第83話ー瑠璃鎮、旅立ちの朝ー
昨日は更新できず申し訳ありません。
諸事情ありできませんでした 汗
いよいよ出発の朝となった。各自縁から配られた紺のマントと最小限の荷物を背負う。
女将の娜娜が、
「皆さんがいなくなると、寂しくなりますね。」
としんみり言う。
「女将にも世話になった。料理人にはいつも大量に料理を頼んで、悪かったと言っておいてくれ。あと、とても美味しかったと。」
と縁は言った。
「米1粒も残さず食べてくれるのがうれしかったと、料理長が申しておりましたよ。」
女将が微笑んだ。
「これから野宿ですから、瑠璃の小箱亭が恋しくなりますね。」
とヤンガが言った。
「ほんとにそれよ。ふかふかの布団、恋しくなるわ。」
とユエ。
「全くだ。」
と同意するヤオ。
「ふふふふ。冒険者は野営することも多いと聞きますから。頑張ってくださいな。」
女将は弟子3人に声をかけた。そして、
「では、行ってらっしゃいませ。旅の無事を祈っております。」
と深々と頭を下げた。
「ありがとう。女将も達者でな。ではみんな行くぞ。」
と縁が3人をうながす。
「「「ありがとうございました!」」」
弟子たちも声を揃えて礼を言った。
瑠璃鎮の城門には、護衛部隊隊長の建平、ギルドマスターである梓乐、受付嬢の芷瑶と、瑠華商会の暁東がいた。
縁は、
「わざわざ見送りか。気を使わせたな。」
と声をかける。
「瑠璃鎮で初めてのSSSの冒険者なんだ。礼は尽くすさ。」
スキンヘッドの梓乐が頭を掻きながら言う。芷瑶も、
「私も初めての事だったので、ギルドマスターに着いてきました!初日は本当にごめんなさい!あと、リザードマンの件もありがとうございました。瑠璃鎮の一市民としてお礼を言わせてください。」
と頭を下げる。暁東は、
「私たちは命を救っていただきました。本当にありがとうございます。縁様たちのご武運を祈っています。」
と縁と握手を交わす。建平は、
「縁様、あなたがいたお陰で、あいつらは家族の元へ戻れた。あの世で感謝しているだろうよ。本当に感謝する。俺たちはあいつらに恥じないよう、勤めを果たすつもりだ。本当にありがとう。」
と手を差し出す。縁は、
「こちらこそ。亡くなった警備兵の家族にはよくしてやってくれ。それが隊長であるお前の責務だ。」
と建平の手を固く握った。そして建平は、敬礼を返した。縁も敬礼を返す。
「白曜、黒曜」
縁は下僕を呼び出す。 影の中から、2匹はしゅるりと姿を表す。
縁は使役の首飾りを外すと、建平に渡した。
「元の大きさに戻ってくれるか?」
縁は2匹に命じた。2匹はオオカミほどの大きさから、3mを超える大きさに戻った。縁は白曜に飛び乗ると、弟子たちもそれぞれ飛び乗る。
「みんな、ありがとう!まためぐり逢いがあれば、合間見えよう。じゃあな!」
と縁は四人に声をかけた。弟子たちも、
「ありがとう!またいつか!」
と口々に礼を述べた。
「行くぞ!」
縁の掛け声で白曜と黒曜は舞い上がる。二頭はぐんぐんと高度を上げ、瑠璃鎮から離れていく。
「なんだかんだあったが、里を出てあっという間だったな。」
とヤオが声をあげる。
「そうね、あっという間だった。この間にワイバーンの出産に立ち会ったり、盗賊を殲滅したり、決闘があったわね!リザードマンの集落を殲滅したり盛りだくさんだったわ。」
とユエが応じる。
「僕も短い間に出来事がありすぎて、思い出したら"こんなことあったっけ?!”って感じだよ。」
とヤンガも話に混じった。縁は、
「こんなもんじゃないか?旅をしていたらこんなもんだよ。」
となんともないように言う。弟子3人は、
ー師匠って、もしかしてトラブル誘引体質なのかも…ー
と思ってしまった。
朝の光が正面からさしてくる。
瑠璃鎮はすでに遠く、瑠璃色の屋根はキラキラと朝日を反射してきらめいて見えた。
福州への旅立ちは、涼やかな風をきって、静かに始まったのであった。




