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ちょうど日が暮れる頃、ふたりは『勇者の洞窟』の前にいた。
その存在を主張する、でかでかとした看板を見上げながら、出発したのが随分昔の事のように思え、フレアは懐かしさを感じた。
フレアが感傷に浸っている間、ラディッシュは、閉ざされた扉まで近づくと、近くのレンガを、慣れた手つきで数個押していく。
ガコッという音がして、押されたレンガが戻ると同時に、金属が擦れる音をたてながら扉が開いた。
「先に行っているわ。荷物があるからゆっくり来ていいわよ」
フレアの方を振り向いて言うと、ラディッシュは勝手知ったる家のように、どんどん奥へ進んでいく。
フレアは遅れまいと、持てるだけの荷物をかかえると、奥へ進んでいった。
慣れた道を進んでいくと、たいまつに照らされた奥の広間にでた。
そこには、見覚えのある姿が見える。
「よくぞ約束を果たしたな。」
フレアの聞き覚えのある声がきこえた。




