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原潜大和・武蔵、転移す ―信長と、未来を変える―  作者: ゲンタ
第4章 アメリカ編

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第110話 ミニレールガンはスナイパーみたいなものだな

武蔵・発令所。


「司令——大和から連絡がきています。お繋ぎします」


通信機から、田村の声が届いた。

「アカプルコ付近に到着しました。港に——ガレオン船を三隻確認。状況を確認中です」


北沢は落ち着いた声で答えた。

「田村に任せる。ただし——大和の存在が知られないように。夜間に仕掛けてくれ」


「承知しました」

通信が切れた。


***


大和・発令所。


田村は松永を見た。

「松永——日没後に攻撃する。ミニレールガンの準備はどうだ」


松永は自信ありげに答えた。

「完璧です。それにしても、悪銭で作られた弾で沈められるとは——思いもしないでしょう」


田村は小さく笑った。

「ところで——レールガンの精度が格段に上がったそうだな」


松永の目が輝いた。

「ミニレールガンの有効射程は数キロです。弾丸の質量が小さい分——打撃力は通常のレールガンより落ちます。ですが、有効射程が短い分——精度が格段に向上しています」


「いいな。今回の任務にピッタリだ」


「ミニレールガンの砲身に——レーダーとEO・IRセンサー、五十倍光学ズームカメラを一体化して搭載しています。夜間はサーマルカメラに切り替わり——暗闇の中でも目標を正確に捉えられます」


松永は、説明を続けた。

「カメラの映像と距離データをリアルタイムで処理して——ミニレールガンの台座が射角と方位を自動制御します。船が波で揺れても——補正が入るので狙った場所を正確に撃ち抜けます。必要なのは、船体のどこを狙うかを画面で指示するだけです」


「それはすごいな。ミニレールガンはスナイパーみたいなものだな」


「夜、ミニレールガンで喫水線より下に穴を開けておけば——翌朝には船は沈没しています」


「乗組員はどうなる」


「浸水は徐々に進みます。気づいた時点で脱出すれば——陸まで泳ぎ着けます」


「船は沈める——人は死なない。理想的だ」


***


天正十年(1582年)三月下旬。


アカプルコ港沖。


夕暮れが——港を静かに染めていた。

オレンジ色の空が——少しずつ暗くなっていった。

港には——三隻のガレオン船が静かに停泊していた。


帆柱が——夕暮れの空に黒く浮かんでいた。

岸には——石造りの倉庫が並んでいた。


数人の見張りが——たいまつを持って歩いていた。

商人たちが荷を運ぶ声が——遠くから聞こえていた。


やがて——日が沈んだ。

港が——闇に包まれた。

岸のたいまつが——ところどころに揺れていた。


ガレオン船の甲板にも——薄明かりが見えた。


***


大和・発令所。


田村は、じっとモニターを見つめていた。

サーマルカメラの映像が——港の様子を映し出していた。


「岸の見張りが四名。各船は当直が二〜三名起きているくらいだろう」


田村は松永の方を見た。

「松永——準備はいいな。大和を浮上させてハッチを開けるぞ」


「はっ——!」


大和が——静かに海面に浮かび上がった。

甲板のハッチが——静かに開いた。


ミニレールガンの砲身が二基——音もなく上昇した。


発令所の後方で——半兵衛と官兵衛がモニターを見つめていた。


半兵衛が言った。

「これが——有岡城と徳川軍を吹き飛ばした、あのレールガンの小さいやつですね」


官兵衛が続けた。

「一発で敵を吹き飛ばすレールガンもすごかったが——これも、すごいですな」


半兵衛が聞いた。

「松永殿、一発でガレオン船を沈められるのですか」


「喫水線下に穴が開きますので——徐々に沈みます。その間に、乗組員は逃げ出すことができます」


「なるほど——船だけ沈むわけですな」


「そういうことになります」


官兵衛が頷いた。

「戦力に差があるがゆえに——無闇に命を奪えないということでしたな」


松永は苦笑した。

「と言っても——状況によると思いますけどね」


田村が命じた。

「松永、第一船、第二船の喫水線下——操舵室付近を狙ってくれ」


「照準——完了」


「撃て」

パシュッ——。


暗闇の海面を——黒い閃光が走った。

ドン——メキッ——。


船体に——鈍い音が響いた。

しかし港は——静かなままだった。


半兵衛が言った。

「音——気づかれていませんか」


「夜の波音に——かき消されるでしょう」


***


スペイン・ガレオン船。


水が——喫水線下の穴から、静かに流れ込み始めていた。


船内では——その音はまだ誰も気づいていなかった。

五分が過ぎた。

十分が過ぎた。


やがて——船内から叫び声が上がった。

「水が入ってきてるぞ——!」


「船底に——大穴が——!」


「沈むぞ、逃げろ——!」


第一船の乗組員が——次々と海に飛び込んだ。


バシャン——バシャン——。


浜辺からも叫び声が上がった。

「船が——沈んでいくぞ——!」


たいまつを持った者たちが——浜辺を走り回った。


「何が起きた——!」


「砲撃か——!」


「どこだ——どこから撃ってきた——!」


しかし——大和の姿は、暗闇の中に溶けていた。


第一船が——ゆっくりと傾いていった。

帆柱が——水面に近づいていった。


やがて——静かに沈み始めた。

第二船、第三船も——同じように傾き始めた。


乗組員が次々と飛び込んだ。

乗組員が必死にボートを降ろしていた。


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