第108話 Cランク試験報告とひとやすみ
ルキア村ギルド――受付カウンター。
受付前の空間がゆらりと揺らぎ、次の瞬間、セイたちが姿を現した。
その気配に気づいたカレンが顔を上げ、にこやかに微笑む。
「あっ、お帰りなさい! キラキラ☆おひさま団の皆さん」
「昇格試験の報告に来たぞい」
セイがカウンターへ歩み寄ると、カレンはどこか言いづらそうに視線を泳がせた。
「あの……一つ、お聞きしたいことがあるのですが……」
「なんじゃ?」
「皆さん、転移されるとき……いつも私の目の前に現れますよね? あれは、その……毎回そうなってしまうのでしょうか?」
「うむ。転移はな、ワシを知っておる者の近くにしか出られんみたいなんじゃ」
「そうですか……。日中、こうして仕事中でしたら問題ありませんが……夜や休日ですと、少し困ってしまいまして。もし……お風呂や就寝中に突然現れましたら……私、どうしていいか……」
頬を染めながら、カレンはもじもじと指先を絡める。
「夜中にいきなりセイが血だらけで現れたりしたら、もうホラーだもんねっ」
ミミがいたずらっぽく笑うと、リアナがすかさず口を挟む。
「ホラー以前に、女性の部屋へ突然現れること自体が問題ですよ、ミミさん」
「確かに、それはまずいのう……。便利なようで、案外融通が利かんの」
「申し訳ございません。日中、私がここにいる間でしたら……いつでも受け入れますので」
「うむ、気をつけよう。ところで、試験の結果はもう届いておるかの?」
「いえ。セイさんたちは一日で終えられましたが、通常Cランク試験は一週間の期間内で行われます。現在はまだ試験期間中ですので、正式な結果は届いておりません」
「少し急ぎすぎたかの?」
「いえいえ、さすがとしか言いようがありません。正式な連絡が届き次第、Cランクとして登録を更新いたしますね」
「うむ。頼んだ。それと、Bランク昇格試験の予定も聞いてよいか?」
カレンは手元の資料をめくりながら答えた。
「BランクやAランクの昇格試験となりますと、そう頻繁には開催されないんです」
「ふむ」
「あっ……次回は二か月後ですね。場所は大陸西部の《ベルグラード》になります」
「そこだと、王都からさらに馬車で五日ほどかしら」
「はい。《ベルグラード》のギルドは本部ほどではありませんが、かなり大規模です。登録者数だけなら王都支部に匹敵するほどですよ」
「少々遠いが……それを逃すと、また先になるんじゃろ?」
「そうですね。しかも次の開催地は、さらに遠方になる可能性もございます。
お申し込みなさいますか?」
セイは小さく息を吐き、にやりと笑う。
「よし。申し込みを頼もう」
「はい、承りました! キラキラ☆おひさま団の皆さま。このままAランクまで駆け上がりましょう!」
「うむっ。任せておけいっ!」
◇ ◇ ◇
ルキア村の中心から少し離れた外れ――セイたちのマイホーム。
「ただいまー!」
扉を開けるなり、ミミの元気な声が家中へ響く。
その声に応えるように、ふわりと小さな幽霊――モフルが姿を現した。
「おかえりなさいませ。リアナさん、ミミさん、あと……聖女も」
「こら、モフル。ちゃんとエリシアさんって名前で呼ばないとだめでしょ」
リアナにたしなめられ、モフルはそわそわと宙を漂う。
「はい。分かってはいるのですが、どうもまだ慣れなくて……」
「いいんです、リアナさん。呼び方なんて。
私がいても出てきてくれるようになっただけで、嬉しいですから」
エリシアはやわらかく微笑んだ。
「聖女、いいやつ」
思わず漏れた本音に、リアナがきりっとモフルをにらむ。
モフルはびくりと肩らしきものを震わせ、しょぼんと耳を垂らした。
「ま、まだ用事の途中でしたので……」
そう言い訳すると、逃げるように奥へ引っ込んでいった。
◇
