表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/61

8.香山桜子

害獣により身体が欠損しこのままどうしようか考えていると、目の前に小さな風を感じた。顔を上げると長めの箒に跨った二人の魔法少女。

二人とも小柄でまだ中学生に見える。先頭に赤い魔法少女、後ろに緑の魔法少女。なんだかクリスマスカラーみたいだなと少しおかしくなった。


赤い魔法少女が「大丈夫ですか!話せますか!?」と声をかけてきたので、無言で頷いた。

私の意識があるのを確認すると、後ろの緑の子に「操縦お願い」と声をかけて降りてきた。

そのまま赤い魔法少女は私に近づいて手を当てる。足から流れていた血が止まった。


まず驚いてそして感謝の言葉を述べる。照れている赤い魔法少女に時間操作系の能力なのか聞いてみると、

「はい、私が停止なんですけど。範囲も時間も短いんです。あっちの緑の子は速度で。遅くも早くも自在に操れます。」

緑の魔法少女を見ると静かに一礼された。

「私たち物理攻撃能力を持っていないんです。いつもは交番の警察官からこっそり銃を借りたりして処理してたんですけど、この大きさだと、攻撃系の魔法武器を持つ方じゃないと無理そうで・・・」


私たちでサポートしますのでお願いします。協力してください!!!

と元気に頭を下げる赤い魔法少女。

顔を上げてほしい。私はこちらも協力者が欲しかった。ぜひお願いしたいと伝えると、

「ありがとうございます!やったー!これで倒せる!!」

と満面の笑みを緑の魔法少女に向けた。

緑の魔法少女は、表情を動かさず私に顔を向けて、「ご指示を」と短く話した。


赤い魔法少女にビルの上から魔法を送って動きを停止してもらうことにして、緑の魔法少女に足になってもらう。

まず低速で飛んで、合図とともに高速でそのまま走り抜けてほしいと伝えると。「わかりました」と了解を得た。


ぷにぷにではなくもうぶよぶよでヘドロのように溶けて広がりそうな害獣に近づく。ぎりぎりまで近づいて先程私の鎌が刺さった場所を探す。

見つけたそこは、かさぶたのような薄い膜が作られつつあった。

「準備ができたようです」

赤い魔法少女が停止の魔法を送ってくれる準備ができたと、緑の魔法少女に教えてもらう。

「3.2.1 発動」

緑の魔法少女の淡々とした口調とともに思いきり傷口に鎌を突き立てて私は飛んで!と叫んだ。


緑の魔法少女は発進した、高度はそのままで、突き刺さった刃のみが移動して傷口を大きくしていく、魚の干物を作る時の最初に背から開いていく、あの塩梅だ。

途中何度も刃が抜けそうになるけど絶対離さない。背の傷口から頭まで刃を通した後はまた開いた傷口から横にも切り線を入れるために刃を立てたまま飛んでもらう。


そうやって何度か刃を通した結果、黒が混じったヘドロが流れ出し、どんどん体積が小さくなる。そして最後。道路の真ん中に、ハチ公前で見た小さな姿の害獣が残り私はその体に思いきり刃を叩きつける。

軽く高い唸り声とともに害獣は四散し、後にはヘドロに汚れた路地や道路のみが残った。


コンパクトに「トウバツサレマシタ」の赤い文字と耳障りなアラーム。

画面から桜色のハムスターが出てきて、「おめでとうございますパカ!!」と黒い錠剤を私の手の上に置いた。


私はそれを確認もせずに飲み込んだ。コンパクトには赤い文字で薬効期限アト90ニチと表示された。

身体を欠損してまで戦ったのに、伸ばせたタイムリミットはたった2か月のようだ。


歩道に移動して武装を解く。

途端、私の存在はまたこの世界に認識されるようになる。制服姿の疲れ切った女子高生が急に現れて、ぎょっとする人もいたがこの町では日常茶飯事なのだろう。すぐに通り過ぎていく。


欠損した足を見る。きちんと存在する。ただ、モザイクノイズのようなものがかかり存在が希薄に見える。

じっくりみれば、私の足が欠損していることに気が付く人もいるだろう。

このように武装時のケガや欠損は、武装解除後存在が希薄になる。

一応時間がたてば戻るが今回は時間がかかりそうだ。前の家族や周囲の人は私を見ていなかったからごまかせたけど、ジョーくんはどうだろう。そうだ、このままどう帰ろうかそういえば箒で飛んできたから鍵も持っていないんだった。その前にあのマンションここからどう行けばいいんだろう。

そんなことが一気に思い浮かんでため息をつく。とにかく疲れた。


道路の端に座り込んだ私に影が覆われた。

顔を上げると、髪も染まりスカートも短く鞄はぺたんこないかにも都会のギャル二人。よく見ると先ほどハチ公前でジョーくんについて話していた子たちだ。まさかジョーくんの妻になったことを突き止められたのだろうか?身構えた私に、二人は

「先ほどはありがとうございました!」

と礼儀正しく一礼した。


私はその驚きで少し意識を飛ばすことになった。


疲れすぎて気絶したのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