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カァーム・ビュラクラト ―社畜女官ローゼルの婚約破棄奮闘録― 私は何も望まない  作者: 兎丸 蓮


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第108話 水面下の謀略と、花街の密談

 気まずい気持ちで、ローゼルは隣の会議室に案内された。


「二人とも座って」


 優雅に寝椅子に腰掛ける宰相に促され、ライアナースとローゼルはそれぞれ一人用の椅子に腰かけた。


 宰相の侍女だろうか、メイド服を着た若い女性がお茶を淹れていた。

 お花の匂いがするお茶だった。ローゼルが座っているところまでその香りが漂う。


 侍女はお茶を淹れ終わって三人に給仕し終えると、さっと部屋を出て行った。


「イースティリア女官、いろいろ絡まれて大変だったね」


 宰相が柔らかな笑みを浮かべた。

 

「いえ、大丈夫です」


「まあ、お茶でも飲みながら話そうか」


「はい」


 ローゼルはティーカップに手を伸ばした。


「いただきます」


 透明な琥珀色の液体を覗き見た。

 光を受けてきらめくその表面は、まるで宝石のようだ。


 飲むと爽やかな甘さが口に広がる。


(美味しい。これ、結構な高級茶葉なのでは……!)


 宰相もライアナースもゆったりとお茶を味わう。


「これはなかなかいい味ですね」


 お茶好きのライアナースが目を輝かせた。


「そうでしょう。

 娘の嫁ぎ先が領地で茶葉を作ってましてね。

 今年初摘みのものを贈ってくれたんですよ」


 寛いだ表情で宰相は語り出した。


 ライアナース卿が相槌を打ち、宰相はご機嫌で娘の話をする。

 時折、ローゼルも頷いたり、質問をしたりして話に加わる。


 他愛ない世間話。


 穏やかなお茶会タイム。


 さっきまでびくついていたローゼルは、不思議な気分だった。


 宰相はいつも柔らかな笑顔の裏で、鋭い眼差しを向ける御仁だ。

 常に計算高く、怜悧。

 だけど、やけにご機嫌もいいようで、饒舌だ。 

 

(よかったぁ。

 この調子だと、きっと怒られる案件で呼び出されたわけじゃなさそうね)


 ほっとする一方、ローゼルは奇妙だと思った。

 

 ライアナース卿はまだしも、宰相閣下ほどの方が一介の女官にすぎない自分にまでお茶を振舞うなんて。


 宰相の凄まじい政治手腕を知っているローゼルには、この状況はいささか落ち着かない。

 

