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天織り満天 - 交錯する世界を繋ぐ花 -  作者: 天堂 かける


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第2話 地獄の鬼訓練

「ねぇ、おじいちゃん! この絵本読んで〜!」


「あ? なんじゃい桃花。絵本? そんなもんより、ワシの話を聞けや! 『鬼』っつう、バカみてえに弱っちい奴をぶっ飛ばしてた話の方が、三百万倍は笑えるぞい!」


この世界では、普通の人間では測れない存在もいる。

桃花が暮らす家の、おじいさんとおばあさんのように。

そして今日も、まだ小さな桃花の周りでは、規格外の事件が何気なく起ころうとしていた。


だがその非日常は、もはや桃花本人にとって日常の一部になっており、少女の瞳に映る世界は、すでに常識を超えていた。


「ワシが昔、泣き叫んで命乞いする鬼どもを、片っ端から叩きのめしてた時なぁ!」

「あらあら、おじいさんが仕留めた鬼が千匹なら、私は一万匹よ〜ん♪」


桃花が物心ついた頃から、おじいさんとおばあさんは、「武勇伝」という名の自慢話をよく聞かせていた。


桃花は「わぁーすごーい! かっこいいー!」と純粋に感心していたが、実はこの二人、過去に何度も、鬼を絶滅寸前にまで追い詰めたことがあるほど、凄まじい強さを持った猛者だったのだ。


この世界には「鬼」という生物が存在する。


その鬼は、人間よりも遥かに頑丈で、身体能力や生命力も段違いに高い。

個体も様々で、人間とほとんど変わらぬ容姿をしている者もいる。


そんな鬼どもを、おじいさんとおばあさんの「たった二人」で懲らしめていたというから驚きだ。


その証拠に、おじいさんとおばあさんが住む生活圏内には、鬼が一切現れない。

いや、二人が恐ろしすぎて近寄れない——というのが実際のところである。


もはや、その地域一帯が「目に見えない超強力な結界」のようになっていた。

結果、桃花本人は、実際に鬼を一度も見たことがない。


そんな武勇伝を幼い頃から聞かされ続ければ、子ども心に「鬼=ザコい存在?」となってしまうのも無理はない。


そのおじいさんとおばあさんの主な教育方針は、なぜか「徹底的に戦闘訓練」が第一にあった。


剣術、体術、弓術、射撃などなど。

更には、謎すぎる人間大砲まで。


「あ、これはダメ! やめて! 死ぬ死んじゃうよぉー!」


泣き叫ぶ桃花をガン無視し、容赦なく砲弾代わりに大砲へぶち込み、ぶっ放すおじいさんとおばあさん。


だが意外なことに、桃花は天性の才能を発揮し、様々な技を身につけてしまった。

訓練が命懸けだったということも関係しているだろう。


その結果、おじいさんとおばあさんの奥義まで会得してしまうほどだ。

それほどの才能がありながらも、おじいさんとおばあさん相手には、今まで一度たりとも勝てたことはない。


それどころか、擦り傷一つ付けることができないほど、大きな実力差があった。

だが、技の精度という点で見れば、かなり高い水準であることは間違いないと言える。


「えっへへ、この技があれば、鬼相手でも余裕かなぁ〜」


桃花は得意げに笑った。


「ん? 技を教えてたのは、ただの暇つぶしじゃったから、鬼とか全然関係ないけど」


「は?」


「そういえば、訓練を始めたのはただの気まぐれでしたね〜♪ 特に意味はないと言うか、私たちの遊び?」


「……嘘、でしょ?」


あまりにも軽い発言が飛び出した瞬間、桃花の心に、何とも言えない複雑な気持ちが芽生えた。

そんな桃花を知ってか知らずか、おばあさんが急に買い物へ誘ってくる。


「……ねぇ、桃花。これから『超大型倉庫店』に買い物行くけど、一緒に行く〜?」

「え? う、うん。行くー」


こんな日々が、ずっと続くと思っていた桃花。

だがこれは、ほんの序章に過ぎない。


まさか「口は災いの元」ということわざの意味を、文字通り体感することになるとは、この時の桃花は夢にも思っていなかった。


次に訪れるのは、遊びでは到底済まされない「本物の試練」だということも——

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