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なぜか無双の盗賊は、婚活パーティーに入れこむ!?  ~お人好し転生者の盗賊ライフ~  作者: さとうはるか


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3 思わぬ再会


 青い髪の剣士に治癒薬を差し出そうとして、俺は気づいた。

 この子ら、俺を騙してただ喰いしていった、あの女子三人組じゃないか!


「あ……」


 青髪剣士もやっと俺に気付いたらしく、青ざめた顔をした。


「あ、あの時の――」


 銀髪ボブの眼鏡魔導士も気づいたらしく、声を洩らす。

 俺はとりあえず言った。


「とにかく! これ飲んどけ! ――君も!」


 俺は青髪剣士に治癒薬をわたすと、眼鏡魔導士にも治癒薬をわたした。

 二人とも、黙って薬を飲む。


「あ……ありがとう――」


 青髪剣士が、ためらいがちに俺に言った。


「ま、大事にならなくてよかったよ。そっちも大丈夫?」

「あ……はい、ありがとうございました」

 

 銀髪眼鏡が、丁寧に頭を下げる。


「そう。ちょっと経験値とっちゃたみたいで悪いけど――命には代えられないだろ? あ、魔石は回収していいから。じゃ」


 俺はそう言って、その場を立ち去ろうとした。

 と、その俺の腕に、何か柔らかいものが当たる。


「あの! ……本当にありがとうございました。あなたは命の恩人です」


 見ると金髪ウェーブの美人が――俺の腕を抱きしめている。俺の腕にあたってるのは……柔らかな胸の谷間だ!


「あぁっ! いや、そんな大したもんじゃないから。たまたま通りかかっただけだし」

「――その、助けてもらって申し訳ないが!」


 突然、青い髪の剣士が、うつむいたまま声をあげる。なんだ、どうした?


「自分たちで討伐したわけでもない魔石を貰うのは気が引ける! 魔石は貴公の取り分なのだから……持ち帰っていただきたい――」


 なんか……凄いやせ我慢感出てるんですけど?

 多分、けっこうな数の魔石だと思ってるんだろう。欲しいのに違いない。


「あ……実はさ、下の階層で魔石を回収しすぎて、もう荷物がいっぱいなんだ。迷惑かけるようで申し訳ないけど、貰ってくれないかな?」


 俺がそう言うと、青髪剣士は顔を上げた。


「そ……そういうことなら――」

「ありがとう、助かるよ」


 俺は笑ってみせた。と、青髪剣士が、呆然とした顔で辺りを見回す。


「それにしても……一体、何をしてゴブリンを全滅させたのだ? 魔法か?」

「いや、罠(トラップ)だ」


 俺の意外な答えに、三人の顔が驚きに変わる。と、俺はさらに言った。


「この前は『猟師』って言ったけど、俺の本当の職業は『盗賊(シーフ)』。罠形成が得意で、煙幕のなかで爆裂する罠矢を撃ち込んだのさ」


 俺はそう言ったが――予想通り、『盗賊』を口にした時に、三人の表情が固くなった。

 そこまで嫌われてるとはねぇ……ま、しょうがないか。


「……というわけで、俺の戦い方は参考にならないから。それじゃあね」


 俺はそう言って、踵を返した。

 なんかモロに嫌われたりするより、なんの関係もない方がまだ気がラクだ。


 そう思って背を向けて二歩歩いた――時だった。


「あの! 待ってください!」


 後ろから声がした。振り返ると、銀髪眼鏡ちゃんだ。

 両手に胸の前で握ると、銀髪眼鏡ちゃんは頭を急に下げた。


「この間は――ごめんなさい! 私たちの分を、無理に押し付けたりして!」


 俺は……返答に困った。黙っていると、銀髪眼鏡は顔をあげる。


「やっぱり……怒ってますよね――」

「申し訳なかった!」


 今度は青髪剣士が謝る。


「我々の懐事情が切羽詰まっていたとはいえ――やっぱり、あれはただ喰いでだまし討ちだ。申し訳なかった」

「あの……本当にごめんなさい」


 しゅんとして、しおらしい感じで巨乳僧侶が頭を下げる。

 ――が、その時に、胸の谷間はぐっと寄る。

 ちょっと! それ、絶対、ワザとだよね!?