 これは絶対何か裏があるはずだ。


 そんな訝しむローゼルの視線に気が付いた宰相が、柔らかい笑顔を向けた。


「イースティリア女官。

 先日は巻き込まれる必要のないトラブルに遭って大変だったね。

 不幸中の幸い。

 君に深刻な被害が及ばなくてよかったよ」


 お茶を飲みながら宰相が切り出す。


 巻き込まれる必要のないトラブル。

 おそらく、先日の王城連続強姦魔事件のことだろう。


「お見舞いの言葉、ありがとうございます。

 お陰様で仕事に支障なく戻れました」


 ローゼルはやんわりと微笑んだ。


「うん。元気でなによりだよ。

 あの被害者はみんな、ショックを受けて辞職してしまったからね。

 本当残念でならない」


 宰相は眉をひそめた。


「そうらしいですね」


 ライアナース卿の表情も曇った。


「……私は本当に運が良かったんです」


 ぽつりとローゼルは呟いた。


 ルシアンが来てくれたから助かった。

 もし、来てくれなかったら——


 そう思うと、ゾッと背筋が凍った。


「——運も実力のうちだよ」


 にっこりと宰相は笑った。


「それで、早速なんだが、イースティリア女官」


 今度はライアナース卿が口火を切る。


「先日君に頼んだ調査について――情報が漏れている件、どこまで調査が進んだのか教えてくれないか。

 重大な機密漏洩事件に繋がるやもしれん」


 その硬い口調にローゼルは緊張した。


 重大な機密漏洩事件に繋がる。

 ライアナース卿もエレナと同じことを言っている。


 鼓動が早鐘を打ち始める。


「はい。ご報告が遅れて申し訳ございません。

 実は先程資料室へ行って発覚したことがいくつかあります」


 ローゼルは言葉を選びながら、すべてを隠さずに打ち明けた。


 資料室の絨毯に魔法陣が描かれていたこと。


 その魔法陣は、隠匿魔法で先日の皇族会議の時に見つけたものと同じ魔力。

 つまり、術を施したのは同一人物である可能性が高いこと。


 それから、その隠匿魔法の下にはローゼルの知らない魔法が隠されていること。


「契約書の一つ一つの裏表紙に特殊なインクで描かれた魔法陣がありました」


「なにぃ? 

 それは全部にか?」


 ライアナースは眉をひそめた。


「正確には、黒ファイル分だけで、赤ファイルの契約書は綺麗でした」


「なるほど。

 赤ファイルの契約書の棚は法務省内でも扱える者が決まっている。

 つまりは黒ファイルにだけ触れれる者の犯行か」


「そうだと思います。その裏表紙の魔法陣は……。

 私では知識不足で全然読み解けなくて……」


「イースティリア女官でも読み解けないとは。

 むむっ、それは厄介だな」


 ライアナースは顔をしかめた。


「力足らずで申し訳ございません。

 私では手に負えないと思い、同期の横繋がりで魔法省のエレナ・ヴァービナス女官に相談いたしました」


「ほう、ヴァービナス女官」


 それまで静かに耳を傾けていた宰相が興味を持ったように、ローゼルを一瞥した。


「はい。餅屋は餅屋という東方のことわざもあります。

 なので、実物を本日の定時後、見てもらう約束を取り付けました。

 その際、情報漏洩だけでなく、危険物遺棄などの犯罪行為を見つける可能性がありましたので、同期のレイノルド・ハウルデュース卿にも同席してもらう予定です」


 ローゼルはそこで言葉を切った。

 それから、改まった顔つきでライアナースを見た。


「ですが、どういう理由であれ、ライアナース卿の判断を仰がずに、無断で部外者の二人に話してしまいました。

 誠に申し訳ありません」


 ローゼルは深々とぺこんと頭を下げた。

 そのまま顔を上げないで、続ける。


「本来であれば、上官であるライアナース卿の指示を仰ぐべきと重々承知しておりました。

 ですが、中途半端な報告ではかえって混乱を招くかと考え、魔法省の専門家の彼女に確認しにいった次第です」


 ライアナースは目を丸くさせて、宰相と顔を見合わせた。

 奇妙な沈黙。


「まあ、要は先手を打って話を進めてくれたんだろう? 

 であれば、頭を下げる必要はないと思うが」


 ライアナースは顎を撫でた。


「え?」


 ローゼルはのろのろと顔を上げた。


「軽率にこの件を話したのではないのだろう? 

 必要最低限、かつ、これ以上にない人選をした。

 報告材料を揃えるため、専門家に助言を求める行動は間違っておらんし、むしろ、こっちが動く手間が省けたというもの。

 君の同期は魔法省の中でも突出していると聞くよ。

 彼女に見てもらえるなら力強いし、何ら問題ないだろう。

 そうですよね、宰相閣下」


「ああ、問題ないよ。

 ハウルデュース書記官にまで話を持って行っているとはね、感心だ。

 軍部もこれで心構えはできただろう」


 宰相は寛いだ表情を崩さず、静かに頷く。


「それに、ハウルデュース書記官は公爵令息だ。

 定時後の自由行動をそう易々と好戦派の上官も制限できまい」


 好戦派の上官。

 オークレー次官のことだろう。


 宰相もオークレー次官を危険視しているのが分かる。


「それで、あの、ライアナース卿にお願いがあります」


 ローゼルはおずおずと切り出す。


「その二名に定時後、入室できるようご許可をいただけますでしょうか」


「もちろんだ」

 

