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第93話 精霊との約束

 真っ白な空間――うさ神の世界。


「だいぶ面白くなってきましたね。清太郎さん」


 上下も奥行きも曖昧なその空間で、うさ神は楽しげに耳をぴくぴくと揺らしていた。

 セイ――清太郎たちの世界を眺めながら、その様子を楽しんでいた。


「ちゃんと彼女たちを『正しい選択』へ導いてあげてくださいね?」


「うさ神ちゃん。今日も楽しそうだね……覗き見?」


 不意に、背後から声がかかった。


「うわっ!? ……も、もも神ちゃん!?」


 うさ神はびくりと肩を跳ねさせ、勢いよく振り返る。

 そこには、いつの間にか立っていたもも神の姿があった。


「もうっ! いつも気配なく後ろに立たないでよ。びっくりするよ」


「そう言われても……性分なので」


 もも神は困ったように微笑むが、悪びれた様子はまるでない。


「まあいいや。で、何か用?」


「何か用がないと、来ちゃダメなの?」


「うわっ、もも神ちゃん。それめんどくさいやつだよ……」


「ごめん……。でも、カケラが集まったみたいだから、様子を見に来た」


 その言葉に、うさ神の口元がふっと緩む。


「そっかぁ。もも神ちゃんも気になっちゃうんだ?」


 うさ神ともも神の視線は、自然と“清太郎たちの世界”へと向けられた。


「正しい選択……できそう?」


「どうだろうね……」


 うさ神は耳をぺたりと伏せ、曖昧に笑った。


 もも神はわずかに視線を逸らし、話題を変える。


「……それより、あの子。うさ神ちゃんが言ってた“秘密兵器”」


「あっ、もも神ちゃん。気づいちゃった?

