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その狐は平穏な日常を冀う  作者: ちゃも
《第1章》
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12/17

12.調査 北海道地区編2

前話のタイトルを11.調査 北海道地区編1に変更しました!

目撃情報が多発している地域まで車を走らせてもらい、着いたところはそれなりに栄えていた。やはり効率的に一般市民を狙えるからかこういうところにアガペーは出現しやすいらしい。初めて姿が目撃されてからおよそ2週間。この地域ではその間に3体、それぞれ単独で現れたがいずれも周りを巡回していた戦闘員たちによって討伐済みだ。


「祥太。」

「今やってる。」


祥太に索敵を頼もうとしたらもうやってくれていた。今日も私の仲間が頼もしい。


アガペーがどんな方法でこの国に出現しているのか、自然発生なのか、それとも人為的に送り込まれているのか。それは私の祖父の代でも結局謎のままだった。いきなり現れた場合でも、即対処できるように。警戒は怠らない。


「!!いたぞ。2時の方向。ここから約2㎞!」


祥太の索敵レーダーに引っかかったやつがいたらしい。さあ、妖狐隊としては初の戦闘。気合入れるぞ!


***


戦闘員として戦うようになると1人1台マイクとインカムが支給される。祥太によってより使いやすく改造されたそれは以前よりも格段に性能が良くなり、スムーズに会話できるようになった。


私たちが出現したアガペーの元に向かう途中、さらにもう2体増えたようだ。インカム越しにそう報告を受け、緊張感を高める。今までは単独で行動していたのに、なんでいきなり徒党を組みだしたのか。並の戦闘員が5人がかりで対応した敵に、私たちは1人1体で戦えるのか。いや、弱気になってはいけない。私たちは「妖狐隊」だ。任務は必ず達成する。


***


祥太からの報告通り、目の前に見えるのは3体のアガペー。まだこちらの接近に気づいてない様子。


「莉緒が先制攻撃する。そのあとは左側のを昼斗、真ん中を莉緒、右側を俺で行くぞ!」


相手の動きや目線などから的確に情報把握、弱点発見、作戦立案を行った祥太からインカム越しに指示が飛んでくる。


「「了解!!」」


すうっと息を吸い込み、”歌”の能力を発動する。


「~~~♪、~~~~~~~♪!」


私の歌声に気づいたのかこちらに視線を向け、臨戦態勢に入るアガペーたち。でも、もう遅い!!


「逾槭�蝗�蟄舌r謖√▽繧�▽!!」

「隕九▽縺代◆」

「蝣ア蜻翫€∝�ア蜻�」


アガペーたちが私たち人間に理解できない言葉で叫びだす。私の遠距離攻撃に身動きが取れなくなったアガペーたちにそれぞれが追加攻撃を仕掛ける。


バリィ! ドン! ザシュ!


昼斗が雷で、私がエネルギー弾で、祥太がナイフで、同時に攻撃を加え、致命傷を与えるとアガペーたちはその場でバタリと倒れ伏した。あっけない終わり方だ。白井さんの言う通り、大したことない。


「・・・。」


その場ですっと座って観察を始める。灰色の皮膚をした体長約130cmほどの体の3体には例外なく黒い2本の角がついている。こいつらはどう見ても祖父の代の「悪魔」そのものだ。ただ、記録に書いてあったり、実際に元妖狐隊のメンバーだった人に聞いた話にあったりした特殊能力を使ってくるというようなことはなく、その強さははるかに弱いが。私たちが先祖返りの能力者であることを加味してもさすがに弱すぎる。出現直後の場合、戦闘経験がなくてうまく戦えないとか?いや、出現してすぐに北海道地区の戦闘員たちが戦ったという事例のときには特殊能力を使っていたと午前の話し合いで聞いたばかりだ。なら、何らかが原因で能力を使わなかった、もしくは使えなかったのか。すでに動かなくなったアガペーたちを前に悶々と考え込んでいると、後ろから声が聞こえてくる。


「祥太、あいつらが何を言ってたかわかった?」

「いや、”情報解析”かけてみたんだけど文字化けしててわからねぇ。」


あの時、アガペーたちはこちらを見ながら何やら叫んでいた。いや、こちらを見ながらというより、私を見ながら、か・・・?思えばアガペーたちの光のない目は私のほうを向いていた気がする。私の両隣に昼斗と祥太がいたのに、だ。・・・私が先制攻撃を仕掛けたから?いや、でも私のほかにもう2人、超スピードで向かってきていたのだからそちらも意識しないわけにはいかないだろう。


「莉緒?何か気づいた?」


私が眉を寄せて考え込む様子に目ざとく気付いた昼斗に声をかけられるも、まだ自分の中で不確定の情報をべらべらと話して不安にさせるわけにもいかず、ううん、なんでもない。と言ってはぐらかす。昔、憶測でものを言うものじゃない、とよく祖母に叱られていたことを思い出す。報告書には書くとしてもこの2人に伝えるのはこの情報に確信が持てるようになったらでいいだろう。次の地点行くぞー、と言う祥太に返事をして、観察していたアガペーたちの亡骸を”歌”の能力で瞬時に燃やし、その場を後にした。


***


今回の任務で討伐できた数は6体。今のところアガペーの出現頻度はそんなに多くないのでかなり上出来だろう。あちこち回ったかいがあった。最初討伐したアガペー以外はみな各々の特殊能力を使ってきて少し厄介だったが、怪我無く倒すことができた。最初の時のように視線が私にだけ集まるような違和感を感じることもなかったため、やはり気のせいだったのかもしれない。報告書には書くが、2人には言わなくてもいいだろう。


車に揺られ、着いた空港で少しお土産を買い、最終便の1つ前の時間帯の飛行機に乗り、再度車に揺られて村に着いたときにはもう日付が変わっていた。運転手にお礼を言い、車内と飛行機内で完成させた報告書を片手に上層部の元まで行き、上層部直属の部下の人に手渡すと私たちはそのまま解散した。また1日休息日を挟んで、今度は東北地区の調査だ。急ピッチで進められている調査に疲労がちゃんと回復するか心配だが、明日一日中寝ていればある程度は回復するだろう。お手伝いさんたちが使う荷物入れの近くのテーブルにいつもありがとうのメッセージを添えてお土産を置く。・・・喜んでくれるといいな。ちなみに私は白い〇人とバターサンド、祥太はレトルトの北海道スープカレーとジンギスカンのたれ、昼斗はじゃが〇ックルとおかきをお土産に選んだ。お土産ってそれぞれの好みがでるよね。シャワーを適当に浴びた後アラームの設定を解除してベッドに潜った。



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