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改造されて、コントして

仕事が繁忙期に入ったのと、台風来ると余計忙しくなるので、更新遅くてスミマセン。台風、迷惑過ぎる…

姉弟とクグラの三人で、隊の受け入れ指示を出している業務棟へ向かう。

クグラ曰く、いつもの通りに第一会議室に、本部が設置されているという。


イェゼ君は横を歩くクグラに、二度手間になる可能性を詫びた上で、次々と質問を重ねていく。聞くのは主に、隊の今居る位置であるとか、構成など。お祖父様が把握している情報を、彼も押さえておくつもりなのだろう。

弟君、こういう作戦行動に慣れてるっぽいね。


イェゼ君を真ん中に、三人仲良く横並びで歩きながらの会話にしては、内容がハードだ。

三人で並ばなくても、二人ががっぷり組んで話してるのを、私は後ろから聞かせてもらえればいいんだけど、イェゼ君が手を離すのを許してくれない。さっき、それとなーく後ろに下がって手を離そうとしたら、ぐいって彼の体側に手を引き寄せられた挙げ句、チラッと視線で咎められた。

ご意見は『よそ行っちゃだめ!』『話の邪魔しないように』『大人しく隣に居て』そんなとこだろう。なんで私が叱られにゃならんのだ…。


まぁ、聞き漏らしようのない距離のお陰で、私も隊の様子を大まかに掴めた。

ん?イェゼ君は『私も知りたいだろう』って配慮で引っ付いてる?それかもな。ごめん、ありがと、愛い奴よのぅ。


…で、隊のこと。西域外壁まで特に隊には目立った問題もなく、外壁の検疫も難なく通過したが、外壁内に入ってから、ポツポツと体調不良が目立ってきたという。


体調不良といっても、熱が出る様な変調ではなく、疲労の蓄積が一気に出る様な、体が重くて何にもする気が起こらない…という鬱病が進んだ状態に似た症状。西都に近付くにつれ、それに陥る者が頻発して隊の進みに影響が出てきた。

それで、症状の重いものは休ませようと、外壁と西都の中間の街で隊を分けることにしたという。


帰投中に体調不良者が出るのは予測の範囲だが、今回のように、もうすぐ戻れるという希望の見えた矢先に、急に皆が気力を失うというのは、明らかに異常だ。


むしろ、熱が出るような病気に一斉に罹患するほうが、大変だけど理解は出来る。

複数人が極度に精神力を削られる様な害悪なんて、聞いたことがない。


「人の雑多な思念を吸収して悪さをする型ですね。レグリウナの呪術で見たことがある。感じた気配も同じだし…チッ!ほんっと、アイツら碌な事しやがらねぇ…」

…イェゼ君から発せられた、まさかの舌打ちと罵倒に、思わずそちらを見れば、可愛いお顔を憎々しげに歪めているではないか!もしや相当怒ってる?

びびった私の視線に気づいた彼が、こちらに見あげて表情を緩めた。


「姉上のお心を曇らせた奴等には、相応の報いを与えてやります。今後、エッカ商会につまらない物を寄越す輩が出ないようにしましょうね」

イェゼ君は輝く笑顔で言いながら、「あ、そうだ」と、繋いだ手を自らの顔まで持ち上げた。

「守護印を強化しておきましょう」

そう言うと彼は、私の手の甲に口付けた。


は?守護印!?

唇の触れた部分から、ぽわっと温かく熱が拡がる。

彼は唇を離すと、握った手を軽く捻って、私の手の甲がこちらに見えるように向けて見せた。そこには白く光る紋様が浮かび上がっている。

「!さっきの…!」

あれは見間違いじゃなかったんだ。まじまじと見れば、祓い師の使う護符の紋様みたいだ。

なんでそんなものが私の手に?いつの間に?


「クグラ殿に憑いてた残滓にも発動して迎撃したのは良いけど…姉上の手に反発が伝わってましたよね?ごめんなさい、すぐ修正します」


は?修正??

いや、その前に、迎撃って??

え?私の手がナニをしたと??


理解不能な私を置いてきぼりに、弟君は繋いだままの手を体の横に戻すと、手のひらを少し離して親指の指先で私の手のひらをコチョコチョし始めた。


驚愕の事実発覚。

あの、くすぐってたのは、遊んでたんじゃなかった!


知らない間に、私の手に何かの…守護術が掛けられてた!!しかも確かあの時、火花出たよね?あれは、クグラに憑いてた何かを私が撃退した結果ですか!?私の手に知らずに仕込まれた呪術の印がやったんですか!?


思わず背筋がぞわわっとして、体にぶるりと震えが走った。とたん、彼の指がピタリと止まる。

しまった…!思わず震えてしまった。

でも、ビビって当然でしょ!と、彼を見て…後悔した。

イェゼ君は、またもすっかり犬耳をヘニョらせている。

もー、何度目よ?この展開。


「あ…姉上、ごめんなさい!勝手に守護を結んじゃって。その、…俺は、怪異を呼びやすいので…。もしも姉上に何かあったらいけないと思って…先走ってしまって、ごめんなさい!」


うーん…泣きそうな声で謝らせてしまった。こちらを見る眼差しが『嫌わないで…』と訴えてくる。

私がビビらされたのに、君がビビってどうすんだ…。


「…びっくりしたけど、いいよ。逆に、私がお礼を言わなきゃ。その守護のお陰で、隊の異変の原因が解りそうなんだし」

「…赦してくれる?俺、ちゃんと護るから、姉上を…預けて欲しいんだ…」

私の腕にスリスリして、子犬ちゃんがクゥンクゥンと甘えてくる。

歩きながら器用だなぁと、感心する。そんなことでも考えないと、弟の頭越しに刺さるクグラの興味津々の気配が辛すぎる…。

「…おねがいします…」

「まるっと了解です!!落ち着いたら、もっと強力な呪を施しますねっ」


子犬は元気百倍で復活した。

なりゆきで、弟による姉の魔改造を承諾してしまったが、業務棟に着いたら、こっそりお祖父様かお義母様に相談しよう…。


にしても。ふぅ~…なんか昔、こういうコントを縁日で見たわ。

新婚の可愛いダメ嫁の失敗を咎めた夫に、嫁が『私ってダメな女ね。貴方の妻の資格なんてないわ』って、急に泣き出すやつ。そこで哀しい音楽が鳴って…

嫁『もう私の事、嫌いになった?』

夫『好きだよ』

嫁『愛してる?』

夫『愛してるよ』

チャ~ラリラリ~♪と、明るい音楽が鳴って…

嫁『嬉しいっ!私、幸せっ!』

パンパカ~♪と嫁が復活して、夫が激しく脱力…ってネタだった。


もしかして、イェゼ君も知っててやってる?

あのコント。どんなオチだったっけ…?

姉弟でお笑いコンビ組む気はないからね。

ドリフです。そんなん、若い子知らんし…。

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