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PSIバー×パンク×マッドタウン  作者: あるけー
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4話 『パープ・ブロークン』

 「はーなーせーって言ってんだろっ!」

 「あだっ!」

 バチバチっと電流が走り慌てて手を引っ込める。ルマの髪の毛がちょっと白みを帯びてパチパチと音を立て、少しの間液晶パネルの表示が切れていた。

 何今の電流と思ったが教えてくれそうはない。

 ふぅぅぅっと大きく息を吐き、少しの間をおいてからルマはこう聞いてきた。


 「知りたいんなら来ればいいじゃん。みんなを見てから決めてもらって構わないって最初から言ってるよ」

 「ん? ああーー、ううん。まあ、仕方ない。そうしようかな」

 しばし唸って考え込んだ後、考えを決めた。ここまで付き合ってもらったというのもあり、先ほどまでは興味もなかったが、それが誰かくらいは拝んでもいいかもしれない。人違いなら人違いで、推す理由もなくなるだろう。それはそれで助かるし。


 「まあ今からすぐってわけにもいかないでしょ? いつがいい? あ、連絡先いる? それならいつでも決めれるけど」

 「あーじゃあそれで」

 連絡先を握られるのは少し怖いのだが、とりあえずそれでお願いした。

 嫌だなーと思いつつ、携行型小型デバイスを取り出す。板ガム程度の大きさの、小さなデバイスだが、ホログラムを投影して、画面を操作できる、一応カメラやマイクはついているし、ワイヤレスイヤホンで音声は拾える。便利なものだ。

 「あーいやいや、普通に連絡したら足がつくでしょうが。ほらこれ、私の連絡先とか登録してあるスマホ」

 「えっ!?」


 因みにイマドキスマホは超珍しい。ガラケーからスマホの時のように、スマホから携行型小型デバイスへの世代交代はすでに終わっている。よく入手したものだ。

 「私らの連絡手段は基本これね。まあふっつうのお話しするような仲の人たちはデバイスで連絡先交換もしてるわけだけど、もしかしてそういうお友達になりたいのかなー??」

 ニヤついて言ってくんな。まあなんだかんだ言って話していて退屈しないしそれもいいかもしれない。あと純粋に反応が気になる。どういうキャラの位置づけなんだろうって。

 というわけで。


 「ええ是非」

 「あはは! キミも冗談言うんだねえ」

 スルーされた。それもアリ。

 「いやまあ嫌ならいいんですけど」

 「えあっ。本気だったの? 不意打ち過ぎて気づかなかったなー。はい、ぴぴーっと」

 いやまあ半分本気の半分冗談だったし、拒絶されたら誤魔化すつもりでいたからどっちでもよくはあったけれど。勝手に手を取られてデバイスを動かされて登録を済まされた。滑らかすぎて抵抗できなかった。まあ抵抗しなきゃいけない理由もなかったけど。


 「ほいじゃまたねー」

 「さよーならー」

 ようやく落ち着いて家に帰れる。帰路に着いて、十分ほどすると、ガッと『パープ』から変な音がした。


 「ハチ?」


 ◆┃◆┃◆┃◆


 ――『居住区(タウン)』サイト17:エリア8 C1301号室


 ずっと忘れていたが、爆破騒動のあたりからパープの反応がない。毎日つけ外ししているのになぜとか言われても、パーは普通に動いていたんだ。少し忘れていても仕方ないと思う。

 しかし、あれだけ大事な会話をしていたのに、修理に出すのも気が引ける。もし偶発的に映像記録が漏洩したりしたらルマもろともお縄だろう。いいや、案外アイツは逃げ切れるのかもしれない。とりあえず可能性的にはつかまりかねない

 しかしパープを新しく買うとしても、あれは非常に高いのだ。ウン千万はくだらない。初期設定もめんどくさい。

 しかしないと不便だし、何より怪しまれる。生まれた時からパーと一緒に持たされるもので、今ではこれは生活の礎といっても過言ではない。そんなものをつけていないとしたら、録画・音声情報が残るとまずいことでもしているのかと疑われても仕方はない。


 「さて、どうしたものか」

 「お困りかい?」

 コイツいつの間に。

 「コイツいつの間にって顔だねえ後輩君?」

 いくら部屋が隣だからって人の家に勝手に入らないでほしい。

 「いやあ鍵開いてたよ?」

 嘘つけ。

 「イマドキはオートロックですよ」

 「まあまあ細かいこと気にすんな~」

 いや細かいことじゃあないだろ。


 因みにこの女の人は学校のひとつ上の先輩、伽羅(きやら)杏璃(あんり)、高校二年生。隣の部屋なのと部活が一緒で親しくなった。前髪が左眼にかかった膝下まで髪があるめちゃくちゃロングの白髪の女性でよく絡みに来るが一応変人枠。クールビューティ枠じゃない。残念ながら。見た目だけはクールビューティ。


 「連絡してからにしてくださいよ……もう入るのは止めないんでせめてそれくらいは……」

 「おやあ? 非科学研究部の部長たるこの私に何か言いたいわあけえ? キミも偉くなったもんだ」

 「分かってるんですか。俺が抜けたら廃部ですよ」

 「痛いとこつくね」

 そう、科学力ばかり発展したもので、大抵やることなくなった学級の徒にとって、好奇心のやり場は非科学的事象の探求に限られる。というのが現部長の言い分だ。ちなみに現部員は5人。よく集めたものだ。一番の新入りは俺だ。入部をしつこく勧められた、というより後半は懇願されたあの時が懐かしい。

 「人のこと放置して記憶空間にお一人旅行しないでね」

 「いや、まあすいません」

 というかこの人はそもそもなんで……

 「そんなことよりお困りのようだけど」

 「え? あーちょっとパープが動かなくて」

 この人はなんだかんだ面倒見もよく口も堅いのだ。気にせず色々喋れる相手がいるのは助かる。

 「それは……困ったねえ」

 「さすがに無理ですかね」

 「ん~まあ任せたまえ。これでも優秀なんだ」

 いつもの調子からは考えにくいことをつらつら連ねる。この人のバイタリティとかどこからきてんの?

 とりあえず、パープはどうにかなりそうだ。


 というかなぜ壊れていたのだろうか。

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