ネギの後遺症?その1
「席に着きなさい」
そう崇先に言われ、皆がガタガタと音を立てながら自分の席へと戻る。
「もう小学生じゃないんですから、言われなくても席に着くように」
「先生ぇ〜...せめて中学生と比べて下さい」「中学生でも出来ますよ?」
嫌味を言われて反論した生徒が、逆にもっと大きな屈辱で返される。
まぁ「げぇ〜」とか言って他の生徒からも笑いが起きたので、当人としては本望だろう。
「やるやん。東京の人間もお笑いが分かってるんか?」
「ソレは崇先が優しいからでしょ?」「いやセンスあんで?!」
まぁ強いて言うなら、アソコで椅子から転げ落ちてたら満点やったわ...とか思っても言わない。
そんな事したら絶対小陽は喰い付いてくる。そう思って崇先を立てたのに
「ウッソ〜!?いつもは〝ボケて突っ込まれたら、ちゃんとオチまでやれ!〟とか言うやん?今だったら椅子から転げ落ちろとか?」
「ほ〜ぅ?ソレは俺も思たで?やっぱさおリンは生粋の関西人やな♪」「さおリンやめて」
恵子が要らない事を言った。その所為でまたコイツに絡まれる。
だがそんな事よりも
バン!バン!バン!
「痛っ?!」「ん!?」「ホゲッ!」
「当たり前ですが、お喋りも止めて下さい」
崇先に日誌で叩かれた。背表紙じゃないだけ今回はマシだなと思うより
「ホゲって何よ?」「確かに」「叩かれるって分かったさかい咄嗟に出たんや!」
ツッコミが先に出てしまう。ソレに頷く恵子と答える小陽だが、その視線の先で
「ん゙ん゙っ!」(((ビシッ!!!)))「...フン」
崇先が睨みながら振り返って来た。だが居住まいを正した私たちを見て、冷めた視線と鼻息を残しながら教卓へと帰って行く。
!?
そんな私たちをまた見てくる視線を感じ強張っていると、恵子と小陽も視線をキョロキョロさせる。
教壇に立った崇先はもう一度私たちを見てきたが、幸い居心地悪く目を泳がせていると勘違いしてくれたようだ。
「どないする?」「どないするって?」「どうするって意味よ」「ソレは分かるよ!」
朝礼が終わって準備時間...小陽が恵子越しで私にも聞いてくる。
関西弁が分かっている事を知った上でボケてみたが、恵子からマジ突っ込みが入るだけだった。
ソレを見て一言「オモロイな」と、小陽が小声で感嘆する。
(流石に目ぼしい生徒は何人か確認出来たからね)
ずっと遠巻きに見られるのも気持ち悪いので、機会を見てコチラから話しかけよう。
「とりあえず一限目の準備しましょ」
「冷静やな」「当たり前」「時間無いし仕方無いね」
そう言って私たちは教科書やノートを拡げ、筆箱と副教材を机の端に置いた。
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