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第104話 砂漠の冒険者たち

 冒険者ギルド王都支部――Cランク昇格試験当日の朝。


 セイは、同じチームBに割り振られた別パーティのもとへ歩み寄り、気さくに声をかけた。


「よろしく頼む。ワシらは『キラキラ☆おひさま団』じゃ」


 それに応えるように、リーダーらしき青年が一歩前へ出る。


「ああ、よろしく。僕たちは《シルヴァーエッジ》。期待のルーキーだ!」


(自分で言ってしまうとは……実にテンプレな自信家じゃのう)

 

 セイの内心など気にも留めず、青年は自信満々に続けた。


「僕が剣士のレオン。金髪で、いつも後ろで軽く束ねている。

 こっちの、大柄で茶髪短髪なのが前衛タンクのグラム。

 それから、後ろにいる栗色ショートの子が魔法使いのリィナだ」


 なぜか髪型ばかりにこだわった自己紹介が終わった、その直後――


「はいっ!」


 元気よく手を挙げながら、ミミが前へ飛び出した。


「わたしはミミ! 魔法使いだよ! 銀髪で、髪は肩くらいの長さかな。

 それで、リーダーはこの人、セイ! 若いのに喋り方がおじいちゃんなのは、まあ気にしないでね!」


「おい」


 軽く突っ込むセイをよそに、ミミは勢いそのままにたたみかける。


「それから、赤髪ポニーテールの剣士がリアナちゃん!

 そのとなりの、青髪ロングでめっちゃきれいなのが聖女のエリシアちゃんだよ!」


 すっかりレオンの自己紹介スタイルに引っ張られているが、本人はそれで満足げだった。


 ひととおり挨拶が済むと、レオンが探るような視線を向けてくる。


「……ところで、君たちは冒険者になってどれくらいなんだ?」


「うーむ……だいたい一年ほどかのう」


 その答えに、レオンはどこか勝ち誇ったような笑みを浮かべた。


「僕たちは二か月前に登録したばかりだ。このままAランクまで、最短記録で駆け上がるつもりさ。今回は僕たちと同じグループになれた幸運を、喜んでくれていい。昇格は保証するよ」


「それは頼もしいのう」


 胸を張るレオンに、セイは曖昧な笑みを返すだけにとどめた。


 そのとき、試験官のヴァルドが一歩前へ出る。


「では、依頼内容を伝える」


 低く落ち着いた声が響いた瞬間、その場の空気がぴんと張り詰めた。


「チームAの依頼は、王都近郊に住み着いた《オーク》の討伐。

 チームBの依頼は、砂丘で目撃証言が急増している《サンドワーム》の討伐だ」


 自分たちの依頼内容を聞いた瞬間、リアナがわずかに眉をひそめる。


「……サンドワーム?

