肆
「カイト〜‼︎」
眠い…。
「コラァ‼︎起きろ、カイトォ‼︎」
どわっ‼︎ イタタタ…。俺はベッドから落とされたようだ。荒っぽい起こし方だ。
「やっと起きたか‼︎ ほら、着替えて朝飯行くよ‼︎ クシナ、これくらいやらないと起きないよ‼︎」
「は、はい…」
クシナが起こしててくれたのか。俺があまりにも起きないからミナセに助けを求めたのか。
ククッ、とシンコルがベッドの縁で笑った、ような気がした。
「知らない天井だ」
今までいた世界ではない、別の世界にいることを実感させられる。兄貴が救った世界。
そして、今日は《神降りの儀》。どんな儀式なんだろう。
「カイト様、こちらにお着替えください。私は外でお待ちしておりますね」
「あ、クシナさん。カイト、でいいよ。様付けは慣れなくて」
「かしこまりました。では私もクシナ、とお呼びくださいね。カイト…さ……」
俺が様付けで呼ばれることより、クシナが俺を呼び捨てにする方が慣れなさそうだ。
シンコルが肩に乗ってきた。名前ないと不便だな。うーん…。
「よし、お前の名前は《リク》にしよう。兄貴が空、俺が海、で、お前が陸‼︎」
シンコルは首を傾げた。不満なのかな。
用意されていた服に着替えた。村人も着ていた服だ。とても軽く、風通しも良い。
「行くよ、リク」
クーッ、と鳴き、肩に乗った。お、ちゃんとわかってくれたかな?
「すっかり仲良しですね」
「リクって名前にしたんだ。兄貴は空、俺は海、で、コイツが陸」
「よろしくね、リクちゃん」
リクはクーッ、と返事をした。人間の言葉がわかるのかな?
外に出ると、ミナセさんが待っていた。
「アンタもなかなか起きないヤツだね。兄弟はしょうもないとこ似るんだねぇ」
「すみません…」
そうだ、兄貴も朝は弱かった。なかなか起きないことで部活内でも有名だったらしい。
二人共、朝まで起きていたのに元気だ。
「さ、朝飯だ‼」
空を見上げると、今日も雲一つない青空だ。飯屋に入ると、既に賑わっていた。あの料理の腕前ならこれくらい混んでも当たり前か。席に付いてすぐ、ミナセさんがカウンターに何かを注文をしに行った。
十分ほどで、朝食が運ばれて来た。
「今日は何かしなきゃいけないことってあるんですか?」
「神降りの儀は夜暗くなってからだから、それまでは自由にしてていいよ。カムイ殿の中でも見てみたら?」
そういえば、あの建物の中はどうなっているんだろう。
朝食が終わったら、カムイ殿に行ってみよう。
カムイ殿—神の怒りを鎮める社、だそうだ。かなり古い建物のようだが、手入れがよく行き届いているのか、修繕された跡などもある。
中に入ると、ひんやりした空気で涼しい。
ドーム状の天井いっぱいに絵が描いてあり、それは人とマガツカミの戦いの絵、とのことだった。
マガツカミ—角が生えた巨大な獣のようなものが描かれている。兄貴はあんなのと戦ったのか。
奥には人型の男女の像があり、その一対の像は最初の神契り、《イザナギ》と《イザナミ》の像、だそうだ。
その像に向かって、老人がブツブツ呟きながらお祈りをしている。
「イザナギ様とイザナミ様の像に、マガツカミのお怒りを鎮めるよう、祈りを捧げているのです」
ん? 確かイザナギとイザナミって最初に日本を創造した神じゃなかったっけ? 日本史は得意ではないが、それくらいは知っている。しかし、この世界と向こうの世界では、神話が違ってもおかしくはないが。
「イザナギとイザナミは神様ではなく、神契りなの?」
「はい。伝承にはこう残されています。マガツカミが空から堕ちてきてナカツクニ中を荒らしまわり、ナカツクニが絶望で包まれた時、東より一組の男女が現れ、マガツカミを倒した、と。しかし、マガツカミは復活し、それから何度倒しても復活してしまう…」
何度も繰り返す絶望—マガツカミとは一体なんなんだ?
