第105話ー剣潭山《ジエンタンシャン》①ー
更新遅くなってすいません。
色々ありまして、気がついたらこんなに間が空いてました 汗
体調も宜しくないですが、ぼちぼち書き進めていきたいと思っています。
悪しからずお付き合いください。
縁のデバイスで15:00過ぎ。日差しが生温い。
「さっきの戦闘で気づいたんですが、師匠、普段使ってる刀と違いますよね?それも何か謂れがある刀なんですか?」
声をかけたのはヤオだった。
白熱の爆炎獣との戦いの後、モンスターたちがゾンビ化しないように処置を施し、階段に座って小休止している時のことだった。
「あぁ、これか。この刀のことは話していなかったな。」
縁は煙管をぷかりとふかしながら答えた。
「その刀、見てたらなんだか清々しい気持ちになるのよね。でも神様が宿ってるって感じじゃないわ…。不思議。」
ユエが青い拵えの鞘と、紺色の柄をじっくりと観察する。
「この刀はな、村雨丸という銘の水の力が宿った刀だ。身を断ち血を流す刃の癖に、清く潔白を好む。太刀でありながら血に濡れるのを嫌い、自ら水を滴らせて血を洗い流す。悪魔や妖、モンスターといった輩を倒すには、この太刀が1番いいんだ。使い手を選ぶ刀だから、誰も彼もが扱えるものではないらしいが。」
縁は腰のソードホルダーから、村雨丸を引き抜き、ユエの方に突き出した。ユエは恐る恐る手を伸ばし、指でチョンと触って何も無いことを確かめて受け取った。
「バチッってなったらどうしようかと思ったけど、なんともないわね、柄も普通に抜けるし、むしろ私は普段のよりこっちの刀好きよ。」
ユエは笑顔を見せて言った。そして男子二人組も、恐る恐る交代で触ってみる。
縁はそれを見ながら、
「ははは!お前たちは大丈夫に決まってるさ!水の性を強く持つ蛟、そして陰陽の化身。ヤンガは元々素直で穢れがない。刀を扱う弟子がいたら受け継いでもらっていいくらいさ。」
快活に笑った。
すると、ヤンガが嬉しそうな顔をして、
「実は僕も報告があるんですが…。」
と言い出した。縁は、
「ん?どうした?…あ、杖がない!」
ヤンガを見て驚きの声をあげる。
「そうなんです!2人があっという間に空間術式を習得してしまったので、焦りがあったんですが…。なんか今、戦闘を終えて試してみたら、すんなりできたんです。杖をぐるぐる回せる範囲しかないですけど、出し入れが自由に可能です!」
とヤンガは照れくさそうに言った。
「これで俺たちも自由に荷物が運べるな!」
ヤオがヤンガの肩を叩く。ユエも、
「やっぱ、ヤンガは魔法のセンス天才的だわ!さっきの”氷雨”?すごい貫通力ね!さっき焼いた猿、全身から血が流れてたわよ。」
と感心しきりである。ヤンガは、
「そうかなぁ〜。」
と顔を赤くして照れくさそうにしている。
縁は、
ー本当にこの3人は今までの弟子の中で1番の素質を持っている…。私の導き次第で、悪にも善にも染まりうる。過保護とまではいかないが、よく見ておかねばならんな。ー
と煙管の煙を楽しみながら思った。
少し遅いおやつに、瑠璃鎮で買っておいた焼き菓子と、お茶を一服する。
そして縁達はまた階段を登り始めた。
「この先は、トレントが変異した狂華の暴樹が紛れているだろう。トレントは群れていることも多いから、狂華の暴樹自体が1体ではない可能性がある。気をつけて進むぞ。怪しげな蔦なんか刺激したりするなよ。」
先頭を行く縁は、弟子に注意を促した。
階段は徐々に横幅が狭くなる。辺りに茂る樹木も増え、太くなってゆく。
狂い咲くトレント、狂華の暴樹はどこに紛れているのか。
日が沈み始める。
今夜の野宿は魔物の巣窟で過ごすことになる。3人は緊張を解かず、縁だけは普段と変わらない飄々とした態度で歩みを進める。
「この広間で今日は野営するぞ。」
階段の広い踊り場を占領し、縁達は2つテントを張る。女子と男子。今夜は白曜と黒曜にばかり、見張りを任せることはできない。夜襲を警戒しがら、4人は身を休めることにするのであった。




