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FAKE HERO  作者: 月江堂
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初対決?

 アキラとミカの奮闘が行われている間も、相変わらずジョー1とジョー2の戦いは続いていた。


 いろいろと因果のある二人であるが、今はジョー1がクローンジョーを名乗り、ジョー2がケイオスレッドとしてこの場に立つこととなった。


 そして、アキラが違和感を受けた通り、ケイオスレッドの方が大技を最速で繰り出し、クローンジョーが小技でのコンビネーションからくる、崩しを皮切りとした攻撃を展開する。


 以前までとは全く正反対の戦いの組み立てとなっている。本人たちは気づいていないようであるが。


「くらえッ! メガスマーッシュ!!」


 ケイオスレッドの渾身の一撃を、クローンジョーは正面から受け止めた。


「お前……怪我をしているな」


「くっ……」


 以前のメガデス侵攻のおり、アキラを敵の攻撃から守るためにその刃を受け、腕に深い傷を負っていた。


「舐めるなよ、俺を倒したいなら十全の状態で来い!」


 ローキックからのコンビネーションパンチ、そこからさらに体を返しての左ボディブロー。ジョー1は一撃必殺の攻撃で相手を無力化することよりも確実に内臓にダメージを与え、徐々に戦う力を奪う。


 そしてジョー二人はスタイルは違えども戦闘能力にほぼ差はないのだ。決定的な一打を貰ってしまった今、ジョー2の勝利は薄くなった。そして、戦力が落ちたからこそ差し込まれてさらに戦力を削られる。


 一方その頃、ニンジャダイナソーの一団と戦闘していたミカとアキラは思わぬ援軍に助けられていた。


「この街をお前らメガデスの好きにはさせない」


 黒い兵装の男がそう言って右手を上げるとその指先にまばゆいばかりの光球が現れる。プラズマボールを操る能力を持つヒーロー、クロノワールである。


「いつだったかばかうけで助けていただいたお返し、ようやくできそうですわね」


 もう一人、露出度の高い過激な衣装に身を包んだ女性ヒーロー、エルヴェイティの館林エポナ。今日はスタッフは連れていないようなので、どうやら純粋にキャプテンケイオスを助けに来たようだ。


「ニンジャダイナソー達は俺が引き受ける。エポナ、君はケイオスレッドを助けに行ってくれ」


「了解しましたわ!」


 エポナは人間とは思えない距離の跳躍を見せ、ジョー達の間に割って入った。


「いつかの借りを返しますわ、ケイオスレッド」


「うん……うん?」


 ジョー2とは初対面である。


「館林エポナか……強敵だな」


 逆に今対峙しているクローンジョーことジョー1の方は何度かエポナと会っているし、なんなら戦ったこともある。


「行きますわよ」


 時間差をつけてエポナのグラインドクロー、指先から放たれる金鞭(かなむち)。厚さ一ミリの鉄板をコンマ一秒以下で切り裂く高速グラインダーが飛んでくる。


 ジョーはそれを難なく躱しながら前進。それを迎撃するように二発目、三発目の爪が発射されるがそれも紙一重で躱す。


 それと同時にすでに爪を発射しているエポナの人差し指が微細に振動する。


 その振動が増幅され、グラインドクローに()を与え、振幅が発生して動く。高速で進むカッターには触れるだけで装甲を切り裂く力がある。


 しかしジョーはそれもお見通しとばかりに最小限の動きで躱す。


「くっ⁉」


 これが見切られると思っていなかったエポナは慌てて両手を出し、全ての指先からグラインドクローを射出する。一メートルほどに開いた間隔で、逃げ場のないように撃ち込む。これはさすがに躱されまいと思っていたが。


 ジョーはさらに加速した。手元すぐ近くにまで肉薄し、グラインドクローがまだ束になっている指先のすぐ近くで薙ぐように全てをまとめて掴み、思い切り引き込むと同時にエポナに体当たりを食らわせたのだ。


「きゃあッ⁉」


 強い衝撃を受けて、エポナはジョー2を巻き込みながら後方へと吹っ飛んだ。


「そんな……まさか。この私のグラインドクローを初見で躱すなんて……」


 初見ではない。


 なんなら直接戦ったことがあるのだ。その時に対策も考えていたのだろう。


「まるで、どういう攻撃が来るか全て予測できていたような迷いのなさですわ……」


 予測できていたどころか知っていたのだ。


「初めて戦った気がしませんわ」


 初めてではないのだ。


「……考えるより先に体が動いた。まるでこの後何が起こるか分かっていたかのように。これがデジャヴというものか」


 ジョーの方はジョーの方で以前戦ったことをすっかり忘れているようである。それであの動きはまた凄いが。


「ぐっ……数が多すぎる!」


 クロノワールのプラズマボールは強烈である。直撃すれば死を免れることはない。しかしやはり状況によるのだ。以前戦ったようなティラノサウルスタンクは巨体を持て余し、機動力に劣っていたため簡単に倒したが、今のニンジャダイナソーシリーズでそれに匹敵する大きさを持つのはニンジャステゴサウルスくらいであり、主力は大型犬程度の大きさの素早いニンジャラプター。


 ニンジャランフォリンクスなどのさらに小型で素早い手合いも多いのだ。一対一ならばともかく多対一では分が悪い。ミカやアキラとの連携もあまりよくない。


「ぐおっ⁉」


 とうとう敵の攻撃が肉薄する。ニンジャラプターの大顎がクロノワールの腕に噛みついた。大型肉食獣のような口腔力はないものの、激しく体を揺さぶって噛み千切ろうと力をこめてくる。


「おのれッ!」


 アキラがタフノートで殴りつけてようやくニンジャラプターはその顎を外したが、ダメージは深刻だ。


「く……」


「大丈夫か⁉」


 右腕の感触を確認するクロノワール。


「プラズマの発生器をやられた……ッ」


 どうやら主力武器を破壊されてしまったようだ。


「下がって! スパイダーウェブ」


 小型、中型のニンジャダイナソーをまとめて投網のようにミカが拘束する。おそらく長くはもたないだろうが。


 しかし、いざ後退しようというときに不意に影が差し、暗くなった。


 上空。何か巨大なものが。ニンジャステゴサウルスの必殺技ステゴシュリケンが飛来する。


「まずいッ!!」


 アキラが前に出て両手でタフノートをかざす。しかし耐えられるのか。数トンにも及ぶ回転飛翔体の直撃に!


 ズウン、と落下音が響く。


 万事休すかと思われたが、ステゴサウルスはアキラ達からわずかに離れた位置に着弾した。


 何が起きたのか。


 ステゴサウルスの体の側面は大きくクレーターができている。


「ど……どういうつもりだ、クローンジョー」


 アキラを救ったのは、クローンジョーの飛び蹴りであった。

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