第29話 ミナとナル③
ミナは笑顔で舌を出して言った
「ばれちゃった?」
次の瞬間、光が弾けた。凄い爆裂音がして、俺たちがいた場所は吹き飛んだ
咄嗟に目を閉じ、再び開けると、俺は赤い砂の上にいた
目の前にはナルがいる
赤い砂が俺の胴体に巻き付いていた
「なにが?」
「ソラ君! わたしに捕まって!」
また何かが光った
凄い炸裂音が何度も響く
そのたびに強い振動が伝わってくる
俺はナルにしがみついたまま振り回された
ようやく、ナルの動きが落ち着いて俺は再び目を開いた
ナルは息を切らせて、左肩を押さえて頭から血を流していた
「ナル! いったいなにが!?」
「ソラ君、なんとか逃げたけど、まだ危ないの……もっと遠くに行かないと」
そう言って俺の手を引いてナルは走り出した
「逃げるって、なにから?」
「……ミナ」
「え?」
「ううん、あれはミナじゃなかった」
「とにかく今は逃げないと、私もソラ君も、殺されちゃうよ」
「ミナが俺たちを?そんなことが」
「あるよ、あのミナは、私たちを本気で殺そうとした」
「悪食のスキルが無かったら、私たち絶対死んでた」
次の瞬間、俺たちの前で光が輝いて爆発した。大きな炸裂音が何度も鳴り響く
「逃がす気はないってわけ」
ナルが振り向いて上を見上げる
そこには、空中に浮かぶミナがいた
周囲では光が現れては消えている
「ナ~ル~、決着つけようよ~」
「逃げるなんて、ずるいよ~」
俺にも分かった、あれは違う……ミナじゃない
「ソラ君、走って逃げて」
「え!? そんなことできるわけ」
「はやく行って! 邪魔なの!」
そう言われて自分の立場を理解した
俺は邪魔だ。何の力もない
ナルの言う通り、俺は走り出した
少しでも距離を取ろうと、必死に足を動かす
だが、どうしても二人が気になって振り返った
ナルの足元で赤い砂が山のように盛り上がり、その体を上へ運んでいく
ミナと同じ高さまで上がると、ナルは言った
「あんた、だれなの? ずいぶんなことしてくれるじゃない」
「え~、ひどいな~、ミナだよ、私たち友達でしょ」
ナルが唇をかんで握った拳を震わせた
「あんた誰よ! ミナは私のこと、家族って言うのよ!」
赤い砂が逆立つように弾ける
「またばれちゃった~、上手くやってると思ってたのにな~」
「だんだん、偽物の魂は消えてっちゃうから、演技も下手になっちゃうか」
それを聞いて、ナルは声を荒げる
「あんた! ミナをどうしたの!」
「え~、そんなのわかんないよ、消えちゃった……とか?」
ナルは両手を広げ、目を見開く
赤い砂が大きく広がり、その中から紫色の半透明な蛇のようなものが何本も現れた
それぞれの先端には、口がついている
「ミナを返しなさい!」
ミナはその言葉に苛立ちを見せて言った
「だから、ミナは私だってば!」
「それが悪食のスキル? さっきも、それ使って逃げてたよね」
「気持ち悪い……」
「あんたみたいな、生まれの汚い女には、お似合いのスキルだよね」
ナルの顔が歪む
そのままナルは両手を振り下ろし、赤い砂と悪食の蛇がミナに襲い掛かった
ミナの周辺に巨大な光の矢が出現し、赤い砂と悪食の蛇を迎え撃つ
衝突して轟音が鳴り響き、周辺一帯が吹き飛ばされた
俺は再び前を向き、草原をひたすら逃げた
走って走って、ついには家や畑が見える場所に出た
俺はその場に倒れた
もう動けない
そのまま、俺は気を失った