「ありがとうございます。

 すぐに申請書を記載いたします」


 ライアナースは手をひらひらと振って紅茶を啜った。


「あぁ、そこに一名追加してくれ」


 ふと思いついたように、宰相が言った。


「一名追加ですか?」


 ライアナースはきょとんとした。


「そうだ、宰相府からも総務省に契約を洗い出している専門の官僚を派遣させよう」


「総務省から……」


 ローゼルが小さく呟いた。


「左様。

 今回の問題の発端はその『外部人材』なのだろ? 

 確か、餅屋は餅屋だっけ?」


「え、あ、はい」


「専門家に調査を任せておけば、『外部人材』やその背後にいる商会、ギルドの違反を裏付ける証拠を引っ張り出してくれるはずだ」


 彼は優雅な仕草でティーカップを置く。


「それはありがたい援護射撃ですな」


 ライアナースは同意した。


「まあ、結果はどうであれ、君たちが資料室に入って一時間後、魔法騎士団の団長か副団長あたりを巡回に行かせよう。

 そこで事の次第を彼らに報告してくれ」


「承知しました」


 ローゼルは返事をした。


「ただし」


 穏和だった宰相の眼光が鋭く光る。


「団長、副団長がいない魔法騎士団には決して詳細を話さないこと」


「どうしてですか?」


 ローゼルは首を捻った。

 素直なローゼルの反応に、宰相はくすっと笑う。


「あいにく、君たち三人は同期。

 今宵、共に行動しても怪しまれないだろう。

 だが、魔法騎士団内では、好戦派の上官がいろいろと自分の手先を王城内に張り巡らそうと躍起になっていてね。

 まあ、内部スパイがうようよいるわけだ」


 どきっとした。


 ——それにしても——さらに今後は内部スパイが増えそうね


 エレナが議事録に目を通しながら、忌々しげに呟いていた光景が、ローゼルの脳裏を掠めた。


「『外部人材』とか『異国の傭兵』ですか?」


 ローゼルがそっと訊くと、宰相は柔和な笑みを浮かべながら、ゆったりと椅子の手摺に頬杖をつく。 


「そうだね。

 他にもいろいろとね、現在王城には至る所に間者がいるからね」


「まったく、物騒になりましたなぁ」


 ライアナースがぐびっとお茶を飲んだ。

 宰相は小さく笑う。


「彼らはこの国の内部崩壊を狙っているからね。

 いずれ、この国を乗っ取るつもりなんじゃないのかな。

 いや、十中八九、現在進行形で悪巧みを仕組んでいるはずだ」


 声音は優しいけれど、そう断言する宰相の台詞の内容はなかなか険しい。

 不意にローゼルの頭の中でルシアンの声が蘇る。


 彼らは、この帝国を内側から滅ぼすつもりなんだ――


 ——同じだ。


 滅ぼして、乗っ取る。

 もしくは乗っ取って滅ぼす。


 順番は分からないけれど、この国を破滅へと導こうとしている。


 ローゼルは血の気も凍る心地がした。


「まあ、そんな私の言うことは戯言だと、いまだに揶揄する者は多いが、それでも今回法務省で起きていることを我々に仕掛けてきた静かな戦争だと私は確信しているんだよ。

 ——情報戦といえばいいかな」


「ごもっとも。

 資料室の契約書にはこの国の産物、資源諸々の取引が記載してあります。

 敵対国には喉から手が出るほど欲しい情報です」


 ライアナースは深刻そうに眉をひそめた。


「本当にそうなんだ。

 無論、陛下自身もこの事態を重く受け止めている」


 宰相が警戒の色を滲ませた。

 ライアナースとローゼルは顔を見合わせて、神妙に頷いた。


「ところで、クレインバール卿は、随分と君には目をかけているようだけどね」


 突如、宰相がねっとりとした流し視線をローゼルに送った。

 ローゼルはどきっとして、心臓が飛び跳ねた。


 まさか宰相にまでそのことを言われるとは思ってもみなかったからだ。


「はい……。

 いつも助けていただいてばっかりです」


 無意識のうちに、含羞ある笑みをうっすらとローゼルは浮かべた。


「それなら、なおさら気をつけなさい。

 くれぐれも油断しないように」


「え? 私ですか?」

 

 ローゼルは思わず聞き返した。


「そう。

 もはや君はこの国の軍師、クレインバール卿の弱点でもあるんだよ」


 弱点。その言葉に急に胸が痛くなった。

 自分がこの国の平和を担うルシアンの足手纏いになるかもしれない。


 ローゼルはしゃんと背筋を正して返事をする。


「はい、気を付けます」


「うん。まあ、それは君に限ったことじゃないがね。

 我々上層部、足を掬われないようにしないとね」


 宰相はライアナースに視線を投げる。


「今、この国の安定が基盤から揺らぎ始めている。

 皇族会議でのテロ未遂からどうも様子がおかしい。

 十分注意して今宵、調査を進めるように」


 宰相は微笑んでから立ち上がった。


「はい。気をつけます」


「ふふ、期待しているよ。

 イースティリア女官」

 

 ローゼルの肩をぽんと叩いて、宰相は部屋を出て行った。


「じゃあ、私も入室申請許可承認準備をしないとね。

 書類、書いたらすぐに持ってきなさい」


「はい。ありがとうございます」


 そう答えながらも、ローゼルは奇妙な胸騒ぎを覚えていた。

 

