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第17話 雨、時々登録検査②

奥の机に、銀の長髪の男が座っている


ノア・グレイだ

整った顔立ちで、静かで通る声が響く


「札を出せ」


イナクとナルが、札を机に置いた

少し遅れて、ミナが札を置く


ノアはミナの札を手に取り、判を押して差し戻してきた


「ミナ、お前は知っている。合格だ」


そしてすぐに二人を見る


「名前は?」


「イナク」


「私はナル」


「年齢は?」


「19」


「16」


そこまで聞いてノアは、ナルの札を取り、判を押して机を滑らせて返してきた


それからイナクを見て言う


「イナク、良い面構えだ。強いのか?」


イナクは動じずに答える


「試してみるか?」


その返答を聞いて、ノアの眼がぎらりと光った


「面白い、こっちだ」


ノアは立ち上がり、外へつながる扉へ向かう

イナクは、それについていく


外に出ると、そこは、少し広めのテラスになっていた


ノアはイナクに、鞘に入った剣を投げつける

イナクはそれを受け取り、ノアをにらみつけた


「俺に勝てたら合格だ。こういうの、好きだろ?」


ノアも腰の剣を抜き、切っ先をイナクへ向けた


イナクは珍しく、にやりと笑って剣を抜く


「ほ、本物!?」


ミナが驚いて声を上げた

それを見て、ナルが慌てて止めに入る


「ま、待って! 危ないよ! なんでこうなるの!?」


ナルの声を合図にするように、イナクはノアへ切りかかった


両手で剣を持ち、高く振り上げて豪快に振りぬく


ガギャン!!


剣同士が当たる凄い音がした


だが、それだけでは終わらない

イナクは凄い速さで何度も、何度も、容赦なく切りかかる

ノアが受けたり、はじいたりするたびに、衝撃が伝わってくる


イナクの豪快な切り込みを、受け続けるノアの顔が、わずかに曇った

その瞬間、イナクが右足でノアの下腹の辺りを蹴り込んだ

ノアが後ろに滑るように吹っ飛ぶ


イナクはとどめとばかりに、追撃して切り込もうとする


すると、ノアが右手を上げた

その瞬間、グアっと圧が伝わる

イナクは上から押さえつけられるように片膝をつき、動けなくなった


「ぐ……なんだ」


俺には分かった

あれは魔力だ

身に覚えがある


ノアは蹴られた下腹を押さえながら言った


「驚いた、強いな、お前」


ノアは懐から、イナクの札を取り出して投げた

いつのまにか判が押してある


「合格だ」


ノアが右手を下げると、イナクを押さえつけていた重圧が消えた


イナクは立ち上がり、飛んできた札を受け取る

まだ少し驚きの残る表情をしていた


そこへナルが駆け寄り、イナクにしがみついた


「なんてことするの……剣で切り合うなんて……」

「怪我したら……死んじゃったらどうするの……」


ナルはポロポロと、涙を流して訴えかける


ミナがナルに駆け寄り、背中をさする


「すまん」


イナクは、ぽつりと謝った


その横を、ノアが横切りながら言った


「イナク、戦いたいなら、俺の所に来い」

「俺は敵が多い。不便はさせん」


そう言われて、イナクの眼に、光が入った気がした


それからイナクは、ナルが泣き止むのを、じっと待っていた



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