恵子の停学処分 前編
「遠藤先生」「ぶっ!アナタが改まってそんな態度を取る時は、決まって碌でも無い事を...と言いたい所ですが、鹿島さんの事ですね」「はい」
私がベッドの上で膝を揃え先生の方を真っ直ぐ見ながら呼びかけると、戸惑いながらも先生は私の聞きたい事に気付いてくれたようだ。
「意識を失ったと聞きましたが、どこまで覚えてますか?」
「ネギに古傷を抉られた所まで」「言い方...」
先生の問いに、本当はもっと言いたい事はある。だがソレをするとまたトラウマに触れる為、私は嫌味っぽく言うのが限界だった。多分先生も気付いたのだろう。私への突っ込みも、いつもの切れが無い。
「鹿島さんが惠木氏先生を叩いた後、突き飛ばしたのは知らないのですね?」
「あぁ〜...なんとなく?」「そうですか」
実際その騒ぎで、隣の教室に居た遠藤先生はコチラに来たそうだ。
「大きな声で騒いでましたからね。大体の事は把握出来ましたよ」
「恵子...」「気持ちは分かりますが、何かしらの処分はあるでしょうね」
処分?その言葉がネギでは無く、恵子に向けたモノだと理解するのに数秒かかる。
いや、速攻理解はしたが、脳が処理を拒絶しているようで...私は
「ネギは?ネギにはその、処分とやらは無いの?」
「ソレは...まだ分かりません」「はぁ!?」
ギシッと言う音を響かせながら、私はベッドの上に立つ。
自分でもどうにもならない怒りが湧いてくる。
「アイツがあんな事言わなけりゃ、恵子は殴ったりなんかせんかった!」
「お、落ち着きなさい」「崇先!私、行くから!!」「ちょ、ちょっと待ちなさい!」
私は先生を見下ろしながら、両の拳を握りしめる。すると先生は私の顔と両手を交互に見ながら落ち着くよに宥め賺せようとした。
私はそんな遠藤先生の制止を振り切り、靴下のまま保健室を飛び出す。
「待ちなさい!せめて危ないから上履きを...って、くそ!」
珍しく...いや、初めて聞く遠藤先生の舌打ちじみた物言いを後にしつつ...
私は、恵子が居るであろう校長室を目指すのだった。
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