 これはただの緊張ではない。

 なんだろう、やけに落ち着かなくなる。


 居ても立っても居られない衝動。


 皇族会議。ルシアンと初めて面と向かって話をしたキッカケの事件。

 そう、あの時、あの不審者を見つけた時から、知らないところで何かが蠢《うごめ》いている、そんな感じはしていた。


 あえて自分には関係ないと目を背けていたけど、そうも言ってられない。


 何か大きな影がこの国を狙っている――。



 ***



 王都の郊外の街はずれ。そこは男たちの享楽の場、花街が広がっている。


 異国情緒漂う建屋が多く混在し、昼間はひっそりと、夜は町全体がひとつのランタンのように妖しい色に浮かび上がる。


 赤みがかった提灯の灯り。

 やたらピカピカと光るガラス細工。


 女たちの嬌声とおしろいや甘ったるい香水の匂い。

 誰かの罵声。

 陽気な音楽。


 特に月のない冴えざえとした冷たい夜の街は美しく、そして、光が強ければ影も濃くなる。


 その中に一際、奇妙な色をした館があった。


 レンガなのか、コンクリートなのか、木造なのか、もしくはそれらすべてなのか、異国の建築物を組み合わせて渾然一体《こんぜんいったい》となっている館だ。


 その何で出てきたか分からない館の窓は、どこも八角形に大きくとってあった。

 幾何学的な模様の入った欄干を含め、おそらく大陸の東方の建築文化のひとつ。


「ルシアン様、ご無沙汰しております」


 その館の大きな庭園の池の上に張り出した座敷に、背の高い年齢不詳の男が現れた。


 肩幅の広い体躯に、短く刈り込まれた黒髪、頬は削げ、顎は角ばっている。

 灰色の瞳は鷹のように鋭く、眉間には深い皺が刻まれている。


「ああ、久しぶりだな。

 特殊国境警備隊のマティアス・グリューネヴァルト局長」


 ルシアンはテーブル席に座って、東方の珍しい茶色く澄んだ茶を飲みながら、返事をした。

 マティアスは対面の席に静かに座った。


「珍しいですね。

 こんな道徳的でない場所に呼び出すなんて」


 マティアスは小さく笑った。


「たまにはいいだろう?」


「まあ、美味いメシが食えるならどこでも構いませんよ」


「料理は適当に頼んだが、味は間違いないはずだ」


「そうでしょうね。

 花街でこんな立派なレストランを開けるぐらいなんですから」


 マティアスはぐるりと座敷の中を見廻した。


 どこか現実感がなく浮世離れしたこの花街には、富裕層の男たちが客として頻繁に出入りしている。


 そんな舌が肥えた彼らが、お気に入りの女を連れてわざわざ食べに来るレストラン。

 まずいはずがない。


 やがて色彩鮮やかな豪華絢爛な料理が運ばれてきた。


「まあ、食いながら話そう」


 にこにこしながらルシアンが食事を促すので、マティアスは訝しげな表情で食事を進めることにした。