 そう、あの子がわたしの秘密兵器。清太郎さんの選択次第では、出番がないかもだけどね」


「でも……正しい選択が、良い選択とは限らない……」


「もも神ちゃん。難しいこと言って、わたしを言いくるめようとしてもダメだよ」


「ふふっ……うさ神ちゃんが、バカなだけ……」


「まっ、またそうやって傷つくこと言う!」


 次の瞬間、うさ神はもも神の背後に回り込み、ぎゅっと抱きついた。


「ふへへへっ! 捕まえた! 今日こそは逃がさないからね!」


「や、やめてよ、うさ神ちゃん! そ、そこはダメだよ」


 真っ白な空間に、無邪気な笑い声と切実な訴えが響く。


「こちょこちょこちょ――! もも神ちゃんのじゃくてーん!」


「ひっ……うふふっ、あはははは! ひっ……ギブ! ギブだよ、うさ神ちゃん!」


「じゃあ、さっきの失礼な態度は謝ってもらうよ。

 それに、この前言ってた“わたしに膨らみがない”ってのも訂正してもらうからね!」


「はあ……はあ……わかった、ごめんごめん。

 うさ神ちゃんは、膨らみがないんじゃなくて……」


 もも神が、いたずらっぽく口角を上げる。


「膨らみかけ、だもんね」


 言い終えるが早いか、もも神の体はすっと伸びるような仕草とともに、白い空間へ溶けるように消えていった。


「あっ! また逃げられちゃったよ……」


 ぽつんと取り残されたうさ神が、不満げに耳を垂らす。

 白い空間は、再び静けさを取り戻した。


「でも……もも神ちゃんの言う通り、正しい選択って、なんだろうね? 清太郎さん」


 ◇ ◇ ◇


 ルキア村ギルド――応接室。


「もしかして、元の世界へ戻る道もあるということか……」


 大精霊の言葉に、セイははっと顔を上げた。


「セイ……帰っちゃうの?」


 ミミが、不安を隠しきれない表情で見上げる。


「セイさん……」


 エリシアもまた、言葉少なにその名を呼んだ。


「いや、そういう“選択肢”があるかもしれん、というだけじゃ。

 おぬしたちを置いて帰るなど、あるわけなかろう」


 そう言いながらも、セイは小さく眉をひそめた。


「しかし……ワシが、五百年前の勇者とはな。驚くほど、記憶がないんじゃが……」


 その疑問に応じるように、水の大精霊――シュナが口を開く。


「元の世界へ帰る際の“神からの条件”か……

 あるいは、勇者セイ自身がそれを望んだのかもしれません。

 ですが――」


 シュナは言葉を区切り、続けた。


「これから向かう場所で、嫌でも思い出すことになるでしょう」


「うむ? 次の目的地か……。一体、どこへ行かせようとしとるんじゃ?」


 首を傾げるセイに、シュナは静かに告げる。


「五百年前の君の“最後の仕事”。

 賢者の石を“賢者のカケラ”へと分割した場所――輪廻の神殿です。そこへ向かってください」


「輪廻の神殿? それは、どこにあるんじゃ?」


「世界の中心の地――《ヘルセイム》」


「大陸中央、かつて“世界のへそ”と呼ばれた地域ですね。

 現在は『忘れ去られた場所』と総称される、クワルド地方です」


 アルトの補足に、セイは顎に手を当てて考え込んだ。


「そう言えば……べランドへ向かう前にも、そんな話をしとったのう……」


(……)


「っておい。そこは魔王が封印されとる城がある場所じゃろ!」


 思わず声を張り上げると、シュナが静かに頷く。


「その通りです、勇者セイ。

 これが最期の旅となる可能性もあります。どうか、万全の準備を」


「うむ……旅も、いよいよ大詰めというわけじゃな」


 短い沈黙が、その場を包んだ。


「あっ、そうじゃ。

 そもそも――おぬしたちを呼び出した理由を、聞きそびれておったな」


 光の大精霊リュアが、ふわふわと前へ出る。


「賢者の石のこと……ですよね?」


「そうそう。賢者のカケラが集まったところで、肝心の“作り方”がさっぱりでな……」


「うん……なるほど」


 リュアは少し困ったように微笑み、首を傾げた。


「勇者セイ。少し勘違いがあるみたいだね……

 でもまあ、今はそれでいいかな」


「勘違い……?」


「いずれにせよ、ここまでの話でもう察しはついていると思うけど――

 賢者の石を手にする方法は一つ。その神殿へ向かうことなんです」


 それを受けるように、シュナが静かに続けた。


「そこですべてをお話しましょう」


────────────────

▼ステータス情報


【名前】セイ

【年齢】25(肉体年齢)

【職業】テンプレ詰め込み勇者

【レベル】47

【スキル】生活知識大全/魔法知識大全/世界法則書き換え/時間停止/魅了体質/無限成長/強制ハーレム誘導/おじいちゃんの優しさ(ヒロイン全員好感度+100)/威圧/加速支援/魔法適性鑑定/精霊感応/状態異常回復/索敵/ホーリーブースト/空間転移


【同行者】

・ミミ(記憶喪失の少女/推定15歳)

 - 好感度:好き

 - 能力傾向:回復系(第一段階覚醒済)/ヒーラー適性あり

 - 状態:アストラクロスのローブを装備。セイが元の世界に帰るのではと気が気でない

 - 補足:セイには帰ってほしくない


・リアナ(元騎士団の見習い/19歳)

 - 好感度:大好き

 - 能力傾向:攻撃系(雷・風属性)/貫通・麻痺・加速タイプ

 - 状態:シルクノートの胸当てを装備。セイが元の世界に帰るのではと気が気でない

 - 補足:セイには絶対に帰ってほしくない


・エリシア(元聖女様/25歳)

 - 好感度:けっこう高め

 - 能力傾向:支援・結界・祈祷(神聖属性)

 - 状態:アストラクロスのドレスを装備。セイが元の世界に帰るのではと気が気でない

 - 補足:セイの選択を尊重したい

ここまで読んでいただきありがとうございます!

「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、下の【☆☆☆☆☆】やブックマーク、ご感想にて応援いただけると、泣いて喜びます。

次の話もぜひぜひ、よろしくお願いします^^

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