平穏な一日
「高校2年の、この大事な時期に...アナタは何を考えているんですか?!」
また始まった。この先生は別に、私の人生を本気で心配などしていない。
だた、功績が欲しいだけだ。
「見てみなさい。普通この学力まで落ちた人が、こんな風に回復するなんて有り得ないの!」
そう言って見せてきたのは、私の一学期末の試験結果だ。別にどうということはない。
実力と中間試験の出来が悪くて赤点回避レベルだと補習コースだったから、ちょっと点数を上乗せしただけだ。そうしないと夏休みに補習授業を受けるため、学校に来なければいけない羽目に...
そんな事はしたくない。だからちょっとだけ本腰を入れたのだが、それが思いの外マトモに頭を使ったのが楽しくてついやり過ぎてしまい...
「聞いてるの?普通はね?今やってるトコを頑張って、点数取ろうとするの。でもアナタはちゃんと、分からない所まで遡って...学び直して解いてるのよ!これが出来るって事は...」
キーン・コーン・カーン・コ―――ン...キーン・コーン・カーン・コ―――ン......
「お疲れ様でした!」「ちょっと待ちなさい!」
「バイトなのでお先に失礼しまぁ〜す♪」
私はチャイムが鳴ると共に速攻教室を後にした。
「待ちなさい!」「しつこ...って恵子やん」
「今、勘違いしたでしょ?」「モノマネせんといて!」
後ろから聞こえた声が惠木氏の声にそっくりだった為、私は本気でキレそうになった。
「やっぱ沙織って頭良いんだねぇ♪」
「何が言いたいの?」「べっつにぃ〜」
私は、恵子が本当はもっと真剣に勉強すれば良いのに...って思ってる事ぐらい分かっている。
そして、それを言わない事も...だが、それでもこうやって圧だけはかけてくる。
それが正直ウザい。まぁ...バイト辞めろって言わなくなっただけマシなんだけどね。
「ちょっとは落ち着いた?」「落ち着かせようとしてたの?!アレで!?」「あははっ、ソコは趣味だよ♪明智くん♪」「誰が明智よ!」
こんな感じで冗談ばかり言うようになった恵子に、私は今日も感謝しつつバイトに向かうのだった。
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