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18.香山譲

歌番組生放送が始まり、最初に出演全グループで挨拶のために舞台に上がる。

スタッフのゴーサインのすぐ後、司会者の呼び声がして、後ろから全員で登場して階段から降りる。

普段は、ハリーかとびおがセンターポジションの事が多いが、今回はスペシャルコラボ相手の真名守さんがセンターだ。本番前のコールを聞いても話しかけ続けるとびおに、もはや誰も注意せずため息をつくだけだ、真名守さんの睨みつける視線がずっと刺さるが、正直いい気味なので無視している。


そんな真名守さんも、ステージに上がると雰囲気を一変させ、柔らかく儚げな笑顔を浮かべて歓声に答えるように手を振っていた。手を振ることによって、エスコートしようと差し出していたとびおの手を無視するファインプレーだ。


司会者から、紹介をされ、今日の僕のMC挑戦や、真名守さんとのスペシャルコラボの話になり、そういうのは僕よりしっかりしている飛馬が、いつも通り説明してくれるので、僕はといえば、会場を見回して観客の空気感を探る。

新曲のプロモーションは成功しているので、僕たちのうちわやペンライトを持つお客さんもまた増えてくれたようだ。

しかし、僕たちより後に紹介されたガールズバンドグループに、今日一番の歓声が上がる。彼女たちは今日のこのステージで解散決定しているので、ラストステージを見に来た気合の入ったファンが多いのだろう。折角のコラボステージも、そんなに話題にはならなそうだと内心苦笑する。


その後、番組開始のためにまた裏に掃ける時に、僕は、関係者席を確認する。楓狙いの女性芸能人と、飛馬の今の彼女のうちの一人、とびおの肉(・)体(・)関(・)係(・)の(・)あ(・)る(・)友(・)達(・)で長く続いてる子・・・。今日確認できた顔見知りの女性はそれくらいで、単独コンサートではない為少ないから、挨拶に行かなければいけない面倒さが減って有難い。飛馬には、もう行く必要がないと止められたけれど。こういうのはやっぱりリーダーが把握しておかないと、グループ存続の危機は小さいところから出るからね。まあ、今それを僕が出しているんだけど。


一人つらつらと考えながら目を滑らせていると、関係者席に見覚えのある少女3人組が見えて、思わず足を止めてしまう。

僕の背中にぶつかったのか、後ろから

「急に止まらないでよゆずるーん」

と、とびおが騒いでいるが、気にせず目を凝らす。3人は、ペンライトを持っていないのか、客席の照明が落とされた関係者席は見えづらい。立ち止まっている僕に、他の歌手たちやスタッフが不審な目を向け始めたことに気が付き、慌ててまた歩き出すが、内心穏やかではない。

僕たちの先頭を、飛馬とともに歩いていた真名守さんに、僕も打ち合わせがあると話しかける。しかし真名守さんは

「今、ピッピさんと最終確認しましたが・・・?」

と不審げに僕を見るだけだ。目の奥が笑っているようにもみえるが、問い詰めてもしらを切られるだけだろう。

引きさがるしかない。後で本番中抜けられる時間はあっただろうか。とスケジュールをマネに再度確認したが、進行表もマネも、そんな時間はないと告げた。


とにかく何も起きないことを祈るしかない。そう思いながら、僕はMC用の衣装に着替える為に楽屋に向かった。




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