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第102話 Cランク昇格試験

「じゃあさ、じゃあさ……今晩は寝かさないからねー!」


「おい。明日は昇格試験じゃぞ。朝も早いんじゃから――」


「大丈夫よ、セイ。ミミさん、いつもそう言うけど、結局寝る時間はお子様並みに早いんだから」


「なっ……! そんなことないもん! 今日は絶対、寝かさないんだからっ!」


 女将に案内され、一行は廊下を進み、最奥の客室へと通される。

 引き戸が静かに開かれた瞬間――


「……うわ」


 ミミが目を輝かせた。


「この部屋、露天風呂ついてるよ!」


 障子越しに見えるのは、自然石で造られた露天風呂だ。

 ごつごつとした岩に囲まれ、立ち上る湯気の向こうには中庭の緑がのぞいている。


「……やっぱり、部屋は分けたほうが良かったんじゃないかのう……」


 セイがぼそりと漏らすと、すぐさまミミが食いつく。


「なに言ってんの、セイ! 別にお風呂入ってるの、見てもいいよ?」


「ば、バカを言うでない!」


 即座に言い返し、セイはぷいと顔を背けた。


「ワシは大浴場を使う。その間に女子同士で好きに使うとええ」


「えー……残念」


 ミミは肩を落とし、あからさまに不満そうな顔をする。

 その横で、リアナがぽつりと漏らす。


「……別に、いいのに……」


 ほどなくして、部屋に料理が運ばれてきた。

 湯気の立つ料理が次々と並び、香ばしい香りが部屋いっぱいに広がる。


「うわ、おいしそう!」


「部屋食って、王都に来てから初めてかもしれんのう」


「えっ、わたしもだよ!」


 他愛のない話をしながら、皆で料理に箸を伸ばす。

 笑い声の絶えない、賑やかな夕食となった。


 食事を終え、それぞれが一息ついたところで、セイが立ち上がる。


「ほな、ワシは大浴場に行ってくるかのう」


「えー。セイ、本当に見なくていいの?」


 ミミが悪戯っぽく首をかしげる。


「……ミミよ」


 セイは一瞬言葉に詰まり、それから小さく咳払いをした。


「そこまで言うからには、覚悟はできとるんじゃろうな。

 ワシがおぬしの身体の隅々まで、じっくり舐めるように――」


「いやあー! へんたいっ!」


 ミミが叫び、枕をセイへ投げつける。


「今のはさすがに度が過ぎてるわよ」


 リアナが呆れたように言い、


「セイさん……」


 エリシアも言葉を失っていた。


「なんじゃなんじゃ、みんなして……。ミミがあまりにもしつこいから、乗っただけじゃろうが。もうええわい。風呂行ってくる!」


 すっかり拗ねた様子で、セイは足早に部屋を後にした。


 ◇


 翌朝――Cランク昇格試験の日。


 早朝からギルド前には、すでに数組のパーティが集まり始めていた。


「ふぁぁ……ねむいよぉ……昨日の枕投げ大会で張り切りすぎちゃったよ……」


 大きなあくびをしながら、ミミが肩を落とす。


「でも、とてもいい宿でしたね」


 エリシアは穏やかな笑みを浮かべる。


「そうじゃな。いつの間にかミミの足がワシの上に乗っとったこと以外は、実に快適じゃったわい」


「ミミさんの寝相は、もはや異次元だからね」


 リアナが苦笑した。


「まあいいじゃん。そんなことより、ちゃんと試験に備えないと」


 ミミは話題を切り替えるように言うと、ぱっと表情を引き締めた。


 やがて集合を知らせる鐘が街中に高らかに鳴り響く。

 それを合図に、集まったパーティはそれぞれ装備を確認し、気持ちを引き締めていく。


 ほどなくして、ギルドの玄関から一人の中年男性が姿を現した。

 鍛え上げられた体躯に実戦向きの軽装。胸元には王都ギルドの紋章が刻まれたバッジが鈍く光っている。


「おはよう諸君。私は今回のCランク昇格試験を担当する、ギルド試験官のヴァイルだ」


 重みのある声が広場に響き渡る。


「ねえ、前の昇格試験のときと同じ人だね」


 ミミがセイに小声で耳打ちした。


「本日の試験は、ここにいる四組のパーティが二組ずつに分かれ、実際のCランク依頼を協力して達成してもらう」


 ヴァイルは集まった四組を見渡しながら告げる。


「そうだな……では、そこと、そこのパーティがチームA。そこと、そこのパーティがチームBだ」


 ヴァイルが順に指差して組み分けていく。

 セイたちはチームBとなった。


 相手となるパーティへ視線を向ける。


 派手な装飾を身につけ、いかにも自信ありげなリーダーっぽい男。

 とにかく体格が大きく、前衛を任されていそうな強面の青年。

 そして、見るからに防御力が低そうな装いの多分魔法使いな少女。


(おう……久しぶりに、絵に描いたようなテンプレパーティじゃのう。どうせ最初は生意気で、なんやかんやあって心を通わせ、最後には頼れる仲間になる――そんな展開なんじゃろ?)


 セイは元の世界で観たアニメを思い出しながら、この先の展開を勝手に想像していた。


 こうして、Cランク昇格試験の幕が上がった。


────────────────────────

▼ステータス情報


【名前】セイ

【年齢】26(肉体年齢)

【職業】テンプレ詰め込み勇者

【レベル】51

【スキル】生活知識大全/魔法知識大全/世界法則書き換え/時間停止/魅了体質/無限成長/強制ハーレム誘導/おじいちゃんの優しさ(ヒロイン全員好感度+100)/威圧/加速支援/魔法適性鑑定/精霊感応/状態異常回復/索敵/ホーリーブースト/空間転移


【同行者】

・ミミ(記憶喪失の少女/推定16歳)

 - 好感度:好き

 - 能力傾向:回復系(第一段階覚醒済)/ヒーラー適性あり

 - 状態:アストラクロスのローブを装備。露天風呂で気分はリフレッシュ

 - 補足:みんな一緒に寝れて楽しかったらしいが、お子様並みの就寝時間は変わらない


・リアナ(元騎士団の見習い/19歳)

 - 好感度:大好き(小さな心遣いも好き)

 - 能力傾向:攻撃系(雷・風属性)/貫通・麻痺・加速タイプ

 - 状態:シルクノートの胸当てを装備。露天風呂で気分はリフレッシュ

 - 補足:やっぱり今回もでしたね……と心の中でミミにつぶやいていたらしい


・エリシア(元聖女様/25歳)

 - 好感度:けっこう高め

 - 能力傾向:支援・結界・祈祷(神聖属性)

 - 状態:アストラクロスのドレスを装備。露天風呂で気分はリフレッシュ

 - 補足:みんなで布団を並べて寝るのは、小さいころ家族で生活していたとき以来

ここまで読んでいただきありがとうございます!

「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、下の【☆☆☆☆☆】やブックマーク、ご感想にて応援いただけると、泣いて喜びます。

次の話もぜひぜひ、よろしくお願いします^^

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