新たなる目的地とそれぞれの夢
ビスケット戦争は終わった(※たぶん)。
ノートンの記録帳も、ついに「湿気」「分配率」「プリン喪失数」を書き尽くした。
トランフォードの胃は再び燃えていた(今度はどくだみプリン味で)。
だが。
クルーたちの目線は、ふと、一つのスケッチへと集まっていた。
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ダリオが描いた一枚の絵。
それは、船長のトイレ復活直後、彼の背後から見た姿だった。
> 星を背に、便器に手をかけ、
> 波に揺られながら、問いを見つめている――
という、あまりにも情緒過剰な構図。
「タイトルは、『問いの彼方に~便器とともに~』です」
「やめろおおおおおお!!」
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しかし、その右隣には――
もう一枚のスケッチがあった。
> 半円を描く海、そこに浮かぶ、光の破片。
> よく見ると、それは湿気たビスケットの欠片。
船長は、それを凝視しながら言った。
「……これは、“方向性の再定義”だ」
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「は?」
マジシーが止まった。
「このビスケットの形、ノエラの歌の周波数、ソーラの観測値の錯覚。
それらをベクトル加算し、偏差の中心に軌道を補完すると――
……ほら、見えるだろう?」
「なにが!?」
「“黄金ビスケット島(仮)”の、次の一歩が」
「仮かよ!!まだ仮なのかよ!!!」
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ポンデンがつぶやいた。
「“問い”とは、場所ではない。“状態”だ。
我々は、“問い続ける者”である限り、どこにいても旅人だ」
アンサロップ:「哲学的には正しいが、腹は減るぞ」
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ダリオは、再びペンを走らせる。
「夢で見たんだ。あのビスケットの形、次は“丸くて割れてる”やつになるって」
「それ、お前が昨夜こっそり齧ったやつだろ!?」
「違う、“啓示”だよ!」
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ノエラは、微笑んだ。
「だったら、そのビスケットのために、新曲作らなきゃね♪
タイトルは……『バターと哲学と未来』」
「……その組み合わせ、どこかの料理番組か!?!?」
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ソーラ:「ねぇねぇ、見て見て! なんか海が、“次へ進め”って言ってる気がするよ!」
トランフォード:「ソーラ殿、それ、どこからどう見ても“浮いてるビニール袋”ですぞ!?」
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しかし、船長は静かに言った。
「“問い”に正解はない。
だが、“問いに向かう意志”は、方向性を持ちうる」
全員:「……おおお……」
「ただし、ナビの設定は“だいたい東”だ」
「感覚任せかい!!!」
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こうして、
プリンを失い、
ビスケットに幻を見、
トランフォードの胃が泣き、
ノートンのペン先が摩耗する中――
新たなる航海が始まる。
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船長:「さあ、進もう。
ビスケットが、我々を待っている。
たぶん、島とか、問いとか、そういうものも」




