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なぜか無双の盗賊は、婚活パーティーに入れこむ!?  ~お人好し転生者の盗賊ライフ~  作者: さとうはるか


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第四話 ダンジョン攻略  1 思わぬ再会


 俺はさらに剣ウサギ三匹を、またナイフで斬った。やはり剣ウサギが、森のものより大きい。


 正直、レベル18まで上がった俺には、剣ウサギはわざわざMPを使って罠で倒すような相手ではない。

 剣士ほど強力ではなくても、レベル18の剣術Lv5はそれなりの強さだ。


 と、剣ウサギが紫の魔石に変わる。やはり、ナノパの森の剣ウサギの魔石より大きい。


 森の魔石は一つ30ワルドくらいにしかならなかったが、このダンジョンの剣ウサギの魔石は一つ100ワルドにはなる。

 ――ので、ここからはちゃんと回収していく。大事な収入源だしね。


 ちなみに――


 ――その魔石はこの世界の動力源として使われる。売った後は精製されて、『魔源筒』として使用される。

 あのカプセル宿屋の灯りなんかも、この魔源筒を元にしているわけだ。


 動力源なので、需要はほぼ無限。この世界の冒険者たちは、この世界に活きる人々のために、せっせと魔獣狩りをして魔石を収集しているのである。


「……なあんてのは、ほぼ前世からの知識だけどね」


 俺はさらに歩を進める。と、ジャイアント・アーント――巨大蟻の群を感知する。こいつらは最低でも20匹以上で群れている。迂闊に近づくと、それなりに厄介だ。


「ま、けど――蟻だからな」


 俺は隠密を使って先へ進み、そこから後退しながら罠をかけていく。


「トラップ!」


 連続で罠をかけていき、ある程度のところで俺は近くにあった石を拾った。

 思いきり石を放り投げる。


「……来たな」


 察知で感じる。群れがこっちに来ている。

 と、次々とジャインアント・アーントは、罠にかかっていく。


 俺が事前に察知したところでは、蟻の数は23匹。

 うち、18匹が噛みつき罠にかかって死んだ。


「残りは直接行くか」


 俺はナイフをふるってジャイアント・アーント五匹を倒した。

 この蟻の群は1階層の最大の難関だ。ダンジョン攻略の推奨レベルは、大体1階層につき3レベル。


 つまりレベル3でようやく1階層を攻略できるだろう、という感じなのだが、実は低レベル帯の時、ほとんどの冒険者がこの蟻の群に泣かされる。


「そしてこいつが片付いた後は――」


 ボス戦だ。最後の部屋の扉を開けると、そいつはいた! デカいカエルだ!


「ジャイアント・トードね……」


 ところで、だが。『トード』というのはカエルだ。だが、『フロッグ』って言葉もある。じゃあ、トードとフロッグって何が違うかって話なんだよ。


 俺は前にゲームやってた時に気になって調べた。すると答えはこうだ。


『ヒキガエル科はトード、それ以外はフロッグ』


 ……なんだと。で、日本で見るアマガエル、トノサマガエル、ウシガエルなんかはフロッグ! そしてヒキガエル、ガマガエルはトード! …なのだ。


 で、目の前にいる体長が3mほどもある巨大なカエルは、表面がぶつぶつ、ガガサガサしてる感じだ。やっぱり、ジャイアント・トード!


 

 ――とか、くだらん事を考えていると、いきなりベロ攻撃が伸びてきた。


「うわっち!」


 一応、かわす。敏捷性は高いからね。俺は面倒になったので、ナイフを持ってジャイアント・トードに近づいた。


 カエルがまた舌攻撃をしようとする。

 こいつは舌自体は速いが、それ以外の動きはノロい。


俺はなんなくナイフを突き出した。そのナイフが、デスウルフのミラージュがまとう。


「ファング・デストラクション!」


 デスウルフが噛みついて、一撃でジャイアント・トードが倒れた。

 まあ、当然だ。1階層のボスなんで、そんなに強くても困る。


 しかしジャイアント・トードが倒れると、オレンジ色の魔石が現れた。


「よし、これだ! ボス攻略のボーナス・ドロップ!」


 魔石は七色あって、紫・藍・青・緑・黄・橙・赤の順に高くなる。その色の中でも純度や大きさで違いはあるが、1階層で得たこのオレンジ――橙の魔石は、10万ワルドにはなるのが普通だ。