「マガツカミってどんな…ヤツなんだろう…この絵みたいにでっかいバケモノなのかな?」
『バケモノではないっ』
突然の大きな声。声がした方を見てみると、鬼のような形相をした老人が仁王立ちしていた。
「マガツカミ様はバケモノなどではないっ」
一歩一歩、怒りを踏みしめながらこちらへ向かってくる。
「…俺、なんかマズイこと言っちゃった?」
「あの…」
クシナが気まずそうに何かを言おうとした瞬間、老人が俺の前に立ちふさがった。
「マガツカミ様は、昔の民の愚かな行為を罰するため降臨された、神の怒りの化身じゃ‼︎ 神の現し身なのじゃ‼︎ それを事もあろうにバケモノなどと…罰が当たるぞ‼︎ 神の怒りが収まり、民が許された暁には、マガツカミ様は帰天なさるじゃろう。この小僧が…マガツカミ様が罰してくださるからこそ、神の怒りが鎮まるのじゃ‼︎」
怒号が響き渡った場内は静まり返っていた。他にも何人かお祈りをしている人がいたが、好奇の目でこちらを見ている。
「マガツカミを倒して、倒して、何度倒しても復活して、じゃあいつになれば許されるんですか?」
昨日から頭の中に引っかかっていた疑問が口に出てしまった。
「それは…神の怒りが鎮まったらじゃ‼︎」
「マガツカミを倒して、鎮まるんですか? 何度も復活してるっていうのに。ずっと昔から何も変わってないですよね」
俺の一言が、老人の怒りを爆発させたらしい。神への冒涜じゃ、この村から出て行け、などと騒いでいる。クシナが俺の腕を引っ張り、外に連れ出した。
「カイトさん、マガツカミ様は、災いの元凶ですが、神の意思なのです」
「神の意思って言うけどさ、ナカツクニの神の意思は人を不幸にすることなの? 神の怒りとか言ってるけど、そんな神ならこっちから願い下げだよ」
ふとクシナを見ると目を丸くしていた。
「あ…ごめんね、俺は信仰が薄くて…俺がいた世界じゃ神様は…もちろん信心深く信仰している人もいるけど…それは特定の神様じゃないというか…いろんな神話があって、いろんな神様がいて…」
慌てた俺を見て、クシナは苦笑いをしながら、
「カイトさんの世界がどうかはわかりませんが、ここでは気をつけてくださいね」
ナカツクニの人々はとても信心深いのだろう。村のど真ん中に神を祀る建物があるくらいだし。
「まだ神降りの儀まで時間あるな…ミナセさんのとこ戻ろうか」
この後何が起きるのか、神降りの儀はどんなものなのか。
俺はこの世界についてほとんど知らない。兄貴はこんな不安の中、神契りになってマガツカミと戦ったのか。俺がそんな状況になったらどうなるだろう。
「カイト、行くよ」
ミナセさんが立ち上がり、一枚の紙を手渡した。これは《神符》というもの出そうだ。神降りの儀が始まる。
さっき説明を受けたが、火をつけた祭壇の周りに座り、口に神符 をくわえているだけらしい。なんてこともないが、その時は神への祈りを捧げていなければならないそうだ。
神に祈ると言われても…兄貴が今どうしているのか、くらいしか祈りようがない。
「よし、この辺りに座ってて」
キャンプファイヤーのように木を組み、火が轟々と燃え盛り、周りに四人の神主のような人たちがブツブツと何かを唱えている。
「そういえばクシナはどこに? さっきから姿が見えませんが」
「クシナは神の巫女だよ。祭壇で神に踊りを捧げるのさ。ほら、来たよ」
さっきまで一緒にいたクシナとは雰囲気が全然違った。白い薄手の羽衣を纏い、両手にはカスタネットのようなものを持っていて、両手首と足首には、鈴が付けられている。その鈴は動くたびに澄んだ音を鳴らしている。
