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第97話 呪いの浄化

 エリシアの祈りの光が、ゆっくりと収まっていく。

 白く染まっていた視界に色が戻り、ぼやけていた景色が少しずつ鮮明になった。


「……皆さん。大丈夫ですか?」


 穏やかな、いつものエリシアの声。


 視線の先には、青く澄み渡る泉が静かに広がっていた。

 そして、あのまがまがしい黒い人影――呪いの姿は、跡形もなく消え去っている。


「ふう……終わったようじゃの」


 セイが安堵の息を吐いたとき、背後からリアナの声が届く。


「セイっ、ミミさんが変よっ!」


 セイはすぐに振り返り、ミミへ視線を向けた。


「うむ。最後に《惑心》の呪いを受けておったからのう」


 ミミは立ったまま、焦点の定まらない目でふらふらと身体を揺らしている。

 今にも後ろへ倒れそうな背中を、リアナがあわてて支えた。


「この泉……なんだか――」


「――《状態異常回復》!」


 セイは問答無用とばかりに、状態異常回復を発動させた。


「あれ……? わたし……どうしたのかな? なんだか、記憶がふわって飛んじゃってた気がする……」


 ミミは戸惑ったように、きょろきょろと辺りを見回した。


(これで三度目か……そろそろ耐性でもついてくれんものかのう)


 セイは内心でそう呟き、小さく肩をすくめる。


 次の瞬間、リアナが勢いよくエリシアに駆け寄り、そのまま抱きついた。


「エリシアさん、おめでとうございます!

 これで……これで、エリシアさんを縛っていたものは、もうなくなりましたね」


「リアナさん……」


 突然の抱擁に戸惑いながらも、そっと背中に手を回す。

 温かなそのぬくもりに、エリシアは目を伏せた。


 少し遅れて、ミミもおずおずと近づいてきた。


「でもさ、エリシアちゃん。泉の呪い、解いちゃったら……帰っちゃうの?」


 その問いに、エリシアは一度視線を落とす。

 ほんの短い沈黙のあと、ゆっくりと首を横に振った。


「いいえ。私の帰る場所は、もう一つだけですから」


 そう言って顔を上げ、穏やかに微笑む。


「さあ。ルキア村に、帰りましょう」


「エリシアよ。それで、本当にええんか?」


 セイの問いに、エリシアは迷いなくうなずく。


「もちろんです。だって……私を本当に必要としてくれているのは、皆さんですもの」


「エリシアちゃーんっ!」


 ミミが声を上げ、勢いよく飛びつく。


「うええーん! エリシアちゃーん! わたし、感動したよー!」


「あらあら、ミミさん。まるで子供みたいですよ」


 そう言いながらも、エリシアはくすりと笑う。


「……でも、ありがとうございます」


 その様子を見て、リアナがふと首をかしげた。


「でも、エリシアさん。ルキア村に帰る前に、することがありますよね?」


「あっ……そうでした」


 エリシアが思い出したように声を上げる。


 ミミも、ぱっと顔を輝かせた。


「そうそう! それのために、ミミ、すっごく頑張ったんだから! もう身体中、ばっきばきだよっ」


「ふふ、数日間歩きっぱなしでしたもんね?」


「私もなんだか汗くさくなってる気がします……」


 ミミがすんすんと鼻を鳴らし、リアナの肩口に顔を寄せた。


「へへへっ、これがリアナちゃんの匂いかぁ~」


「ミミさんが……なんか変態おやじみたいになってる」


「まあそんなことよりさっ! 早く泥と汗をさっぱり流したいよねっ!」


 三人の声がぴったりと重なる。


「「「温泉!」」」


 その様子を眺めながら、セイはやれやれと息を吐く。

 けれど、その表情はどこか穏やかで、楽しげにはしゃぐ三人を微笑ましく見守っていた。


「よしっ。温泉に向けて、もう少し歩くぞ」


「がんばろーーーっ」


 四人は笑い合いながら、温泉への道を歩き出した。


────────────────────────

▼ステータス情報


【名前】セイ

【年齢】25(肉体年齢)

【職業】テンプレ詰め込み勇者

【レベル】49

【スキル】生活知識大全/魔法知識大全/世界法則書き換え/時間停止/魅了体質/無限成長/強制ハーレム誘導/おじいちゃんの優しさ(ヒロイン全員好感度+100)/威圧/加速支援/魔法適性鑑定/精霊感応/状態異常回復/索敵/ホーリーブースト/空間転移


【同行者】

・ミミ(記憶喪失の少女/推定15歳)

 - 好感度:好き

 - 能力傾向:回復系(第一段階覚醒済)/ヒーラー適性あり

 - 状態:アストラクロスのローブを装備。呪いの耐性は非常に低い

 - 補足:リアナの汗の匂いが意外と好きなことに衝撃を受ける


・リアナ(元騎士団の見習い/19歳)

 - 好感度:大好き

 - 能力傾向:攻撃系(雷・風属性)/貫通・麻痺・加速タイプ

 - 状態:シルクノートの胸当てを装備。温泉に心躍らせまくり

 - 補足:何だかんだで「汗くささ」を気にしている


・エリシア(元聖女様/25歳)

 - 好感度:けっこう高め(信頼がつよめ)

 - 能力傾向:支援・結界・祈祷(神聖属性)

 - 状態:アストラクロスのドレスを装備。魔力は消費気味。少し疲労

 - 補足:過去の因縁を完全に断ち切り、セイたちと生きていくことを誓う

ここまで読んでいただきありがとうございます!

「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、下の【☆☆☆☆☆】やブックマーク、ご感想にて応援いただけると、泣いて喜びます。

次の話もぜひぜひ、よろしくお願いします^^

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