 巨乳にほだされたわけではないが、俺は苦笑をみせて言った。


「別に気にしてないよ。こっちも美女三人と飯が喰えて、よかったんじゃないかなって思ったくらいさ。まあ、気にしないで」


 俺がそう言うと、銀髪眼鏡が口を開く。


「あの……盗む側なのに盗まれた――とかで、怒ってませんか?」

「あのね! 俺は多彩なスキルがあるから『盗賊』を選択しただけで、実際の盗みはしないの! 犯罪行為は一切、しません!」


 俺がそう言うと、少し三人の顔に笑顔が宿る。どうやら安心したらしい。


「よかった……なんか、いい人そうに見えたのに『盗賊』なんて言うから――驚いちゃいました」

「ふむ……色々な考え方があるものだな」


 銀髪眼鏡の後に、青髪剣士が感心したように呟く。 

 と、銀髪眼鏡は、そのまままっすぐ俺を見て口を開いた。


「あの……こんなに助けてもらった上であつかましいと思うかもしれませんが――私たちを地上まで連れて行ってもらえませんか? 正直……私たち限界で……」


 銀髪眼鏡が祈るような目つきでこっちを見てる。

 と、青髪剣士が頭をバッと下げた。


「お願いする! あたしたちも――ここで全滅したくはない!」

「……お願いします。どうか――お願いをきいてもらえませんでしょうか」


 金髪僧侶が、いきなり俺の手を取って両手で握りしめる。

 ボディタッチだぁ、絶対、この人、確信犯だよぉ。


 ボディタッチにほだされたワケじゃないけど、俺は言った。


「判った――やってみよう。じゃあ、地上まで一緒に帰ろうか」


 俺がそう言うと、女性三人は目を合わせて笑みを浮かべた。


「じゃあ、これ飲んどいて」


 俺はそう言って、今度は回復薬を三本渡す。

 治癒薬はHPを回復するもので、回復薬はMPを回復するものだ――


 ――ゲームでは。けど、俺も五階層攻略するまでに飲んでみたが、こちらでは治癒薬は傷を治すもの。回復薬は疲労をとるもの――というのが実感だ。


 これからの帰り道、俺が『察知』してるとはいえ、不意打ちに三人が合わないとも限らない。できたら可能な範囲で自衛してもらわないと、だからね。


「あの……高価な薬をさっきから貰ってばかりで――本当に申し訳ありません」

「あ、気にしないで。今日かなり稼いだから、大丈夫」


 俺は笑ってみせた。と、銀髪眼鏡が訊いてくる。


「あの……改めてなんですけど――お名前は……?」

「あ、俺はライト。ライト・ミクリヤ。――そっちは?」


 俺が訊ねると、三人が順番に答える。

 まず口を開いたのは、青髪ロングの剣士だ。


「あたしは――フィリア。剣士だ」


 次に銀髪ボブの眼鏡が口歩を開く。


「私はエリス、魔導士です」

「ウフ……わたしはチェルシー、僧侶です。よろしくね、ライトさん」


 最後に金髪ウェーブの巨乳が微笑む。いや、そのエロ保険医コーデで僧侶とか……いいじゃないか! うん、アリだな!


 青髪のフィリア、銀髪のエリス、金髪のチェルシーね。把握しました。


「よし、それじゃあ行こうか」


 俺は軽く笑うと、先にたって歩き出した。

 しばらくすると、先の方にモンスター気配を『察知』で感じる。


「あ、ちょっと待ってて」


 俺は三人に立ち止まらせると、少し先に歩いた。

 洞穴の向うから、ニードル・バットが飛んでくる。飛んできて針を吐くという、厄介な奴だ。しかも大概――群れで来る。


「あ――あんなに!」


 眼鏡のエリスが――悲鳴に近い声をあげた。


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