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天織り満天 - 交錯する世界を繋ぐ花 -  作者: 天堂 かける
第3.5章 カオスデビル

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第44話 魔界警察

Devil's Doorの重厚な扉の入口前。


そこには、縦にも横にも規格外にデカい、岩山をそのまま切り出したような筋肉質の悪魔が二人、ずっしりと立っていた。


そのゴッツイ圧を放つ悪魔警察官が、その場でビシッと敬礼をする。


「失礼します! 魔界警察署から参りました。カイム警部です!」

「同じく、フォルカス警部補であります!」


彼らを見たオリアスは、このような状況を何度も対応してきたような、手慣れた様子で彼らを快く迎え入れる。


「ご苦労様です。お待ちしておりました」


(……は? 嘘でしょ? もう来たの!? 早すぎるでしょ!! 魔界って実はすっごく近いの!? さっきのゼフォンさんもそうだったけど、瞬間移動の魔法でも使ってる!? それって魔王だけが使えるやつじゃないの!?)


超速でやってきた悪魔警察に対し、またしても驚かされた桃花。


そんな彼女をよそに、オリアスとカイム警部がお互いに向き合って言葉を交わす。


「オリアスさん。しょっぴくのはこいつらですか?」

「はい、お手数ですが、よろしくお願いします」


「任せてください!」

「いつもお忙しい中、ありがとうございます。最近はお呼び立てすることが多くなってしまい、申し訳ありません」


「いえ、それが我々の仕事ですので。どうかお気になさらず」


その隣では、ゼフォンとフォルカス警部補が、自然な流れで朗らかな会話を始めていた。


「相変わらずいい体してるねフォルカス警部補。調子はどう? 疲れていないかい? ちゃんと休めてるか?」

「自分は見ての通り! 体力バカお化け筋肉悪魔なので全然問題なしです! お気遣い感謝します、ゼフォンさん!」


気さくな声掛けから体を気遣うゼフォン。

そして彼の前には、暑苦しいほど元気よく答える自称、体力バカお化け筋肉悪魔のフォルカス警部補。


「いい男っていうのは、相手に対しての気遣いも上手ね♡」

「うん、そういうところも、とっても素敵だね」


そのやりとりに、ケルベロスと桃花が見惚れている中、縛られているサキュバスとインキュバスは、このデカい悪魔警察官二人に問答無用で連行されていく。


「詳しい話は署で聞く。さぁ、立つんだ」

「な〜んだ……。よく見たらイケメンじゃないじゃん。あ、でもこういう筋肉系で野蛮な男らしい感じなのも、私好きかも♡ ね〜え〜ん、鎖で縛られて立てな〜いからぁ〜、そのとっても逞しい腕と胸板で、私をお姫様抱っこして〜♡」


「足は縛られてないだろうが」


サキュバスはカイム警部に対し、色気と上目遣いを使い、誘惑を試みる。

だが、そのカイム警部は、まるで興味なしと言わんばかりに即答した。


一方、変態のインキュバスは、フォルカス警部補を目の前にしながらも、またしても変態暴走を始めていた。


「うう〜ん。君たち、とっても大きくてすっごくいい体してるねぇ〜。素っ晴らしく仕上がってる〜♡ ねぇ、そのモリモリ筋肉……触ってもいいよね? ついでに揉んでもいいよね? ペロペロ舐めてもいいんだよね? ありがとう〜♡ それじゃ遠慮なく」

「いいわけねぇだろうが! バカかテメェは! オラ立て! 行くぞ!」


「勃つ? イク?……もう興奮しちゃったの? みんなが見てるのにぃ……アアンッ! もう、そんなに焦らさないでおくれよぉ♡ ほら見てよ、ボクの股間もこんなにビンビンに興奮してムクムクとb……」

