もうそろそろ
すみません。本文内、一部直しました。(直しついでに、後書きにも突っ込み入れときました)
本日のやらかし祭も、たけなわです。
セレブで美形な弟は、狸顔の姉の無礼なぶちかましに、すっかり顔色を無くしてしまってます。
「イェゼ君…?」
声をかけると、彼はゆっくりと顔を下げ、口許に拳をあてると「うーーん…」と考え込んでしまった。
あれ?なんか予想してた反応と違う。
少しすると、彼はこちらをそっと見て、口を開いた。
「そんなに嫌なんだ…」
「うん。自分でも、どうしてそこまで?って思うけど…」
はた迷惑な感じは、鼠花火みたい。寄るな危険、火が点いたら暴れます。
「…いいんじゃない?」
へ?
「それが、姉上の誤魔化さない気持ちなんだろ?教えてくれて、ありがとう」
ドン引き覚悟だったのに、解ってくれて、お礼まで言われた!
イェゼ君てば、漢前すぎる!
「姉上が絵を描いてる時は、許可無く側にはいかない。それでいい?」
ぎこちなく頷くと、彼はふわっと笑った。
「絵が上手くても、描いてるのを見られるのが嫌な人もいるんだね。気を付けなきゃ」
そう呟いて彼はウンウンと頷いている。
うわぁー、なんか、素直だ。
やっぱ育ちがいいからかしら?等と、崖っぷちから離れつつ考えていると、「スケッチの同伴については、早めに相談しようね」と言われた。
…そこはまだ来る気なのか。
あ!そういえば…
「それより!なんでイェゼ君が、ガンナーレと私の事を知ってたの?」
そもそもの疑問が、うやむやになってた。
「姉上の調査書見たから。あ、っと…俺は報告対象じゃなかったけど、当事者だから見る権利ある」
どうにかして勝手に見たのね…。
「調査書ね。まぁ、コーフェ様の再婚相手なら、調べない方がおかしいよね」
イェゼ君は軽く肩を竦めた。
「竜種にとっては、番であることが全てを凌駕するよ」
そこで、彼はニヤっと笑った。
「ま、形式上ってやつで、調査書は作られたんだけど。蓋を開けてみれば、お義父さんの家系は先祖代々、優秀かつ清廉潔白で、古狸共はぐうの音も出ず、即再婚決定」
「そうだったんだ」
嬉しいな。
「だからね、姉上は母さん側の親族に遠慮しなくていいんだよ。こっちは、叩けば埃出まくりだから」
にこやかに言われても困る。
でも、そうなのかもしれない。清濁併せ呑めず政は務まらないだろうから。
「ところでさ。さっきからずっと、母さんの事、様付けになってる」
「あ、、」
「『おかあさん』だよ。慣れてね」
彼がそう言ったところで、部屋の扉が控え目に叩かれた。
どうぞ、と返事をすると、少し扉が開かれてマルラおばさんが見えた。
なんだ…?ああっ!そういえば、お茶も飲まずに話してた。茶菓の用意も頼まず、私達が部屋から出てこないから見にきた?
「どうしたの?」
声をかけたが、イェゼ君に遠慮をしてか、入ってこないので、長椅子から立って扉の方へ用件を聞きにいく。
「お邪魔をして申し訳ありません。大旦那様から伝言でございます」
なんだろう?
姉:ごめーん。お茶、出しそびれた。もういっそ、お茶漬けとか食べる?
弟:…それ、どっかの土地では「帰れ」と同義だよね…?茶も飲まんと…お開きに!?
↓
そして弟が『お開き』よりも、『自分も今日から、ここんちの子なんですけど!?どうしろと!?』と、ショックを受けるのは、このあとすぐ。