 概ねだけど、2階層では20万ワルド相当、3階層では30万ワルド相当――という風の魔石の価値が比例して上がっていく。ただしこれはあくまでボス戦のボーナスであって、通常の階層モンスターでは出てこない。


 通常の階層モンスターからオレンジ魔石を出そうと思ったら、23階層まで行かなきゃいけないのだ。行けるレベルは……70近く。先は長い。


「……よし、この調子で稼ぐか」


 俺は一人呟いて、ボス戦の部屋を出る。

 ちなみにボス戦は一回攻略してしまうと、二度と入れない。一回攻略した者は、ボスの間の扉の隣の通路のドアが開き、そこから先に進まなければいけないのだ。


 2階層に行くと、ツリーマンだとか、スライムだとか2階層にいそうなモンスターが出てくる。


 けど、レベル18の俺が苦戦するはずもなく、ほとんど攻撃もくらわない。

 そうだ、言い忘れていたが、俺はフェアリー・ゴーレムを倒して手に入れた、『石精の鎧』を身に着けている。


 これは防御力を上げる鎧だが、数値上の変化は『HP106(+100)』という感じに表示されている。つまりHPは実質206ポイントだ。


 そして鎧の詳細を見ると『防御力50』とある。これはつまり、どんな攻撃も50ポイントは軽減する、という意味だ。50ポイントを超える攻撃で、初めて俺にダメージがくる。


アーマーはどれも、そういう仕組みだが、通常の店で売ってるプレート・アーマーが防御力20ほど。重騎士の着るようなヘビー・アーマーが、防御力30もあればいい方だ。ちなみにアーマーの防御力は、その個体の出来不出来で数値にバラつきがある。


 だが防御力の高い鎧は、当然ながら敏捷性にマイナス補正がかかるのだ。ヘビー・アーマーなんか着ると、敏捷性―50だ。まず、敵の攻撃をかわすことはできない。


 そこいくと『石精の鎧』は優秀で、敏捷性に対するマイナス補正がない!

 その上ダメージ軽減値も高いので、低階層のモンスターではほとんど傷つくことはないし、実際、かなりの高レベルになっても愛用する人が多い。


 ……まあ、普通、ファアリー・ゴーレムを倒せるのってレベル30以上はいってないと難しいだろうから、こんな低レベルで装備してる俺がおかしいんだけど。


「さあて、今日はそういうわけで、ボーナス・ドロップを稼ぐ日だ!」


 俺は2階層をガンガン進み、ボス部屋の一つ手前の領域までやってくる。

 ここに実は、『初心者返し』と呼ばれる厄介な場所があるのだ。


「察知」


 ……いる。この先の大部屋に、うじゃうじゃと大量に。


「ゴブリンの巣――」


 そう。ここはゴブリンが群生してる場所で、ここを通過しなけばボス部屋に到達できないという最悪の難関なのだ。


「ざっと数は――」


 『察知』できる感じでいくと、数は30匹ほど。

 冒険者が広間に入った途端、奇声をあげて集団で襲い掛かって来る――それがゴブリン・群れ(パック)だ。


 この雰囲気に、まず初心者はやられる。一匹一匹は大したことないが、集団でくるから狙いが絞り切れないうちにやられてしまう。


 特に、このゴブリン・パックを突破できないために、ソロのスタイルを捨てるプレイヤーが多い。この数を突破するには、やはりパーティー編制じゃなきゃダメだ……というわけだ。


「けど、俺はレベル低い時にも、ソロ突破したんだよ」


 俺はそう呟いて、広間に向かう。

 無論、レベル18の今なら、当時ほどに苦労することはない。


 けど、基本の攻略法は一緒だ。

 俺は広間の扉を開けた。


「煙幕!」


 ゴブリンたちが驚く間もなく、辺り一面が灰色の煙に包まれる。

 俺はその隙に、部屋の中にある岩石を組み上げた高台に走った。


「隠密」


 動きを悟られないために、俺は隠密を使いながら高台に昇った。


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