視線の送り主は、惠木氏の被害者たちだった
「なぁ、ちょっと変な事聞いてもえぇか?」「いつも変な事しか聞いてこないよね?」「うっひゃあ〜!恵子はん辛辣ぅ〜」「朝から五月蝿い!」
会ってまだ二日目なのに、もう毎回扱いされている。そんな事には一切構わず、小陽はノリノリで恵子に絡んでいく。
「何か昨日も感じとったんやけど、さおリンって嫌われてる?」
「何で昨日会ったばかりの小陽にそんな事言われんといかんのよ?」
と思ったら今度は私に喰い付いてきた。しかも
「ちょっと!?どうせ呼ぶならハルって呼んで欲しいわ」
「なんで?」「いや、小陽ってなんか女子みたいやん?」
自分で渾名を押し付けてくる。まぁ分からなくもないかと思っていたら
「そう、ならハルちゃんって呼んであげる」
「ちょいまちぃ〜な!?今女子みたいで嫌やて言うたばっかりやで?!」
恵子がニマニマしながら、ちゃん付けしだした。
だがそんな空気を切り裂くように、昨日感じた視線がまたコチラを見ている気がして
「やっぱ気の所為ちゃうな」「ハルちゃんが五月蝿いからじゃない?」「...ちゃん呼びでもエエか」「受け入れるのね」「さおリンはなんて呼んでくれるんかな?」「小陽」「ソレは勘弁!」
周りを見渡した瞬間、一斉に視線を逸らされる。
でも...流石に見当は付いた。
「ねぇ沙織?」「何?」「多分だけど...」「分かるよ、ネギ絡みね」「ネギ?なんで野菜が出てくんねん?」
私たちが2年生の時、担任だった惠木氏...アイツが個別に家庭訪問した生徒。
どうもソイツらが私たちをチラチラ見てきているみたいで...
「いや、恵子はんはオマケで、さおリンの事を見てるみたいやで?」
「本当に?」「ホンマホンマ!」「なんか調子狂うわ」
と思っていたら、小陽は私を見ているようだと言ってきた。
そしてソレは...真実だと、後日分かる。
そんな出来事が待ち受けていると、この時私たちはまだ知らなかった。
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