第79話ーお手製レーション、作ります。ー
また遅くなってすいません!
全然時間守れてない 汗
本当にすみません!
朝、瑠璃鎮には朝靄がかかっていた。朝日が差し込み、幻想的で美しい。そんな眺めを、縁は感慨深げに見つめていた。
ー随分と、優しい朝が来たもんだ。いつも、過去のことを思い出すと、寝起きは最悪なのに…。ー
縁は昨日の事を思い出していた。
自分の過去をかなりさらけ出してしまった。弟子たちは大丈夫な様子だったが、正直、縁の胸は落ち着かなかった。嘘は言っていないが、他人から見れば荒唐無稽な話だったからだ。それでも弟子たちは、彼らなりに飲み込んでくれた。
ー私はその信頼を裏切ってはならない。ー
縁は静かに覚悟を決めた。
縁は朝食をとりに、食堂へおりた。
「おはようございます!師匠!」
元気な声が迎える。ヤオだ。
「すいません!先にいただいてます。」
とヤンガ。ユエは口になにか入っているようで、モゴモゴしている。
「ユエもおはよう。」
縁は3人を見て微笑んだ。そして、ウェーターに、
「鶏粥を頼む。出来れば卵を溶いたやつにしてくれ。」
と頼んだ。ウェーターは、
「かしこまりました。」
と恭しく下がっていく。
「さて、今日はレーション作りだ!材料はもうあるが、お前達が1人の時にも作れるように買い出しから行う。」
縁は3人に言った。
「ついでに冒険者ギルドに寄って、賞金を貰ってこよう。色をつけてくれるそうだから、期待できるな。」
と続けた。
「レーションって作るの難しそうなんですけど、僕らにできるんですかね?」
不安そうにヤンガが言った。
「大丈夫だ。炒めて混ぜて固めるだけだからな。」
縁はサーブされた鶏粥を啜りながら言った。
「買い物からするのは楽しみだわ。」
とにこにこ顔のユエが言った。
ゆっくりとした朝食を終え、縁たちはたわいのない話をしながら、冒険者ギルドに向かう。
ギルドでは相変わらず芷瑶がカウンターに立っていた。他にも受付嬢はいたが、何となく芷瑶の元に向かう。
「芷瑶さん、リザードマンの集落の件なんだが、賞金は渡してもらえるか?」
縁と弟子3人は冒険者カードを出す。
「縁様達の賞金ですね。白金貨10枚になっています。他の人の倍ですよ!倍!」
芷瑶は笑みを浮かべて言った。他の受付嬢が、カウンターの奥から小袋を持ってくる。
「確認の上、お納めください。」
と縁達に渡した。
「おお…」
ヤオが小さく声を漏らす。
「すごい額ですね…」
ヤンガも驚きを隠せない。
ユエは袋を覗き込み、
「しばらく宿代に困らないわね。」
と呟いた。
「ありがとう。確かに頂いたよ。」
と縁が礼を言った。
冒険者ギルドを出て、縁たちは食品を扱う通りに向かった。そして、小麦粉、バター、ナッツ類、クコの実などのドライフルーツ、蜂蜜、山椒を買っていった。弟子たちはみな、
ー山椒???ー
と顔を見合せたが、口には出さなかった。
縁はさらに雑貨屋で、割烹着を3着購入した。
さて、瑠璃の小箱亭の厨房に割烹着姿の4人がいる。ピカピカに磨き上げられた厨房に、男子二人はもうやる気が削がれていた。
…料理のプロの世界だよこれ。自分が何しでかすか見当もつかなくて、怖いなぁ。…
とヤンガがヤオに思考共有する。
…だよな。師匠からエプロン貰ったけど、絶望的に似合わねぇよな。…
とヤオが割烹着の袖を伸ばす。そこに、
「そこの男子2人、戦闘でもないのにビビってるんじゃないわよ。」
とユエがニヤニヤしながら言った。
「じゃあユエは自信あるのかよ〜?」
とヤオがジト目で見つめる。
「私?自信なんてこれっぽっちもないわ!師匠の指示に従えばできるから、心配してないの。」
と胸を張ってユエが言った。
そんな3人を見て縁は、
ーいつもはこのぐらいで〜とかで作っていたが、今回は大さじ小さじとか具体的に言わなきゃダメそうだなぁ…。ー
と一抹の不安を覚えていた。
これから楽しいレーション作りが始まる。
はずだった…。
ーーーそして縁の不安が静かに、現実になろうとしていた。