「始まるよ、神符くわえて」
地面に膝を付き、口に神符をくわえた。神に選ばれると、その紙が燃えるらしい。大丈夫なのかな、顔、火傷とかにならないだろうか。
服の中で、リクが震えているのがわかる。部屋で待っていればよかったのに。
「リク、クシナが踊っているよ」
ひょこっと、首元から顔を出した。小さな声でクーッと鳴き、踊るクシナを見ている。
鈴の音が気に入ったのか、服から出て足元に座り、首を左右に揺らしている。
炎と鈴の音の中、クシナ達七人の巫女は踊り続けた。
三時間程経っただろうか。踊り続けていたクシナが、バタッと倒れた。
「クシナ‼︎」
急いで駆け寄ろうとしたが、ミナセさんに止められた。
「なんでですか‼︎ 倒れたのに‼︎」
ミナセさんは首を横に降り、大丈夫だ、と言った。数人の村人が担架を持ってクシナの元に駆け寄り、運ばれて行くが、他の巫女は踊り続けている。
「巫女は倒れるまで踊り続ける。一人倒れても他の巫女は踊り続けるんだ。巫女が一人も踊れなくなったら、その日は終わり。ほら、紙くわえ直しなさい」
俺は釈然としないまま神符をくわえ直し、巫女が踊るのを見続けた。
結局、それから一時間程で巫女は誰もいなくなった。
その夜は誰の紙にも変化は起きず終いで、神降りの儀の一日目は終わった。
神降りの儀の後、クシナの元を尋ねようとしたが、神降りの儀が始まってからは誰とも会ってはいけないらしい。
その日は早めに床に就いた。
次の日の神降りの儀も、何も起きなかった。
結局、三日目、四日目も何も起きないまま、終わった。何の変化もないまま、時間だけ過ぎていく。今年も出ないのではないか—村の空気も暗く、重くなっている。何も起きないまま儀式が終わるたびに、村人の表情から笑顔が消えていった。
巫女にも疲れが見え始め、それが更に村の空気を重くしていった。
五日目。
その夜は少し肌寒かったが、燃え盛る炎が周囲を暖めていた。
今日も何も起きないまま、四人の巫女が運ばれていった。クシナはまだ踊り続けているが、息も絶え絶えに踊り続けている。
神契りが一人でも生まれれば、神降りの儀は終わると聞いたが、踊り続ける巫女の願いは神に届いているのだろうか。
『…ガ……イカ?』
「‼︎」
何か聞こえた…男の声だ…。
周りを見回しても他の人は何も変わりない。炎で暖かいはずなのに、背筋に寒気が走る。足元にいたリクが何かに怯えるように、服の中に入って来た。
周りの空気が重くなり、耳鳴りがする。呼吸が乱れる。息ができない。
気が遠くなっていく…目の前が真っ暗になった。
『力…ホ…イカ?』
…さん‼︎ カイト‼︎
誰かに呼ばれ目を覚ますと、見慣れ始めた天井だった。
「カイト‼︎ 大丈夫か⁈」
右に視線を移すと、ミナセさんが俺を呼んでいた。
「昨日のことは憶えてるか? 突然倒れたんだぞ、お前」
「男の声が聞こえて、でも何を言っているかわからなくて、そしたら急に寒気と耳鳴りが…息もできなくなって…気がついたらここに」
あれは何だったのだろうか。男の声…何を言ってたかわからないが。
「今日は止めておくか?」
昨日みたいなことになるかもしれないという不安はあるが、あの謎の声が何なのか知りたい、という好奇心が勝っていた。
「大丈夫です。出ます」
ミナセさんは、やれやれという表情をしながらポンッと頭に手を乗せ、頑張れ、と言った。
数時間後。
六日目の神降りの儀が始まった。昨日ぶっ倒れた俺は、村人たちの奇異の視線を浴びた。
始まる直前、クシナの表情は曇っていた。きっと疲労の頂点なのだろう。ただ神符をくわえて座っているだけでも疲れるのに、踊り続けているクシナや他の巫女の疲労は尋常じゃないはずだ。