 Cランクの討伐試験にしては、少し難易度が高くないかしら?」


 ぽつりと漏れたその疑問に、レオンは即座に肩をすくめてみせた。


「サンドワームなんて、入門も入門じゃないか。まあ、僕たちに任せておいたらいい」


 自信満々な言い切りに、リアナは小さく息を吐く。


「うーん……そういうことじゃないんだけどなあ。まあ、試験に選ばれてるくらいだから、事前の調査は済んでる……かな」


 納得しきれない様子を残しつつも、それ以上は口にしなかった。


 ヴァルドは一同を見渡し、簡潔に締めくくる。


「以上だ。健闘を祈る」


 その言葉を合図に、各パーティがそれぞれの門へと動き出す。


 ――チームAは東門。

 ――そして、チームBは西門。


 目的地の砂丘地帯までは、馬車でも半日ほどかかる距離だ。


「砂丘の夜はとても冷えるからな。本日中に戻れるよう、馬車を使って移動しよう」


「そうじゃな。では、あそこで借りるか」


 手続きを済ませ、借りた馬車にそれぞれ乗り込む。

 レオンが率先して御者台に座り、「任せてくれ」と馬を走らせた。


 揺れる馬車の中、両パーティは向かい合わせに座っている。

 ふと、ミミが不思議そうにリィナを見つめた。


 見るからに、防御力が低そうな装いだ。


「ねえ、リィナちゃん。その格好……寒くないの?」


「いえ……。でも本当は、ちょっとだけ寒いです」


「だよね、だよね。だってかなり薄着だし。さっきから、その……見えちゃいそうで」


 率直すぎる指摘に、馬車内の空気が一瞬、微妙なものになる。


「えっ……!? ち、ちが……その……! でも、これが魔法使いの正装だって……」


 リィナは慌てて膝を閉じ、身をかがめるように俯く。

 栗色の髪の隙間から、耳まで赤くなっているのがはっきり分かった。


「こ、これは魔力効率を優先した結果で……。

 なるべく空気中の魔力を感じ取れるようにすると、どうしても露出が……」


「あー、なるほど!」


 ミミはぽんと手を打つ。


「魔法使いあるあるなんだね! わたしももっとこう、肌とか出した方がいいのかな?

 エリシアちゃんもそういうのってある?」


「……私は、もう少し普通の格好をしますね」


「だよね」


 にこやかに微笑みつつ、さりげなく距離を取るエリシア。


 一方、シルヴァーエッジの男性陣二人は――


「そ、そうだったのか……。てっきり見せたがりなのかと」


 妙に感心した様子で頷いたレオンは、慌てて咳払いをひとつ。


「ま、まあ! 実力があれば服装なんて些細なことだよな! ははは!」


 グラムも調子を合わせるように笑う。


「ひ、人を変質者みたいに言わないでっ!」


(どちらも動揺が隠しきれておらんのう……)


 ◇


 やがて、視界が一気に開けた。


 馬車道の先に広がっていたのは、果てしなく続く砂丘だった。

 風に削られた砂の起伏が、陽光を強く照り返している。


 砂丘の入口で馬車を降り、両パーティは並んで砂の上へ足を踏み入れた。


 靴裏が沈み込む感触と同時に、熱気が一気に押し寄せる。


「最近は寒くなってきたはずじゃが……砂丘はやけに暑いのう……」


「はは。無理もないよ。日差しを遮るものもないし、照り返しも相当だ。

 体調を崩さないよう気をつけたほうがいい」


 レオンの言葉にうなずきつつ、一行は砂丘を進む。


 だが――肝心のサンドワームは、なかなか姿を現さない。


 見渡す限りの砂と空。

 足を止めるたび、さらさらと砂が音を立てて崩れるだけだ。


 リアナが、セイに小声で話しかけた。


「やっぱり、試験用に選ばれてるだけあって……大丈夫そうね」


「何がじゃ?」


────────────────────────

▼ステータス情報


【名前】セイ

【年齢】26(肉体年齢)

【職業】テンプレ詰め込み勇者

【レベル】51

【スキル】生活知識大全/魔法知識大全/世界法則書き換え/時間停止/魅了体質/無限成長/強制ハーレム誘導/おじいちゃんの優しさ(ヒロイン全員好感度+100)/威圧/加速支援/魔法適性鑑定/精霊感応/状態異常回復/索敵/ホーリーブースト/空間転移


【同行者】

・ミミ(記憶喪失の少女/推定16歳)

 - 好感度:好き

 - 能力傾向:回復系(第一段階覚醒済)/ヒーラー適性あり

 - 状態:アストラクロスのローブを装備。馬車移動で少しお疲えれ

 - 補足:そういえばクリムゾンジャッジメントのメリサも防御力低そうな装いだったなと思い出したけど、理由を知って納得。でも自分は普通でいいやと思ったとか


・リアナ(元騎士団の見習い/19歳)

 - 好感度:大好き

 - 能力傾向:攻撃系(雷・風属性)/貫通・麻痺・加速タイプ

 - 状態:シルクノートの胸当てを装備。サンドワームとは違う何かを警戒中

 - 補足:ミミの紹介が、「赤髪ポニーテール」だけだったのに少し不満


・エリシア(元聖女様/25歳)

 - 好感度:けっこう高め

 - 能力傾向:支援・結界・祈祷(神聖属性)

 - 状態:アストラクロスのドレスを装備。馬車移動でお尻痛い

 - 補足:魔法使いが肌の露出が多い服装な理由を初めて知る。でも自分は普通でいいと決意

ここまで読んでいただきありがとうございます!

「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、下の【☆☆☆☆☆】やブックマーク、ご感想にて応援いただけると、泣いて喜びます。

次の話もぜひぜひ、よろしくお願いします^^

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