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なぜか無双の盗賊は、婚活パーティーに入れこむ!?  ~お人好し転生者の盗賊ライフ~  作者: さとうはるか


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第六話 それぞれのリセット  1 フィリアのリセット


 フィリアはちょっと顔を赤らめながら、少し自慢げだ。

 うん。傍で見ていても、剣さばきは上手いと思ってたんだ。


「じゃあ、なおさらだ。敵の攻撃を受け流してすぐさま反撃。これなら敏捷性が低くても、充分に敵とわたりあえる剣士になれるはずだ」

「そ、そうか……」


 ごくり、とフィリアは唾を呑む。俺は一応、最後に言った。


「無論、これはあくまで俺の意見。俺の言う通りにする必要なんて全然ないし、最後は君が選んで決めることだから」


 フィリアは真剣な顔で考えている。が、やがて力強く頷いた。


「いや! あたしはライトの言う通り選んでみる! 今まで、こんなに適切なアドバイスを貰ったことはない。それに……ライトの言うスタイルでやってみて仮に合わなかったとしても、何にしろ『剣術レベル5』がすぐに必要なのは理解したから」

「そうか。じゃあ――そうしてみるといいよ」


 俺は微笑んだ。フィリアは自分のステイタスを見つめると、『スキル・リセット』のボタンを押した。すると、画面いっぱいに文字が出る。


『本当に全てのスキルをリセットしますか? はいorいいえ』


 迷うかと思ったが、フィリアは勢いよく『はい』のボタンを押した。


『スキルがリセットされました』との表示の後、またステイタス画面に戻る。

 スキルポイントが8に増えていた。


「よし、まず『剣術』に5ポイント!」


 獲得スキルが剣術レベル5になり、フィリアは俺に訊いてきた。


「それから反撃とパリイを――幾つずつ取ったらいい?」

「パリイを2、反撃に1、だな」

 フィリアは言われた通りにする。と、ふーっ、と息をついた。


「あぁ……あたし、なんだか生まれ変わった気がする――。なんか、凄く戦えそうな気がするわ!」

「それは後で検証してみると判るよ」


 と俺が笑ってみせると、次はエリスが身を乗りだして俺に言ってきた。


「わ、私も見てください!」

「うん。見てみよう」


 と、エリスがステイタス画面を出す。


 エリス・ヴェルデ Lv5 スキルポイント 残り0


HP   28

MP   87

体力   09

気力   10

魔力   30

念力   27

敏捷性  15

技能性  11


 獲得スキル:金属魔法Lv1 火炎魔法Lv1 水流魔法Lv1 木製魔法Lv1 土石魔法Lv1 光性魔法Lv1 氷結魔法Lv1 空間魔法Lv1


 ――と、俺はまず驚く。


「おい! レベル5でMPが……87? 凄いな、エリス!」

「あ……そうなんでしょうか?」


 えへへ……と、眼鏡の奥の眼を細めて、微笑んでいる。

 いい気分のところ申し訳ないが――俺はそこで言った。


「けど、スキル選択はちょっと問題だ。どうして、次から次に異なる属性の魔法を取ったんだ?」

「それは――私、全ての魔法を使いこなす大魔導士になりたいからです!」

 うん、だろうと思った。


「正直、これははっきり言えるけど、これは一番まずいやり方だ」

「え~っ! そうなんですか!?」


 がっくりとしおれるエリス。


「あれもこれもと欲張って、現実的な実効性から魔法が遠ざかってしまうケースだ。フィリアの剣術もそうだったけど、実は一つの魔法を極めてから、他の魔法を取得していくのが、本当に力をつける早道なんだ」