俺は、頑張れ、と心の中で呟くことしかできなかった。
どれくらいの時間が経っただろうか。
既に五人の巫女が姿を消し、残るはクシナともう一人の巫女だけだった。初日こそ一番最初に倒れたが、後半になるに連れ、長く踊っていられるようになったようだ。
今日も神は来ないのか、という空気が漂い始め、ついにもう一人の巫女が倒れ、残すはクシナ一人になった。
その直後、一陣の風が吹いた。
リクが怯え、服の中に入ってきた。その瞬間、一閃の雷光が空を切り裂いた。さっきまで静かな空だったはずなのに、いつの間にか雲に覆われていた。周囲がざわつき始める。
カッ—また雷光が辺りを包む。今度は目を開けていられないほどの閃光。ところどころから悲鳴が聞こえる。村人が叫ぶ。
「逃げろぉっ‼︎ マガツカミだぁぁぁ‼︎」
村人が叫び、逃げ惑う。神降りの儀は悲鳴に包まれた。
「キシャアアアアア‼︎」
何かの鳴き声。それが聞こえた方を見上げると、赤黒く禍々しい鳥が羽ばたいていた。
これがマガツカミ…
「きゃああああ‼︎」
マガツカミの下に視線を向けると、クシナが倒れ、襲われそうになっている。そのバケモノはクシナの方に降りて行こうとしている。このままだと…クシナが危ない‼︎
「クシナ立て‼︎ 逃げろ‼︎」
背後でミナセさんが叫ぶが、恐怖で腰が抜けたのか、クシナは立てない。
「クソォッ‼︎」
ミナセさんは武器を持っておらず、近くにあった収穫に使うナタを手に取った。
俺はマガツカミの気を逸らそうと、足元に転がっていた棒きれを投げつけるが、棒きれはパァンと弾けてしまった。
「グルルルル…」
唸り声を上げ、こちらを見た。真紅に光る眼が俺を捉えた。身体の向きを変え、こっちに向かってきた‼︎
「カイト‼︎ だめだ‼︎ 逃げろ‼︎」
俺は人がいない方に向かって走り出した。やつは俺を追いかけてきている。
後ろを見ると、ミナセさんがクシナを立ち上がらせているのが見えた。
全力で走るが、ヤツは速く、すぐに追いつかれ、足で転ばされた。
「キシャアアアアア‼︎」
勝利を確信した雄叫びだろうか。直後、鋭い鉤爪を立てて俺を襲う。
パァン‼︎ という衝撃音。俺は吹っ飛ばされた。マガツカミを見ると、俺がいた場所に、銀髪の男が立ち、マガツカミの鉤爪を受け止めている。
どこからか現れた銀髪の男は、俺を助けてくれた。
『力ガ欲シイカ?』
昨日のあの声だ‼︎ 今度はハッキリと聞こえた。力が欲しいか、と。
目の前にいる銀髪の男が鉤爪を受け止めたまま俺を見た。鮮やかなマリンブルーの瞳が俺を見ている。また頭の中で声がした。
『力ヲ求メル人間ヨ、我ニ名ヲ捧ゲヨ…サスレバ、神ノ力ヲ授ケヨウゾ』
この声は…目の前の男の声なのか……? 力…今はあのバケモノをなんとかする力が欲しい…‼︎
「…カイト。俺の名はカイトだ‼︎」
俺は自分の名を叫んだ。
『我ガ力ヲ使エ、カイト……我ガ名ハ…スサノオ…』
足元に落ちた神符が燃え上がった。そして、銀髪の男は光に包まれ、光の筋になり、俺の身体に突き刺さる。
マガツカミは光で目が眩んだのか、地面にのたうちまわっている。
『あれは厳密に言えばマガツカミではない。マガツカミの思念体だ。あれならば今のお前でもなんとかなるだろう』
—なんとかなるって…
『我が力を具現化しろ。今は細かいことを教えている暇はない。無理矢理引っ張り出してやる。少し、痛むぞ』
—っつ‼︎
右腕が捻られるように痛む。直後に一閃の光。その光が両刃の剣になった。
—おぉ。これで戦えってことか?
