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その狐は平穏な日常を冀う  作者: ちゃも
《第1章》
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9.出会い5

4.会議で記載した3人の入隊時の年齢と8.出会い4で記載した学園の基本在籍年数が誤っておりましたので変更いたしました!正しくは莉緒と祥太が12歳、昼斗が14歳での入隊、学園は7年制です。すみませんでした。

飛び級したとしても必修の課題は絶対にやらないといけない。前代未聞の2年分の飛び級を成し遂げた私たちは意外と多い必修課題に日々忙殺されていた。だがそれも、最近落ち着きつつある。


「あ、祥太。」


廊下の曲がり角を左に曲がると少し歩いた先に見慣れた黒髪の男が歩いているのが見えた。2年分の必修課題をほぼ終わらせることができた今、私たちは再度飛び級試験を受けようと思っている。そのことについて2人で昼斗に言おうと思っていたのだが、私が出した最終レポートが誤字だらけだったらしく、それの修正に時間を取られてしまい、代わりに祥太が一人で説明に行ってくれた。何やら相談したいこともあったようで、ちょうどよかったと言って快く引き受けてくれた祥太には感謝しなければ。・・・改めて見て私のレポートの誤字はひどかった。いや、どうしたらそうなるんだっていう誤字ばかりで、見直ししたはずなのになんでこれを見逃したんだろうって恥ずかしくなって昨日は自室で1人もんだえながら修正作業に徹した。・・・うぅ、あの時作曲に没頭しないでレポートちゃんとやっとけばよかった。そしたらこんな期限ぎりぎりに修正作業しなくてもよかったかもしれないのに。次はちゃんと期限に余裕もってやろ。それと誤字チェックは入念にやらなければ。まあ、それはさておき。祥太はちゃんと昼斗を説得できたのかな?


「おはよ。」


ひょい、と後ろから祥太の顔を覗き込む。


「!!お、はよ。」


珍しくどもりながら挨拶を返された。それに心なしか顔が赤い気がするんだけど、気のせいか?


「・・・大丈夫?なんか顔赤い。熱?」


・・・いや、大丈夫。熱はねぇ。と返され、そう?と私も深く踏み込まずに引き下がる。祥太は人に心配されるのを嫌う。まずくなったら自分から言いに来るのもわかっているから深追いするのは逆効果だ。


「それで、どうだった?昼斗、試験受けるって?」


そう私が聞くと祥太はにやりと笑った。


「ああ。受けるってよ。やったな。これでまた3人同じ学年だ!」

「!!!そっか。やった、嬉しい。でも気が早いよ。まずは試験に合格しないと。」


ここ数か月間3人で行動していてとても居心地が良かったし、それに2人でいたときよりも格段に成長スピードが上がっている気がする。また3人一緒にいられるのはとても嬉しい限りだ。


「あ、そういえば相談事って何だったの?」


ふと思い出してそう聞けば、あー。と言ってそろりと目をそらされる。


「???ごめん。聞いちゃまずかった?」

「いや、あー。うん。わりぃ。ちょっと今はまだ気持ちの整理中、というかなんというか・・・。」


まあ、3人でいるときに相談してこずに昼斗に相談に行くぐらいだもんな。もしかしたら女子の私には聞かせられない類の相談事だったのかもしれない。珍しく歯切れの悪い祥太に、りょーかい、無理に聞いてごめん。と謝る。


「謝る必要ねぇよ。や、その、んなたいしたことじゃねぇから。・・・それよりその荷物どした?」


わざとらしく話を転換した祥太にこりゃ相当だなと思いながら私も今現在私が抱えている荷物に目を落とす。


「ああ、これ?ちょっと赤羽君に頼まれてさ。」

「あ?なんだって?赤羽?」


え、なに。急にどうしたんだ。気まずそうだった表情が一変して今度はいらだったような表情に変わる。


「?????うん。」


朝、彼が先生に次の授業で使うから運んでおいてと頼まれたらしいのだが、あいにく彼は今日日直で、ペアの子が休みという連絡があったこともあり、ずいぶん忙しいようでその時唯一クラスにいた私にとても申し訳なさそうに頼んできたのだ。別にそれくらいで機嫌悪くなったりしないのに。前までは忙しさにクラスメイトと会話するどころではなかったのだが、それもなくなった今、私的にはもっとクラスの人とも話したいのだ。


「へぇ・・・・。」


すっと無表情になって前を向いた祥太に困惑したものの、クラスに到着したので荷物を置くためいったん祥太から離れる。


「あ、赤羽君。これ。」


はい、と教室で日直の仕事をしていた赤羽君に荷物を手渡すと彼はあ、ありがとう・・・。とものすごく微妙な顔をして私の後ろをちらりと見た後、ばっとまた私のほうを向く。あの、ほんとにありがと。じゃあ、僕はこれで・・・。なんて言って荷物を持ったまま、すごすご自分の席に戻っていく赤羽君に私は頭にはてなマークを飛ばしながらいつの間にか登校していた昼斗と何かをしゃべっている祥太のほうに戻っていった。


***


あれからさらに数か月、新年が明け、ついに飛び級試験本番がやってきた。なぜか祥太から恨みをかったらしい赤羽君が祥太からじっと睨みつけられている現場を何回か目撃したくらいであれからは特に目立った出来事はなく、この日を迎えることができた。3人で意見交換をしあい、試験突破のために最善を尽くしてきた。最初は「飛び級試験」という単語に緊張した様子だった昼斗も次第に緊張がほぐれ、以前とは比べ物にならないくらい成長した。もちろん、私も祥太も成長した。試験を受けるのは2回目だからと言って気は抜けない。よし、頑張るぞ!!!


***


学園内にある演習場に3人で足を踏み入れる。


「お!待っていたぞ。」


演習場にはすでに試験官が立っていた。左隣に立っている昼斗からごくりと息をのむ気配がする。右隣にいる祥太もそれなりに緊張しているようだ。まぁ、それもそうだろう。


「関東地区隊長の浅間駿(あさましゅん)だ。ーーー今日はよろしく頼む。」


相手は全戦闘員の中でのトップのうちの1人、関東地区隊長、その人なのだから。

その後赤羽君はしばらく「とばっちり赤羽」という大変理不尽なあだ名で呼ばれることになったそうです。ドンマイ。

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