↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/61

20.香山桜子

玄関に向かい、靴を履かないで手に持つ、ベランダの窓を開けて外に出て、手に持ったスニーカー靴を履くと、

「変身」

と呟く。途端、着ていた服が変形して、いつもの桜色の衣装に変わる。

今日は準備ができたので、変形させた服は制服ではなく、手持ちのジャージだ。

「撮影で使って、サンプルとかいろいろ貰ったけど、ロゴが大きい服って、スポンサーの関係上、着る場所限られるから使えないんだよね・・・」

と言ってジョーくんが私に大きな段ボール箱でくれたジャージやスニーカーは、スポーツメーカーとPlutoのコラボ商品で、朝並んで抽選に当たらないと買えないプレミア商品だ。

そんなものを普段使いできるわけがないので、通販で安い複数枚セットの物を注文してそれを着まわしている。贈った本人は不満みたいだけれど。

帰宅してすぐ、頭から取り外してテーブルの上に置いたピンとヘアゴムを、手に取ってポケットに入れる。壊したり無くしたりしたくないので戦闘中は着けないけれど、何となくお守り代わりに持っている。


いつも通り箒に乗り、学校へと飛ぶ。変身後に学校に向かうのは初めてかもしれない。箒で飛ぶのは一見便利そうだけれど、魔力消費が見た目より大きいのでおいそれ使えない。

何より、コンパクトを落として壊した場合、死ぬより大変なことになる。

魔法少女は、戦闘中コンパクトを肌身離さず持っているけれど、トウバツ完了時にカプセルが支給される

以外にも、コンパクトを目の届くところに所持しておかないと大変なことになるという理由がある・・

など考えながら飛んでいる途中に、同じ行先の魔法少女と一緒になり、向こうも私に気が付いて少し話す。確か陸上部の子だった気がする。競技種目が違うので話したことはなかったが、向こうは私を知っていたようだ。

「白石先輩は、あんただけに目をかけてるわけじゃないから。てか、転校してすぐレギュラー選抜されてるとか、陸上関連の願いなわけ?」

敵意を隠さない彼女。私と同じピンク系統の衣装だけれど、彼女は蛍光ペンのようなピンク色だ。

「まー、願い関係なく成績出してる私のほうが上だし、今日の戦闘でも、どうせ使えないでしょあんた。転校してきて学校の地理掴めてないだろうし。せいぜい丸尾先輩派の子たちに消されないようにね~」

校門前に到着して、ひらひらと手を振りながら私から離れて行った蛍光ピンクの魔法少女。

校門前には、私を含め10人ほどの魔法少女が集まった。他の魔法少女と何やら相談中の白石先輩を見つけて、挨拶のために近づく。


「ああ、あんたたちで最後よ。みんな集合早いから、このまま予定を繰り上げましょう」

私を見てそう言うと全員に集合をかける白石先輩。

「校舎内に入ったら、丸尾を探して。見つけたらスマホで連絡!最悪出来なくても音でわかるから皆、音には十分に警戒して!それじゃあ行くわよ。」

白石先輩はそう言うと、箒に跨った、他の皆もそうするので私も従う。

先輩が全速力で飛び、校門も校舎もすり抜ける。後に続く私たちもすり抜けることができた。これが白石先輩の能力だろうか。

私は何も考えずに、そのまま飛んでいたけれど、教室のある廊下を飛んでいた時、

「啞グァ!!」

と、とても少女がだす声とは思えない音が後ろから聞こえ、どさり、と重い物が落ちて硬い廊下に叩きつけられる音も遅れて聞こえた。


私が振り返ると、後ろを飛んでいた魔法少女が廊下に倒れていて、そのそばにいた魔法少女が、手に持っていた包丁のような刃物でまた念入りにその魔法少女を刺した。

思わず引き返そうとした私だったが、

「敵が来たわ!みんな散って!!自分の身を守って!!!」

と先頭を飛んでいた白石先輩の慣れた声に引き留められたかのように、戻らず、そのまま高速で飛んだ。当たりの教室からは、飛び出てきた魔法少女が、私たちの列に攻撃を始めた。

ナイフ、矢、銃、投石、その他その他。魔法武器も現実の武器も両方あった。

飛行中に攻撃が当たり、飛べなくなり堕ちた魔法少女を、トドメを刺すように執念深く切りつけて出血させる。魔法少女を確実に消すために、大量出血を狙っているのだ。

中庭まで飛んだ私は、交戦中に逆にしてやられたのか、腕が引きちぎれて、武器も持てず止血もできずに蹲り、体の存在が砂嵐のように希薄になっていく、きっとこのまま消えるのだろう。


私は空を見上げて、そして手持ちの鎌を思い切り投げる。

それを見て、私の存在を確認した魔法少女が、草陰から出てきて何かを投げようとした。

しかしそれは果たせない、投げようとした腕だけなぜか急にびくともしなくなる。

焦り私から視線が外れたところで、私の姿は彼女の視界から消える。

少したってやっと腕が動くようになった彼女。いなくなった私をきょろきょろ探し、場所を移動する。



私はその様子を、校舎上空から眺めていた。

「危なかったです。怪我はありませんか?」

心配そうに聞く明日奈。

私は今、尚美に引き上げられ、彼女と同じ箒に乗っている。

中庭に出て鎌を空に投げたのは、上空待機している二人への合図の為。明日奈が敵の腕を停止させて、尚美が高速で私の体をさらってそのまま上空高く飛ぶ。

白石先輩と接触したその日に、私はそのことを二人と、撮影休憩中の愛梨とも通話を繋げながら相談した。

その時点で3人は、今日のこの戦いが起きることを断言した。


なぜなら3人も、この戦いの経験者だからだ。


下では、私がいなくなったことにも気づかれず、戦闘が行われている。皆、当初の目的など忘れているだろう。


一息ついて、二人に、大丈夫だよ助けてくれてありがとう。とお礼を言う。ほっとした様子の二人。このまま三人で帰りたいがそうはいかないだろう。


私たちに近づく気配と、話し声が聞こえてそちらの方向を見る、


「なーんだ。香山さん気づいちゃったか。」

「だから言ったじゃん!ぶりっ子芸能人派の人間はやめとけって!!」


そこには、魔法少女姿の白石先輩と丸尾先輩が、下の惨劇に目もくれず、まるで親友のように笑いあいながら飛んでいた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。