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第59話 カイルの依頼

 黒い灰が風に舞い、ようやく場に静けさが戻った。

 張り詰めていた空気がほどけ、セイは腕を組み、小さく呟いた。


「ふむ……やはりBランクの実力、たいしたものじゃな。ワシが出る幕はなかったようじゃ」


 その言葉にリアナが素直に頷いた。


「本当に……泉でのあの出来事が嘘みたい。こんなに強いなんて」


「いや、あれは単に相性の問題じゃろう。ワシらとて、あの時エリシアがいなければ、同じ結末になっとったわい」


 セイが肩をすくめて苦笑すると、ミミが無邪気に笑いながら、隣のエリシアを見上げる。


「えへへ……やっぱり聖女さまはすごいね!」


「ちょ、ちょっとやめてください……恥ずかしいです」


 エリシアは顔を赤らめ、手をそわそわとさせながら視線を落とした。


 そんなやり取りの最中、《クリムゾン・ジャッジメント》の三人が戻ってくる。

 剣を払って鞘に収めたカイルが、安堵の息を吐きながら声をかけてきた。


「セイさんたちも駆けつけてくださったんですね。ありがとうございます」


 セイは顎に手をやり、感心したように笑う。


「いや、少しは手を貸そうと思っておったが……その必要は全くなかったようじゃ」


 そのとき、ミミが「あっ」と声を上げて駆け寄った。


「ジンさん、肩が血で濡れてる! ちょっと待って――《癒しの手》!」


 両手をかざすと、温かな光がジンの肩を包み込む。

 じんわりと力が流れ込み、大きく裂けていた傷がみるみる塞がっていった。


「……すごい、痛みが消えていく」


 ジンが目を見開き、カイルもメリサも思わず感嘆の声を漏らす。


「僕たち、専門のヒーラーがいなくて。いつもは回復薬や包帯に頼るしかなかったんです」


 カイルが苦笑すると、ミミは胸を張ってにっこり。


「じゃあ次は、カイルさんとメリサちゃんも癒しちゃうよー!」


 そう言って――両手を前に出し、空気を『もみもみ』するような妙な仕草。

 なんとも言えない不穏な光景に、カイルとメリサはそろって一歩下がった。


「い、いや! 僕は怪我なんてありませんから、大丈夫です!」

「わ、私もっ! 元気いっぱいだから!」


「えいっ――《癒しの手》!」


 ミミが元気よく両手を突き出すと、ぽわっと柔らかな光の球が放たれる。

 ふわふわと漂う光はメリサの方へまっすぐ――


「え、えっ? な、なんで私っ!?」


 慌てて後ずさるも、光は容赦なく彼女を包み込む。


「ふぁぁぅっ……!?」


 肩を押さえて小さく身を震わせるメリサ。

 力が抜けたように、膝がわずかに揺れる。


「な、なんか……すっごく、癒されてる感じ……っ」


 心地よさそうに呟く彼女に、ミミは満足げににこにこ。


「でしょーっ♪ これが、わたしの癒しの力だよ!」


 そこでエリシアが、慌ててミミの肩を叩いた。


「ミミさん、必要以上の魔法は体力を消耗しますし……それに、皆さん少し困ってますよ」


「うっ……わかったぁ」


 ミミは頬をふくらませてむすっと腕を組む。

 エリシアはほっとしたように小さく息をついた。


 その様子にメリサが思わず吹き出し、周囲にも小さな笑いが広がる。

 さっきまでの緊張感は、すっかり和らいでいた。


 そんな中、カイルが両手を叩いて声を張る。


「さて、そろそろ戻りましょうか。《カルディナ》までの道もまだ長いですからね」


 一行は頷き合い、もと来た街道へと足を向ける。

 御者が軽く帽子を上げて迎えると、ぎし、と音を立てて馬車に乗り込んだ。


 やがて馬車は走り出し、再びカルディナへと向かう。

 車輪のきしむ音と、ゆったりとした揺れが続く。


 揺られる馬車の中、セイがふと思い出したように口を開いた。


「そういえば……今さらなんじゃが、なぜカルディナまで、ワシらと一緒に来ておるんじゃ?」


 その問いに、カイルは窓の外を見やりながら答える。


「カレンさんがいつも言うんです。『キラキラ☆おひさま団の皆さんが』って。それで、どんな方々なのかこの目で確かめたくて」


「ほう。それで実際、どうじゃった?」


 顎に手を当てるセイに、カイルはまっすぐな目で言い切った。


