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呪いを帯びた銃弾を探せ! 北米死闘篇(完) ~新たなる試練へ~

突如として現れた大統領専用機(エアフォース・ワン)は、マイミたちの上空で垂直降下を始めた。従来であれば水平飛行しかできないガルフストリームを、垂直離着陸機(VTOL)にカスタマイズしているようだった。



「エアフォース・ワン、どうしてここに……」

「エアフォース・ワン、どうしてここに……」


強烈なジェット噴射が辺りの赤茶けた砂を舞い散らす。


マイミたちは衣服で口元を覆ったまま、大型のジェット機が着陸する様子を見つめていた。


やがてハッチが開いた。


現れたのは第45代合衆国大統領、エミリー・クリント。前国務長官であり、合衆国初の女性大統領でもあった。

その傍らには、ダブルのスーツに身を包んだ背の高い東洋人の姿がある。


今度はマイミが驚きの言葉を発する番だった。


「官房長官!」


甘粕官房長官はクリント大統領の手を取り、ハッチに据え付けられたタラップを降りてくる。


「ボス、どうしてここに!?」


マイミの言葉に、官房長官は返事をしなかった。意志の強そうな太い眉の下、大型の猛禽類を思わせる鋭い眼差しが、ホーリーとモーリーを見据えている。


「国家安全保障局が呪いの銃弾を突き止めたと報告を受けたが……」

低く渋いバリトンでそう言った。


「答えなさい。甘粕官房長官は全てを知っている」

大統領は静かにそう言った。


マイミは、女性大統領が官房長官の手を離さないようにしてるのに気付いた。


「…はい。我々はATFのレポートを調査した結果、ヴィンセント・ファーニアの周囲でSPMによる殺人事件が起きていることを突き止めました」


双子は自分たちの調査について語り始めた。


「同時に、日本からやって来た国家危機調査官が、我々と同じターゲットを追っていることにも気づきました。そしてその人物が霧崎マイミ、すなわち霧崎アラタの娘であるということが判明し、推測は確証に変わりました」


官房長官は、傍らに立つ大統領に向き直った。


「エミリー、優秀な部下たちだね」

「ありがとう、幸四郎」


少し距離が近すぎる気がした。


「ボス、これはいったい何なんです。最初からこうなることを見越していたんですか?」

マイミの問いに、ようやく官房長官が顔を向けた。


「霧崎、事態は逼迫している。島根沖に現れた龍型のクリーチャーが、今にも暴れ出しそうなのだ」


「龍が……」


「現在、第7艦隊が佐世保から島根沖に急行している。攻撃機と海兵隊を満載した強襲揚陸艦で十六メートル級のクリーチャーを叩くつもりだ。だが、通常兵器で歯が立つとは思えない」


「だから、ヴィンセントを連れて行こうというわけですか」


全員の目が、ガンスミスの方を向いた。


「……あんたたちは、何か勘違いしてる」


ヴィンセントは脚を引きずりながら、話の輪に加わった。


「俺の作る銃弾は、特定の力を帯びている。だがな、それだけでは十分じゃないと俺は考えている」


その言葉に、官房長官が首を傾げた。


「……どういう意味かな?」


「銃弾は、それだけでは役に立たない」


ヴィンセントの言葉にうなずいたのは、グレイだった。

「銃弾を発射するための、銃の話か」

手にしたリボルバーを持ち上げた。先ほど呪いの銃弾を発射した銃だった。かつて輝くシルバーだったその銃が、くすんだ灰褐色に変色していた。


「どうやら普通の銃では、耐えられないらしいな」


言うとグレイはその銃を地面に放り出した。固い岩盤質の地面に当たった銃は、粉々に砕け散った。


「これはもしかして……塩に?」

「そうだ。塩になってしまった」


一同が言葉を失う中、モーリーが口を開く。


「ヴィンセントの銃弾はSPMの結合を何らかの作用で分解すると考えられています。その反動が、銃弾を発射した銃にも起きたということでしょう」



「呪いを帯びた銃弾を扱うには、それにふさわしい銃が必要ということなのね」

マイミはぼそりと呟いた。

「……それって、Amazonとかに売ってるかしら」



全員の視線が霧崎マイミに集中した。


「えっ……何?何ですかいったい」


「霧崎君、分かっているな」

官房長官がバリトンボイスでそう言った。


マイミはポカンと口を開けた後、その真意をくみ取って肩を落とした。


「……あ、はい。分かります、分かりますよ。つまり……」



大きなため息を一つついた後で、口を開いた。



「新展開ってことですよね。銃弾の次は、銃を探す新章へ突入すると。わかりました、霧崎マイミ、行ってまいります」





つづく


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