第106話 試験のあとの休日
冒険者ギルド王都支部――サンドドレイク討伐の翌日。
応接室のソファに腰掛けたヴァルドが、静かに頭を下げた。
「申し訳なかった……」
重い沈黙のあと、苦い表情のまま言葉を続ける。
「ギルドの事前調査不足だ。試験依頼に選ぶにあたり調査はしていたが、想定していたのは通常個体のサンドドレイクだった。
持ち帰った牙と爪を見る限り、今回の個体は規格外だ。おそらく、索敵地点よりさらに深くに潜んでいたのだろう」
レオンは肩をすくめ、小さく笑った。
「気にするな。こうして生きて帰れたんだ。結果オーライだろ?」
ヴァルドは小さく息を吐き、問いかける。
「グラムは……無事か?」
「ああ。奇跡的に命は取り留めたよ。『キラキラ☆おひさま団』のミミとエリシアのおかげだ。意識はまだ戻っていないが、今は中央通りの診療所で休ませている」
「そうか……。ならよかった。グラムの治療はギルドの回復術士に任せてくれ。全快まで時間はかかるだろうが、責任を持って対応しよう」
「ああ、こちらこそお願いしたい」
レオンが真剣な表情で頷いた、そのとき――
横からミミが身を乗り出し、目を輝かせた。
「で! 肝心の試験の結果はどうなの!?」
「……本来の討伐対象はサンドワームだ。しかし、それ以上の脅威であるサンドドレイクを討伐した功績は大きい。文句なしの合格だ」
「「やったぁぁぁ!」」
ミミとリアナの歓声が部屋に響き渡る。
ヴァルドは苦笑しながら、セイへ視線を向けた。
「しかし、よく生きて帰れたな。サンドドレイクはBランクでも全滅しかねん相手だ。今回のような規格外の個体となれば……Aランクでも厳しい。さすがは『勇者』といったところか」
その言葉に、レオンが目を見開く。
「は? 勇者? 君がか?」
「うむ。まあ、なんちゃってではあるがの。ワシの勇者の称号は――」
「ふん。なら納得だ。僕ほどではなかったが、あのときの動きとリアナとの連携は見事だった」
リアナは両手で頬を押さえ、「もっと言って」とうれしそうな視線を送る。
「当然じゃ。ワシらは息ぴったりじゃからの」
胸を張るセイの隣で、リアナは照れながら身をよじった。
「ところで、おぬしらはこれからどうするんじゃ?」
話を切り替えられ、リアナは残念そうに肩を落とす。
それには構わず、レオンが答えた。
「僕はこのパーティ以外で冒険するつもりはない。グラムの回復を待って、また再開するさ。……最短Aランクの記録は逃すことになるが、今回でよく分かった」
「ほう?」
「実力はあっても、圧倒的に経験が足りていない。まずは身の丈に合った依頼をこなしながら、一歩ずつAランクを目指す!」
(相変わらずの自信家じゃが……ようやく足元も見えるようになってきたようじゃな)
「そうか。精進するがよいぞ!」
「ははは! 言われなくてもそうするさ。
すぐに追いつく。先にAランクで待っていてくれよ」
その隣で、リィナも決意を込めて口を開く。
「私も、ミミさんとエリシアさんに助けられて、自分の未熟さを痛感しました。同じDランクとは思えない力と判断力で、本当にすごいと思いました。
だから、グラムが治るまでたくさん勉強して、もっと特訓するつもりです」
「うん、頑張ってね、リィナちゃん!」
ミミが笑顔で応え、エリシアも静かに頷いた。
去り際、レオンが思い出したように振り返る。
「あ、そうだ。僕たちは大陸南方の《ルガーノ》って街のギルド所属だ。機会があれば寄ってくれ。歓迎するぜ」
「ルガーノ!? 大陸屈指の貿易都市じゃないですか!」
リアナが目を輝かせる。
「王都とは違う発展を遂げた大都市……! ぜひ行ってみたいですっ!」
「あはは、再会は意外と早そうだな。じゃあ、僕たちは失礼する。グラムの顔を見てくるよ」
「ああ、またな」
セイは軽く手を挙げ、彼らを見送った。
「さて、ワシらもそろそろルキア村に帰るかの?」
そう言った瞬間――
隣のエリシアが、ぷくっと頬を膨らませてセイを睨んでいた。
「……セイさん。何か、大事なことを忘れていませんか?」
「あっ、そうじゃった。エリシアからすれば、そっちが本命じゃったな。王都観光!」
「その言い方、ちょっとトゲがありますけど……まあ、いいです。じゃあ、王都観光、いっちゃいますかー!」
「お、エリシアちゃん、前回にもましてノリノリじゃん」
さっそくエリシアとミミは、楽しそうに観光の計画を立て始める。
その隣で、セイはリアナにこそっと耳打ちした。
「おい。あの宿、もう一泊いけるか?」
リアナは財布をのぞき込み、首をひねる。
「うーん、無理ね。今日はもっと安い宿にしないと」
セイはパンと手を叩いた。
「よし、まずは今日の宿を確保じゃ! そのあとは自由時間! それぞれ好きに動いてええぞ!」
「「やったー!」」
エリシアとミミの声が、ぴたりと重なった。
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▼ステータス情報
【名前】セイ
【年齢】26(肉体年齢)
【職業】テンプレ詰め込み勇者
【レベル】53(+2)
【スキル】生活知識大全/魔法知識大全/世界法則書き換え/時間停止/魅了体質/無限成長/強制ハーレム誘導/おじいちゃんの優しさ(ヒロイン全員好感度+100)/威圧/加速支援/魔法適性鑑定/精霊感応/状態異常回復/索敵/ホーリーブースト/空間転移
【同行者】
・ミミ(記憶喪失の少女/推定16歳)
- 好感度:好き
- 能力傾向:回復系(第一段階覚醒済)/ヒーラー適性あり
- 状態:アストラクロスのローブを装備。王都観光にテンションUP
- 補足:いろいろあったけど無事に昇級試験合格となり大盛り上がり中
・リアナ(元騎士団の見習い/19歳)
- 好感度:大好き
- 能力傾向:攻撃系(雷・風属性)/貫通・麻痺・加速タイプ
- 状態:シルクノートの胸当てを装備。財布の中身を警戒中
- 補足:セイとの息の合った連携を褒められ満更でもない様子
・エリシア(元聖女様/25歳)
- 好感度:好き
- 能力傾向:支援・結界・祈祷(神聖属性)
- 状態:アストラクロスのドレスを装備。王都観光にテンション最高潮
- 補足:本来のお目当てであった「王都観光」の許可が降りたことでミミと共に全力で楽しむ気満々
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