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双蛇ノ縁ーソウダノエニシー  作者: 環林檎


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85/87

第85話ー私たちの名前ー

更新が遅くなり申し訳ないです。

体調が悪く、今後更新が変則的になるかもしれません。でも必ず更新するのでお待ちください。


後ろからの西日を浴びて一行は進んでゆく。縁は、

ーさて、今日はどこで野営をするかな。出来れば商隊とブッキングしないところがいいなぁ。ー

と街道を見下ろしていた。

「主殿、前方に広場がございます。ただ、商隊が野営の準備をしているようです。」

と白曜が伝える。

「白曜ありがとう、助かった。商隊と一緒は避けたかったが、日没も近いし、そこにするか。」

と縁は白曜の首を撫でた。

「ヤオ、ユエ!少し先の広場で野営するぞ。先客がいるそうだから、注意しろよ。」

と黒曜に乗ったヤオとユエに伝えた。

「「了解です!」」

と返事がかえってくる。2匹は空を滑るように滑空していった。


ーー、一方地上では。

「あれ、モンスターじゃないか?」

警戒をしている冒険者の1人が空を見上げて言った。夕暮れを背に巨大なオオカミのようなシルエットが2体。即座に魔法使いと、弓術士が空に向かって構える。

「ストーップ!我々は冒険者だ!攻撃はしないでくれ!」

縁は大声で制止する。弓術士は急いで仲間に伝える。

「人が乗ってるぞー!」

その声に、冒険者たちの緊張が若干解かれる。


白曜と黒曜はふわっと地面に着地する。そしてその背から縁たちが地上に降り立った。

「驚かせてすまない。我々も冒険者だ。」

縁が軽く頭を下げる。冒険者の中から、剣を装備した壮年の男が出てくる。

「こちらこそすまない。まさかあんな大きなオオカミに乗り手がいるとは思ってなくてな。」

男は手を差し出す。縁はその手を握りながら、

「まぁ、そうだろうな。普通はモンスターが襲ってきたと思うだろうよ。」

縁は苦笑する。男は、

「俺は、震凱(ジェンカイ)という。大樹の守りというCランクパーティのリーダーだ。そちらは?」

と自己紹介した。縁は、

「私は滝野縁、Sランク冒険者だ。後は弟子たち、白いのと黒いのはBランク、茶色いのはCランクだ。私たちはパーティ名はまだない。」

と伝える。

「そういえば瑠璃鎮にいた時にSランク冒険者がいると聞いたな。まさかこんな小柄な女性だったとは。それに弟子もこの若さでBランク、Cランクとは、すごいな。」

と震凱は顎髭を触りながら感嘆の声をあげる。そして、

「雇い主に大丈夫だと伝えてくる。」

と言い残し走っていった。


背後から、

「師匠、白いの黒いの茶色いのって言い方は雑すぎません?」

とムスッとしたユエがボヤく。縁は、

「いちいち名前を説明するのが面倒だったんだよ。にしても、パーティ名、考えとくべきだったか?」

と話をずらす。

「そうですね、これから先パーティ名ないと困りますよね。」

とヤンガが答える。

「よし!今夜はパーティ名を考えるぞ!」

とヤオがはしゃいだような声をだす。

「仕方がないな。晩御飯を食べながら考えよう。」

と縁はしょうがないなぁといった雰囲気で言った。ヤオとユエとヤンガは早速名前を考え始めた。


夕飯は平打ちの春雨が入ったトムヤムクンである。4人は辛酸っぱいスープを啜りながら、空間術式の話を少しだけした。


食後、小ぶりな桃のような果物を食べながら、いよいよパーティ名を決める談義となった。縁は、

「パーティランクは全員のランクを平均して決める。が、このパーティは私がいるから、瑠璃鎮のギルドマスターにはAランクということを言われている。」

と話した。続けて、

「で、お前達、名前は思いついたのか?」

と縁が3人に聞く。

ヤオは、

「俺たちは蛟だからそれに関わる名前がいいかなと。」

と具体的な候補はないようである。

ユエといえば、

「私は悠淵の里からとって、”鎮守の蓮”とかどうかなぁ?」

と中々良い案を出してきた。ヤンガは、

「僕は”4つの牙”とかどうかなって思ってる。シンプルだから被るかも…。」

と弱腰である。縁は、

「私はユエの案が好きだな。自分を鎮めると言った意味でも、問題を鎮圧するといった意味でもいいと思う。」

と伝えた。ヤオは、

「師匠は具体的なものはないんですか?」

と聞く。縁は、

「そうだなぁ。蓮花の理とかどうだ?(ハス)(ハナ)とかいて、レンカと読ませる。私たちは世界の理の中で過ごしているからな。」

と腕を組みながら答える。

「僕は師匠の意見が好きだな。」

とヤンガが笑みを浮かべる。ヤオも、

「俺も師匠の案が好みだな。」

と応じる。ユエは、

「考えたら、鎮守の蓮ってなんか暗いイメージだから、師匠の案がいいと思うわ!」

と答えた。縁は、

「結局私の意見になるのか。構わないのか?3人とも。」

と苦笑しながら尋ねる。

「かまわない。」

「かまわないわ。」

「いいと思います!」

と3人は答えた。


10月も末のこの日、後に歴史に名を残すことになるAランクパーティ、”蓮花の理”が生まれることになった。4人は未だそれを知らない。華々しいだけではない、猛々しいだけではない。そんな伝説を残すこのパーティは、今は使役獣に見張りを任せ、安らかな眠りについているのだった。

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