仕事始めのおはようございます。
船は揺れる。結構揺れる。振動もする。
夢へ誘われるまでに、かなり苦労した。
ベッドの中にあった結構高そうなSONY製のヘッドホンで、[上を向いて歩こう]を流しつつ、目を瞑った。
...........
トゥルルルルゥ.トゥルルルルゥ.
うるさい。まったくうるさい。なんの音なんだ。
気付いたら、剥がれている掛け布団を被り、やっと眠りについた。
ドン!
「失礼しま~す」
「せんぱーい、おきてください。もうお昼ですよー0000ですよnoonですよー』
......
布団の外から白山の声が聞こえてくる。
起きなければならない時間らしい。
しかし、体中の細胞たちはまだ寝ていたいとストライキを起こして瞼すら開けることが難しい。まして、声も出せそうにない。
やっとの思いで、布団から手を出し返事を試みた、もちろん『もう少し寝かせろ』という内容だ。
布団から伸びた手は、寝る前にはベッドに存在していなかった『スベスベ』『サラサラ』少し冷えた感触を覚えた。
しばらく触っていたい感触だ。心地よいなで心地。きめ細やかな質感。端まで行くと枝分かれした小さい手が?手が、、手か、
「せんぱーい、どーこ触ってんですか、そんなに私の腕が気に入りましたか?」
目が覚めた。はっきりと、全細胞が活発化した。
とっさに布団から冒険へ旅立った、手を引き戻そうとする。
しかし手首がホールドされている。戻せない。
手首が気持ちいい。
布団の中の片腕で寝顔を直し、布団をめくる。
「まぶしっ」
ベッドに手をつき、俺の手首をしっかりと掴む人がいた。さっきから声を掛けていた白山だ。
「おはようございます。せんぱい。」
「おはようございます」
「せんぱい暖かいですね。」
「そりゃー、布団の中にいたからな、寝てたから、」
スッと手首が解かれる。あぁ
「じゃあせんぱい、起床です。ベッドから出てください。顔洗ってください。歯を磨いて、着替えて、ランチを食べてきてください。」
太陽のように眩しい笑顔で、わかりきった順序を話し、部屋から出ていく
「はい」
ぱっ、パッ、ぱっと済まして、部屋を出ると、わざわざ白山が扉で待っていた。
「待ってたのか?すまんな。」
「だってせんぱい、食堂の場所わからないかもしれないし、その後だって話してないとわかんないかもでしょうし。」
心配してくれているようだった。まあ、学校からの付き合いだった先輩がいきなり記憶を無くせばそりゃ、心配するだろうな。
「かも、じゃなくてわからない!だな(笑)」
「シロは意外と面倒見がいいんだな、助かります。ありがとう。」
少し照れながら、喜びながら
「いえいえ!そんなことないです。当たり前のことをしてるだけですから」
「では、食堂です」
「食堂は船内への出入り口すぐそばのココです。」
自分の部屋の6倍ほどの広さだ。椅子の数も12席程、机には食事が用意されている。それぞれの皿に厳重にラップがされている。動揺対策だろうか。
12席のうち既に2席分を残して片付けられているようだ。
「みなさんはもう食べ終わってるみたいですね、私達もさっさと食べますよ〜」
からあげ定食は、美味しかった。
衣は先程までラップをされていたとは思えないほど、サクッとしていて、冷たくなってしまっても美味しく感じた。
お米がススム。
サイドのポテトサラダもきゅうりの食感が程よく、マヨネーズが多めでありながら酸味もあり、丁度いい味付けだった。
「なーに、せんぱいゆっくり食べてるんですか、食べ終わったらさっさと行きますよー」