『そうだ、身体の動きは俺が手助けする。さっさと倒せ』
目が治ったのか、マガツカミが立ち上がろうとしている。
—雑な神様だな。よっ…
リクを服から出し、隠れているよう放した。
マガツカミに向かって一歩踏み込む。身体が軽い。そして速い‼︎ マガツカミまでの三メートル程の距離を一瞬で詰めた。
「おぉ‼︎ なんだこれ‼︎」
『今だ‼︎ 翼を叩き切れ‼︎』
「せあぁぁっ‼」
掛け声とともに剣を真下に振り下ろす。振り下ろした刃が翼に食い込み、切り落とした。ギィィ、という悲鳴を上げ、翼が池面に落ちる。落ちた翼は黒い霧となって、霧散した。
「もう、いっ、ちょっ」
振り下ろした刃を、次は腹部を切り上げる。グギャアアアア…という悲鳴とともに、マガツカミは全身が黒い霧となって爆散した。
本当に、なんとかなった…。
『だろ? なんとかなっただろ』
息が上がっている。手には汗、心臓の鼓動は二〇〇メートルダッシュの後のように激しい。自分の身体じゃないように動いた。足の踏み込み、そして、この角度で剣を走らせればいい、とわかっていたかのように。
—ありがとう、スサノオ。
『後で細かいこと教えてやる』
これが……神の力……。
「カイトさん‼︎」
クシナとミナセさんが駆け寄ってきた。
「カイトさん…よかった…」「カイト、大丈夫か?」
俺は無傷です、と伝えると二人はその場に崩れ落ちた。
「村のみなさんは…大丈夫でしたか?」
「怪我人は誰もいない。大丈夫だ。ところで…カイト、それはなんだ?」
ミナセさんは俺の右手の剣を指差していた。
「これは…スサノオに借りた」
二人とも頭に《?》が浮かんでいる。
『それは《アメノムラクモ》という剣。デカいバケモノから頂戴した』
「アメノムラクモ、って剣らしいです……まだ細かいことは教えてもらってませんが」
『俺から説明しよう』
例の男の声とともに、半透明の銀髪の男が現れた。
『俺はスサノオ。ナカツクニに住まう神だ。今しがた、この人間と契約した』
そういえばスサノオが光になる寸前、神符が燃え上がるのを見た。
地面にハラリと落ちていた神符をリクがくわえて拾ってきてくれた。神符には見たこともない文字で何か書かれている。
『それはお前の名が刻まれている。よこせ』
リクがスサノオに渡すと、神符はスッっと消えた。
『俺は疲れた。後は明日話す。しばし休ませてもらうぞ』
とだけ言い残すと、スサノオと剣は神符と同じように消えていった。
「カイト…お前、神契りになったのか…?」
「そうみたいです」
「スサノオ様…って最強の武神じゃないか‼︎ カイト、アンタ見直したわ‼︎」
俺の頭をぐしゃぐしゃとしたミナセさんの目には涙が浮かんでいる。
「カイトさん、おめでとうございます‼︎」
クシナの目にも涙が浮かんでいる。
「先程アマトに現れたマガツカミは、このカイト殿によって消滅した‼︎ そして、カイト殿は神契りとなられた‼︎ 降臨された神の御名は、スサノオ様である‼︎」
再び集まった村人の中心で、村長が叫んだ。
村人たちは歓喜の声を挙げ、宴が催されることとなった。
俺は宴に参加せず、リクと部屋に戻ることにした。
主役のくせに、とミナセさんに言われたが、それどころではないくらいの疲労を身体に感じていた。
部屋に戻り、ベッドに横になる。
「本当に神契りになってしまった…リク、どうする? 俺はマガツカミと戦うのかな」
リクは首を傾げた。
—スサノオ…確かヤマタノオロチを倒した荒ぶる神…明日色々と聞いてみよう。
俺が神契り…嘘みたいだ。兄貴と同じ道を辿っている。