「すごい量の料理ですね」


「まあな」


 席はもう一つ用意してある。

 まだ空席ということは、そのうち来るのだろうか。


 マティアスは東方風の香辛料で味付けした小魚のマリネを堪能しながら、ぼんやりと思った。


「どうだ? 

 うまいだろ?」


 得意気に微笑むルシアンが、マティアスの反応を窺う。


「ええ、うまいですね。

 ですけど、何です? 

 俺のご機嫌伺いして、何か裏でもあるんですか?」


 マティアスは、皮肉めいた笑みを浮かべた。


「まあな。

 もう少ししたら、第5魔法騎士団長フィリップス・バトリックも来るはずだ。

 その時に話す」


「へえ、フィリップスが。珍しい。

 こういう会合には毎回律儀な副団長のラルトス・パルニーラが訪れるのに」


「フィリップスは自由人だからな」


 ルシアンも料理に手をつけ始めた。


「いえ、あれは、自由を越えて我儘ですよ。

 魔法騎士団として粗野な感じが目立ちますし」


 眉をひそめたマティアスは、果実酒を飲んだ。


「だから、本人はいつも王城の定例会議に顔を出さないんだよ。

 彼にとって、王城は窮屈だからね」


「では、本日こんなところに呼び出したのは——フィリップスのためですか?」


 マティアスは少し間をあけて尋ねた。


「それも一理ある。

 だが、少々最近の王城はきな臭いところがあってね」


「きな臭い?」


 マティアスの表情が曇った。


「——オークレー次官。

 奴だよ」


 ルシアンは気怠そうに頬杖をついた。


「ああ、噂では聞いたことがあります。

 身分至上主義で、規範性を無視。

 自分の祖国のルールを我が国に持ち込んだ政策をしようとしている迷惑軍人だと」


「そのとおり」


 ルシアンは、くっと笑った。


「そう、表向き、皇族や格上貴族には敬意を示しているが、実際は、金と権力を巧みに操り、胡乱な商会や宗派と繋がっている危険人物だ。

 人望は皆無でも、書類と印章だけで人を追い詰めることにかけては天才的だ」


「まるで腐った貴族の見本のようですね」


 マティアスから非難の色が滲んだ。


「だろ?」


 その時、涼やかな風が庭から吹いてきた。

 細くしなやかな枝が垂れ下がった柳が、ゆらりと揺れた。


「そいつの正式名は、オークレー・アル・ザハロフ=ベクタシェフだ」


 不意に、扉から野太い声が響いた。


 二人は扉の影を見上げた。

 ルシアンや長身のマティアスよりもごつごつとした巨体の男だ。稲妻のような黄色の髪、そのくせ子犬のようなつぶらな黒い瞳。


「よう。ルシアンにマティアス殿。数年ぶりか」


 魔法騎士団一の暴れ馬、第5魔法騎士団長フィリップス・バトリックの登場だ。



 池の鯉がぽちゃりと跳ねた。

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