「カレンさんの言う通りでした。とても強くて……そして――とてもやさしい」


「いや、ワシらは大したことはしとらんぞ」


「そんなことはありません。森で倒れていた僕たちを助け、運んでくださったじゃないですか」


「それくらいは、誰だってするじゃろう……」


「いえ、あの状況で人のために森へ入れるのは、なかなかできることではありません」


 セイはしばし黙り、わずかに肩を揺らして苦笑する。


「……まあ、そこまで言うてくれるなら、ありがたく受け取っておくかの。こう見えても、ワシは褒められて伸びるタイプじゃからな」


 そんな会話を交わすうちに、馬車は無事にカルディナへ到着する。

 町の門をくぐり、石畳を踏みしめながらカイルが改めて尋ねた。


「セイさんたちは、この先はどのように進まれるのですか?」


「実はまだ何も考えておらん。この町で適当な馬車を借りるか、他の手段を探すつもりじゃ」


 リアナが財布の紐を気にするように肩をすくめる。


「お金の問題もあるし、あまり贅沢はできないわよ」


「えー、でも馬車で行きたいよー」


 駄々をこねるミミに、カイルが提案を持ちかけた。


「でしたら……少し遠回りにはなりますが、一緒に《カルナス村》へ行きませんか?

 アンデッドの調査、必要なら討伐も。我々に協力いただければ、報酬もお支払いできますし」


「カルナス村なら、馬車の手配は任せろ。格安で引き受けてやる」


 ジンが力強く親指を立てる。


「悪くないわね。ミミさんたちともう少しお話したいし」


 メリサも柔らかく微笑んだ。


「とても魅力的な提案じゃが……」


 セイはちらりと横目でリアナを見る。


「そうね。徒歩での移動は現実的じゃないし、馬車の件も助かるわ。お金のことを考えたら……断る理由はないわね」


「よし、決まりじゃ。世話になるぞ」


 セイの言葉に、ミミが嬉しそうにメリサへ飛びつく。


「やった♪ よろしくね、メリサちゃん!」


「え、ええ……よろしく。ミミさん」


 頬を染めるメリサを見て、カイルが思わず口を挟んだ。


「……おかしいな。最初は『馴れ合う気はない』って言ってなかったか?」


「う、うるさい! 状況が変わったのよ!」


 メリサの真っ赤な反論に、一行の笑い声がカルディナの街角に響き渡った。


────────────────────────

▼ステータス情報


【名前】セイ

【年齢】25(肉体年齢)

【職業】テンプレ詰め込み勇者

【レベル】36

【スキル】生活知識大全/魔法知識大全/世界法則書き換え/時間停止/魅了体質/無限成長/強制ハーレム誘導/おじいちゃんの優しさ(ヒロイン全員好感度+100)/威圧/加速支援/魔法適性鑑定/精霊感応/状態異常回復/索敵


【同行者】

・ミミ(記憶喪失の少女/推定15歳)

 - 好感度:好き

 - 能力傾向:回復系(第一段階覚醒済)/ヒーラー適性あり

 - 状態:旅人風の白いワンピースを装備。回復魔法を無駄うちして少しだけ疲労

 - 補足:回復魔法に「もみもみ」という独自の予備動作を取り入れることで、メリサに精神的な衝撃と肉体的な快復を与えた


・リアナ(元騎士団の見習い/19歳)

 - 好感度:好き

 - 能力傾向:攻撃系(雷・風属性)/貫通・麻痺・加速タイプ

 - 状態:黒を基調とした剣士風ドレスを装備。疲れる要素なし。体力万全

 - 補足:パーティのお財布係として、セイやミミの浪費ぐせをちょいちょいたしなめている


・エリシア(元聖女様/24歳)

 - 好感度:かなり高

 - 能力傾向:支援・結界・祈祷(神聖属性)

 - 状態:青と白のシスターっぽい洋服を装備。疲れる要素なし。体力万全

 - 補足:さいきんはおっとりではなくしっかりになってきた感じがする今日この頃

ここまで読んでいただきありがとうございます!

「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、下の【☆☆☆☆☆】やブックマーク、ご感想にて応援いただけると、泣いて喜びます。

次の話もぜひぜひ、よろしくお願いします^^

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