている限り、ぼたゆきは痛そうな顔をしてはおらず、抱きつかれた時の衝撃で後ろに下がり続け、鳳凰を宝物を見るように観て、宝物に触るように頭を撫でる。
いいなぁ。羨ましい。
僕もあんな感じに、幸せになってたんだろうなぁ。
他人事のように思いながら、憂鬱が鳳凰にナイフを投げるのを見て、防御無視の炎が憂鬱の体に覆い被さるのを見た。
憂鬱が死ぬまでに2秒はかからず、だが、距離が5mであったならその距離を埋め、回復能力のないぼたゆきではコンマで死ぬから距離を取ってからやったんだろう。
優しさなのかなんなのか、ナイフもドロドロに溶かしている。
その結果憂鬱は、鳳凰の背中に触れそうになり、消滅した。
それを見届けてから立ち上がり、元の世界に一旦戻ろうとしたところで、
「お前までいんのかよ、ワースト1位」
声をかけられた。
「やぁ、久しぶりだね、八首くん、How are you?」
「残念だったな、僕はあの時からずっっっっっっと、封印されてたから英語はあんまり分からねぇよ、I want to kill you」
「わぁ!上手上手、よく覚えたね、1日しか無かったでしょ?」
「僕には1日あれば大抵のことはできるようになるんだよ」
「いいなぁ、それぇ、僕なんて京年かけてもできないものがあるんだよー、なんだと思う?なんだと思う?」
「はしゃぐなよ、ひたすらに殺意沸くんだけど」
「うはぁ、右手に防御無視の炎出しながら言われると説得力が違うなぁ、ほんと、鳳凰のことが大事なんだね」
「大事?まぁそうだな、あいつの血肉全部食えば今まで以上に不死に近づくからね」
ほんと、鳳凰たちの記憶改竄しといて正解。強敵を倒したと思って安心してる奴ほど殺しやすい人はいない。
「ねぇ、知ってる?」
僕が言う。理由は一瞬でも気を引くため。
大蛇が炎を僕に当てようとして、僕がそれを避ける。僕が僕とタイミングを合わせてそれぞれ10万のずつ攻撃系能力を使い、支援系能力をそれぞれ2万ずつ使う。
その攻撃を全て防がれて、僕が2人死ぬ。
その間に僕は鳳凰とぼたゆきの2人の下にマントルまで繋がる穴を作ることに成功している。それで、僕が1人、あの二人と一緒に落ちて死ねば、引き分けで終わる。
僕はなんとなく穴を掘りたかったから掘っただけで、偶然まだ掘ってないところを別の僕が戦っている間に壊して落ちるだけ、僕は関係ない。
さあ行けボク!死んでこい!
こっちはこっちで死んでくるぜ!
「ヒャッハァ!死にさらしやがれ、クソザコナメクジがぁ!」
「あららぁ、やっばり負けたかぁ、ざぁんねん」
僕達が死んだ。ざっと4人。
目的の鳳凰殺しも当然失敗。
あの2人はうまくやれてるかなぁ、うまくやれてるといいなぁ。それにしても本当に懐かしい。
じゃぁねぇ、そろそろ僕も行くかぁ。
「じゃあねみんな、行ってくるよ」
億を超える、関係者の墓に言って、世界と世界を繋ぐ隙間を潜る。
朱雀院鳳凰&吹雪ぼたゆき 対 憂鬱の異形
14時26分決着。
勝者、鳳凰、ぼたゆき。
神のバグ 除外0位リオル・クライシス 対神のバグ序列二位 八首大蛇
14時26分決着。
勝者、大蛇