「そうなんですか……」


 声が小さくなるエリス。が、すぐに気を取りなおして、顔を上げる。


「けどじゃあ、私もリセットすればいいってことですね!」

「そういうこと。話が早いな――で、散々取った挙句、自分に一番合ってる――というか、好きな属性は?」


 エリスは顎に人差し指をあてて、少し考えている。


「えと……金属魔法が一番好みかも」

「ほぉ~、なかなか渋い好みだなあ。メインの使い手は珍しいかも」


 俺が感心すると、エリスは顔を赤らめて両手を組んで頬にあてる。


「だって……あの光沢、あの硬くて冷たい質感! あれが素敵なんですもの……」


 ――ちょっと、ヘンな子かも。まあ、いいや。


「じゃあ、まず取得するのは金属魔法Lv5まで取ってカンストだな」

「えっと……そこから先はどうしたらいいんですか?」


 エリスの問いに、俺は逆にエリスに問い返した。


「五行属性は知ってるよな?」

「はい。魔法の木・火・土・金・水ですね。もちろん知ってます!」

「五行の中には相性がある。五行相克――水→火→金→木→土→水、という形で前者は後者より強い。金属性をメインに使うということは、火属性のモンスターや魔法には弱い、ということだ」


 俺の言葉に、エリスは真剣な面持ちで頷く。


「で、金属性をカンストしたら、サブの属性ではその弱点をカバーするような魔法を取るのがセオリーだ。つまり――」

「火属性に弱いから、水属性の魔法…って、ことですよね?」

「さすがエリス、呑みこみが早いな。けど、実は属性は五つだけじゃない。それも知ってるだろ?」


 俺がそう訊くと、エリスはうんうんと頷く。


「実は五つの基本属性にはそこからの派生属性が存在する。それは水―氷、火―影、金―光、木―風、土―空、これが派生属性だ。裏五行なんて呼び方もあるが、この派生属性は、表属性の弱点を補う形で存在するんだ」

「え……そうなんですか!?」

「例えば火属性に対して、光属性で対応する――金属性をメインにしたなら水属性を取るのもいいが、光属性を取るのも手なんだ」


 俺の話を聞いてエリスは考えていたが、やがて顔をあげた。


「私、金属製メイン、で光属性でいってみようと思います」

「うん。それとは別に、実は一つ提案がある」

「え、なんですか?」


 俺はエリスに言った。


「このパーティーには『察知』スキルを取ってる者がいない。レベル1でもいいから、『察知』をとってる人がいると、モンスターの出現に慌てなくて対応できるようになる。それは遠距離攻撃を持ってる人が取得するのが、一番、適切なんだ」

「『察知』、ですか――」


 エリスは少し考えて、俺に言った。


「なんか、ライトさんの戦いぶりを見ていて、『察知』の重要性を痛感してたんですよね。けど、それは盗賊だからなのかな~と思ってたんですけど、魔導士の私が『察知』してもいいんですね」

「そりゃそうだ。とにかく先に気付いて、真っ先に遠距離攻撃をする――これが『察知』持ちの役割だからな」

「判りました! 金属製カンストで『察知』を1、光属性を2で行ってみようと思います!」


 俺は頷くと、エリスは『リセット』を実行して、言った通りのスキル取得をした。エリスはにこやかに笑う。


「これで私も生まれ変わりました!」

「もう少し。それぞれの魔法取得があるだろう。スティール・ベルトは中間・近距離魔法だろう。コストは幾つだ?」


 そう、魔法にはそれぞれコストがある。


「スティール・ベルトはコスト5です。問題なく使えます! ――って、あれ!? コストが上がってる!」


 エリスはステイタス画面を見て驚きの声をあげた。


「うん。金属魔法をレベル5に上げたから、一つの一つの魔法の威力も上がってる。その代わり、それに応じてコストも上がるんだ」


 魔法コストは魔法を使うための条件で、このコスト制限は魔力分で換算される。エリスの場合、魔力が30なので、このコスト分しか使用できる魔法を登録できないのだ。


 ――が、魔導士は職業特性でコスト削減ができる。

 レベル1の魔導士のコスト削減は、5。コスト5の魔法は、コスト0で登録できる。


 これが他の職業と、魔導士の根本的な違いだ。

 コスト分の魔法をその職業でも使うことはできるが、その場合、コストはそのままかかる。が、魔導士はコスト削減特性できるので、登録できる魔法の数が段違いになるのだ。


 と、エリスは自分の魔法を見て驚きの声をあげた。


「今のスティール・ベルトは……コスト12!? って、ええっ! これじゃあ、ゼロコストで使えません!」


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