表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
双蛇ノ縁ーソウダノエニシー  作者: 環林檎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

100/105

第100話ー龍神の願いー

寝過ごしました!

いつもと違う時間帯になり申し訳ないです 汗

100話に到達できたこと、

これは皆さんが読んでくださるからこそです。

ありがとうございます!

海は凪ぎ、音のない世界に人々は息を潜める。海鳥の影さえない秋晴れの空。

そこに堂々たる体躯の、青い鱗に水色のたてがみが美しい龍が、長い髭を波打たせている。


黒水溝の主である龍は言った。

「陰陽の化身を引き連れる者よ。そなたが此度大陸全土に及んだ陰陽の乱れを正したのだな?」

縁は、

「そうだ。私の空間術式と、産土神ウブスナガミの力を用いて、陰陽の乱れを鎮めた。ヤオ、ユエ、この方は黒水溝の主、挨拶しなさい。」

と答えた。ヤオとユエは背筋を伸ばし、

「私が陽の化身、ヤオです。」

「私が陰の化身、ユエです。」

それぞれ名乗った。

黒水溝の主は、

「陰陽の化身達、それぞれ良い面構えをしている。もう1人の者も、聡い目をしているな。」

弟子3人を見て言った。ヤンガは慌てて、

「私は、弟子の1人のヤンガと申します。名乗りが遅れ申し訳ありませんでした。」

と頭を下げた。縁は、

「3人共良い子ですよ。賢く努力も怠らず、驕りもせず、敵を前にしても挫けることのない強さがあります。」

縁は微笑みながら、黒水溝の主に語った。

「そうだろうよ。滝野縁。そなたを師とするならば、それだけの資質がなければ無駄であろう。」

黒水溝の主は髭を波打たたせて言った。

「さすが、黒水溝の主。我が名を看破されるとは。」

縁はにっこりと微笑む。黒水溝の主は、

「名を見通されてなお微笑むか。食えぬ女よ。名は見える、されど魂の最奥にある真名だけは、霧に包まれておる。」

と口角を上げて言った。



「ーーーさて、お主たちを止めたのには理由がある。」

黒水溝の主はひたと縁の瞳を見据えて言った。

「ここに、この海に何か異変があるのか?」

縁は周りを見渡して尋ねる。

黒水溝の主は、

「ーー半分当たりで半分外れだ。海の異変は我々海神ワダツミが力を合わせてなんとか、平穏に済ませている。問題は…台湾島の龍脈だ。そちらが震源になっている。陽の気に傾き、魔物が活発化しているのだ。我らは海を司るもの。大地の理たる龍脈には、我らとて易々と手を出せぬ。そこにやってきたのが、陰陽の化身とそなた、ーー強き者だ。」

と語った。縁は顎に手を当てると、

「なるほど、問題は明確だな。実は琉球王国でも龍脈に異変が起きている。大きな龍脈がある台湾でそれが起こらないはずがない。活性化している魔物を鎮め、ヤオとユエが陰陽の乱れを整えれば良いということだな?」

と黒水溝の主に言った。

「そうだ。しかし、"今"の陰陽の化身だけでは龍脈は整えられぬ。龍脈とは大地そのもの。導く者なくして、その力は散る。長く生きた強き者、お主が彼の者らを導くのだ。そして台湾島の異変を鎮めて欲しい。」

黒水溝の主は深く頭を下げた。


弟子3人は、驚愕した。龍神は誰に対してもおもねらない。誇り高く、他者に頭を垂れることなど聞いたことがない。

それなのにーーー。

黒水溝の主である龍神は、自分たちに向かって頭を下げている。さすがの縁も驚いていた。


「頭をあげられよ、黒水溝の主殿。龍神に頭を下げさせるなど、誰かに見られていたら雷が降ります。台湾島の龍脈の件は、我らが請け負います。必ずや、黒水溝の海神ワダツミに吉報をもたらしましょう。」

と、縁は言った。

その言葉に、

「私共、陰陽の化身たる身、力の限りを尽くすとお約束します。」

とヤオが言った。

「黒水溝の主様、必ずや陰陽の乱れを整えてご覧にいれます。」

とユエが言った。


黒水溝の主は、

「ありがたい。陰陽の乱れは全ての生き物に影響を及ぼす。生態系でさえ崩れる。強き者よ、陰陽の化身よ、聡い目の子よ、台湾島の龍脈をお任せする。我々が海を保つのもそろそろ限界だ。龍脈が整うことを、私達は水底で待っている。」

と言った。


「要件は伝えた。さらばだ。そなたらの武運を祈る。」

と身を翻し、

「ザブン!!」

と海に溶け込むように、深い水底に降りて行った。


静寂の中、トンッと縁は甲板に降り立ち、

「台湾では手短に話をまとめて、琉球に行ってしまいたかったが、足止めされそうだな。」

とやれやれという様子で言った。


ヤンガは、

「師匠、相手は龍神、しかもあの大きさ!なんで対等な話ができるんですか?!」

と混乱した様子で問いかける。

ヤオとユエに至っては、この先に待ち受ける難題に頭を悩ませていて、それどころではなかった。

「そりゃあ、黒水溝クラスの海神ワダツミになると、あんな感じだろ??大河の神もあんな感じだし。気にしたら負けだ。ヤオもユエも龍脈に行ってみないと、整えるも何もどうすればいいか分かりはしない。今わかっているのは陽の気に当てられたモンスターが暴れていることぐらい。大きくドンと構えていればいいさ。」

と縁は楽観的に言った。


ヤオとユエは素早く思考共有リンクで、会話を交わす。

…乱れを鎮めると啖呵をきったものの、全くどうすればいいのかわからないんだが。…

とヤオ。

…私も全く想像がつかないわ。私たちにできるのかしら。…

とユエ。


その二人を見ながら、縁は、

ー厄介なことになってきたなぁ…。私が旅に出るとだいたいなにか起こるんだよなぁ…。ー

とため息を着いた。


そこに船長が、

「おいおいおいおい!縁様!今のは龍神か?!黒水溝の主か?!」

と駆け寄ってきた。

「そうだよ。黒水溝の主だそうだ。」

縁はボヤき気味に言った。


船長は帽子を脱ぐと、海に向かって深く礼をした。船の中を見ると、船乗りたちは全員帽子を脱ぎ、龍神が去っていった方へ頭をたれていた。



そしてーーー

船が動き出して数時間、日がどっぷりくれた頃。台湾は、台北の港に劈浪号ヘキロウゴウは着いた。


ザワリ、ザワリ。

縁と陰陽の化身たるヤオとユエは感じる。そして、常に3人に付き従い、感覚が研ぎ澄まされているヤンガも感じた。

ー空気が、あつい。島が泡立っている。ー

その感覚が全員にあった。


「これは思ったより、厄介そうですね。」

ヤオが呟く。

他の3人も頷く。

ーー島が悲鳴をあげている。


台湾の龍脈で何が起きているのか――

その答えは、龍脈へ赴くまで誰にも分からない。

そんな未知の世界に、4人は立っているのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