「うるせぇ!! 黙ってろ!! 言わせねぇよボケが!! 切り落とすぞ!!」


全然大人しくならない変態インキュバスの下ネタに、フォルカス警部補は容赦なく怒鳴りつけて威圧する。

だが、その本人に対して全く効いていないどころか、むしろ逆効果で喜んでいるまであった。


そして連行される間もサキュバスとインキュバスは、最後までやかましく懲りずに騒ぎ続けていた。


「それでは、我々はこれで失礼します!」

「こいつらのことはお任せください!」


カイム警部とフォルカス警部補は最後にビシッと敬礼を決め、嵐のような二人を引きずりながら、見事に退場していった。


「……やっと静かになったね」

「ええ、そうね……疲れたわ」


朝から騒ぎっぱなしの状況がようやく落ち着き、ケルベロスと桃花は深い息を吐き出した。


——と思った次の瞬間。


「ぎぃやゃあああぁぁぁーーーん!! オリアスさあああぁぁぁーーーん!!」


ガラガッチャーン! カランカラーン!


「あ〜れ〜」


ロビーの奥にある廊下から聞き覚えのある女性の咆哮。

その後に、ガイコツの情けない声が遅れて聞こえてきた。


そして、無惨にガイコツの骨がバラバラに散らばったであろう、軽快な音がロビーにまで響き渡ってきた。


被害にあった女性客を看病していたガイコツが、またしてもぶっ飛ばされ、分解されてしまったのである。


「おや? 例のお客様がお目覚めになったようだね」

「そうみたいだ。お元気そうで良かったよ」


オリアスとゼフォンが、慈愛に満ちた(?)表情で頷く。


「いや、そこって冷静に安心できるところですか!?」


すかさず、桃花の渾身のツッコミが見事に決まった。


「……というかさ、あのガイコツ、またあの女に吹っ飛ばされたわよ」

「う、うん。昨日から数えてもう三回目だよ。現場がどうなってるのか、わざわざ見なくても想像できるもん」


ケルベロスと桃花も、三度目となると流石に驚きも薄い。


だがオリアスは、ガイコツが吹っ飛ばされていても、まるで何事もなかったかのように、優雅な仕草で桃花とケルベロスの方へ向き直る。


「では桃花さん、ケルベロスさん。朝一番からお騒がせして申し訳ございませんでした。チェックアウトの準備が出来ておりますので、こちらへどうぞ」

「は、はい!……というか、またガイコツさんバラバラに……って、大丈夫なんですよね?」

「ええ、勝手に戻りますので。ご心配ありがとうございます」


その後、ニコッと微笑んだオリアスに案内され、カウンターで無事にチェックアウトの手続きを済ませ、宿の出口へと足を向ける。


「……今回は当宿『Devil’s Door』をお選びいただき、誠にありがとうございました。これからのお二人の旅が、光に満ちた良きものになりますよう、心よりお祈り申し上げます」


姿勢良く胸に手を当て、綺麗に頭を下げながら二人を送り出すイケメン悪魔たち。


「こ、こちらこそ、色々とお世話になりました」

「とっても良い宿だったわ〜♪ 近くに来たら、また寄らせてもらうわね♡」


桃花とケルベロスはその場で一礼し、宿の扉を開けようとしたその時、オリアスがラウムに声をかけた。


「ラウム。お二人を街の出口までお見送りをお願いできるかな?」

「承知しました」


「え? 私たちの見送り?」


予想外のオリアスの言葉に、桃花が目を丸くする。


「え、あの、いいんですか? ラウムさん。そんな、わざわざ……」


「はい。短い時間ではありますが、町の出口までご一緒させていただきます」


「あら〜ん♪ 男前と一緒に歩けるなんて、今日はなんていい日なの〜♡」


「わ、私は、ドキドキするよぉ……」


ラウムのスマートなエスコートを受け、桃花とケルベロスは宿を後にし、街の外へと向かう。


街の空気は、あの狂乱の残り香を消し飛ばすように、晴れやかでとても澄んでいる。


二人が爽やかな朝の街並みを堪能している様子を見て、ラウムは静かに微笑んで語り始めてきた。


この宿「Devil’s Door」の秘密と、あの悪魔に取り憑かれていた「女性」の不可解な行動の真実を——

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