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双蛇ノ縁ーソウダノエニシー  作者: 環林檎


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105/106

第105話ー剣潭山《ジエンタンシャン》①ー

更新遅くなってすいません。

色々ありまして、気がついたらこんなに間が空いてました 汗

体調も宜しくないですが、ぼちぼち書き進めていきたいと思っています。

悪しからずお付き合いください。

縁のデバイスで15:00過ぎ。日差しが生温い。

「さっきの戦闘で気づいたんですが、師匠、普段使ってる刀と違いますよね?それも何かいわれがある刀なんですか?」

声をかけたのはヤオだった。

白熱の爆炎獣はくねつのばくえんじゅうとの戦いの後、モンスターたちがゾンビ化しないように処置を施し、階段に座って小休止している時のことだった。


「あぁ、これか。この刀のことは話していなかったな。」

縁は煙管をぷかりとふかしながら答えた。

「その刀、見てたらなんだか清々しい気持ちになるのよね。でも神様が宿ってるって感じじゃないわ…。不思議。」

ユエが青いこしらえの鞘と、紺色のつかをじっくりと観察する。


「この刀はな、村雨丸という銘の水の力が宿った刀だ。身を断ち血を流す刃の癖に、清く潔白を好む。太刀でありながら血に濡れるのを嫌い、自ら水を滴らせて血を洗い流す。悪魔や妖、モンスターといった輩を倒すには、この太刀が1番いいんだ。使い手を選ぶ刀だから、誰も彼もが扱えるものではないらしいが。」

縁は腰のソードホルダーから、村雨丸を引き抜き、ユエの方に突き出した。ユエは恐る恐る手を伸ばし、指でチョンと触って何も無いことを確かめて受け取った。


「バチッってなったらどうしようかと思ったけど、なんともないわね、つかも普通に抜けるし、むしろ私は普段のよりこっちの刀好きよ。」

ユエは笑顔を見せて言った。そして男子二人組も、恐る恐る交代で触ってみる。

縁はそれを見ながら、

「ははは!お前たちは大丈夫に決まってるさ!水の性を強く持つ蛟、そして陰陽の化身。ヤンガは元々素直で穢れがない。刀を扱う弟子がいたら受け継いでもらっていいくらいさ。」

快活に笑った。


すると、ヤンガが嬉しそうな顔をして、

「実は僕も報告があるんですが…。」

と言い出した。縁は、

「ん?どうした?…あ、杖がない!」

ヤンガを見て驚きの声をあげる。

「そうなんです!2人があっという間に空間術式を習得してしまったので、焦りがあったんですが…。なんか今、戦闘を終えて試してみたら、すんなりできたんです。杖をぐるぐる回せる範囲しかないですけど、出し入れが自由に可能です!」

とヤンガは照れくさそうに言った。

「これで俺たちも自由に荷物が運べるな!」

ヤオがヤンガの肩を叩く。ユエも、

「やっぱ、ヤンガは魔法のセンス天才的だわ!さっきの”氷雨”?すごい貫通力ね!さっき焼いた猿、全身から血が流れてたわよ。」

と感心しきりである。ヤンガは、

「そうかなぁ〜。」

と顔を赤くして照れくさそうにしている。


縁は、

ー本当にこの3人は今までの弟子の中で1番の素質を持っている…。私の導き次第で、悪にも善にも染まりうる。過保護とまではいかないが、よく見ておかねばならんな。ー

と煙管の煙を楽しみながら思った。

少し遅いおやつに、瑠璃鎮で買っておいた焼き菓子と、お茶を一服する。


そして縁達はまた階段を登り始めた。

「この先は、トレントが変異した狂華の暴樹きょうかのぼうじゅが紛れているだろう。トレントは群れていることも多いから、狂華の暴樹きょうかのぼうじゅ自体が1体ではない可能性がある。気をつけて進むぞ。怪しげな蔦なんか刺激したりするなよ。」

先頭を行く縁は、弟子に注意を促した。

階段は徐々に横幅が狭くなる。辺りに茂る樹木も増え、太くなってゆく。

狂い咲くトレント、狂華の暴樹きょうかのぼうじゅはどこに紛れているのか。


日が沈み始める。

今夜の野宿は魔物の巣窟で過ごすことになる。3人は緊張を解かず、縁だけは普段と変わらない飄々とした態度で歩みを進める。

「この広間で今日は野営するぞ。」

階段の広い踊り場を占領し、縁達は2つテントを張る。女子と男子。今夜は白曜と黒曜にばかり、見張りを任せることはできない。夜襲を警戒しがら、4人は身を休めることにするのであった。



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