「皆さま、夕食のご用意ができました!」
やがてモフルの声が響き、香ばしい匂いに誘われるように皆が食卓へ集まる。
席に着くと、エリシアが祈るように両手を合わせた。
それに倣い、全員が手を合わせる。
「いただきまーす!」
ミミの声を合図に、にぎやかな夕食が始まった。
「当面の目標はAランクじゃが……まだ時間がかかりそうじゃのう。直近のBランク試験までも、だいぶ間が空いておる」
湯気の立つスープを口に運びながら、セイがつぶやく。
少し間を置き、リアナがおずおずと口を開いた。
「あのさ……私、少し実家に帰ってきてもいいかな?」
「まあ、時間もあるしの。久しぶりの帰郷、羽を伸ばしてくるのもええんじゃないか?」
セイはあっさりとうなずく。
「いいなあ、リアナちゃん。わたしには……ここ以外、『帰る場所』の記憶もないからなあ」
ミミは少し寂しそうに笑った。
その表情を見たリアナは、小さく目を伏せてから口を開く。
「じゃあ……ミミさんも、一緒にどうですか?」
「えっ、ほんとに? 行ってもいいの?」
ミミはぱっと顔を輝かせ、胸の前で両手をぎゅっと握る。
「うん。……ミミさんにも、『家族』っていう感じを味わってもらえたら嬉しいなって」
「それって……ちょっとリアナちゃんの家族になるみたいな……へへっ、なんか、すごく嬉しいかも」
「もう、そんな言い方しないでください……っ。でも、喜んでもらえるなら、私も嬉しいです」
和やかな空気の中、セイが箸を止めた。
「ワシは? 行かんでもええんか?」
「セイは……まだ来なくていいの」
「まだ? 『まだ』とはどういう意味じゃ?」
リアナは頬を赤く染め、そっと視線をそらす。
その様子を見て、エリシアが意味ありげにくすりと笑った。
「ではセイさん。私たちはルキア村でお留守番しましょう。
美味しいお店、また見つけたんですよ」
「おう、そじゃのう。Bランク試験は遠征になりそうじゃし、旅費も稼いでおかねばならん」
セイはうなずき、二人へ視線を向けた。
「ではリアナ、ミミ。気をつけて行くんじゃぞ」
「いや、出発はまだ明後日だからね!
エリシアさん、セイのことよろしくお願いします」
「子ども扱いするでない……」
セイが小さくぼやくと、食卓にやわらかな笑い声が広がった。
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▼ステータス情報
【名前】セイ
【年齢】26(肉体年齢)
【職業】テンプレ詰め込み勇者
【レベル】53
【スキル】生活知識大全/魔法知識大全/世界法則書き換え/時間停止/魅了体質/無限成長/強制ハーレム誘導/おじいちゃんの優しさ(ヒロイン全員好感度+100)/威圧/加速支援/魔法適性鑑定/精霊感応/状態異常回復/索敵/ホーリーブースト/空間転移
【同行者】
・ミミ(記憶喪失の少女/推定16歳)
- 好感度:好き
- 能力傾向:回復系(第一段階覚醒済)/ヒーラー適性あり
- 状態:アストラクロスのローブを装備。リアナからの誘いを心から喜んでいる
- 補足:セイ・エリシアとは一時的にお別れが少し寂しい
・リアナ(元騎士団の見習い/19歳)
- 好感度:大好き
- 能力傾向:攻撃系(雷・風属性)/貫通・麻痺・加速タイプ
- 状態:シルクノートの胸当てを装備。実家帰省になにか思いふけっている
- 補足:家族に紹介するのは「まだ(心の準備ができていない)」とのこと
・エリシア(元聖女様/25歳)
- 好感度:好き
- 能力傾向:支援・結界・祈祷(神聖属性)
- 状態:アストラクロスのドレスを装備。なんだかご機嫌
- 補足:留守番中のセイとのデート?が楽しみで仕方ない
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