夏の終わりは定番の花火大会 その2
「ところでさぁ...沙織は見に行かないの?」「何を?」「アレ」
いつの間に追いかけっこをやめたのか、恵子が私のそばに来て話しかけてきた。
何を見に行こうと聞いてるのかが分からなかったので、私は恵子に聞き返す。すると恵子は言葉ではなく、指で店に貼ってあるポスターを示してきた。
「アレかぁ」「アレよ」「そうねぇ...」
正直純玲の為に行きたい...とは思ってる。思ってるが、最近店長のご家族には甘えっぱなしだし、恵子一家にも返しきれない程世話になっている。正直、これ以上迷惑はかけたくない。そう思っていると
「お姉ちゃん、行くの?」「...えっ!?」
奥の部屋でお昼寝していた筈の純玲が起きてきた。しかも...
「行きたいよねぇ?」「行きたい!」「行こっかぁ〜♪」「うん♪」
事後承諾である。
「そんな眼で見ないでよ。なんなら、アンタは来なくてもいいわよ?」
「はぁ?!純玲を行かせて私が行かない訳ないでしょお〜?」
その上私には来なくて良いとまで言ってきた。そんな恵子に
「でも、ちょっと遠いわよ」「そこはちゃんと考えてるわよ(ニヤッ)」
私が難癖をつけると、恵子は任せろ...とでも言いたげな表情で答える。
そんな恵子を見て私は
「また...恵子ママを頼るのね」「ブブー、違いま〜す」「...?」
どうせまた親を頼るのだろうと思ったのだが、今回は違うらしい。
「沙織、大人を頼るのが、正直キツイんでしょ?」「...そうよ」
珍しく恵子が私の眼を覗き込みながら、少し誇らしげに聞いてきた。
私がその恵子の自信に応じるべく、素直に答えると
「任せて!来週の花火大会...絶対に楽しませてあげるから、ね♪」
恵子は近くに居る純玲にウインクしながら、私にも同じように微笑んだ。
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