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なぜか無双の盗賊は、婚活パーティーに入れこむ!?  ~お人好し転生者の盗賊ライフ~  作者: さとうはるか


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3 対フェアリー・ゴーレム


 スキル『刺し違え』は、相手の攻撃を確実に喰らう代わりに、自分の攻撃を確実に当て、その威力を1.5倍にするスキルだ。


 俺はこの妖精宮殿に来る前、残りの2ポイントのうち1ポイントを使って『刺し違え』を取得していたのだ。


 『妖精の加護』で攻撃は無効化できるが、それは戦闘中一回きり。

 それを利用した反撃を万が一にもかわされたり外れたりしたらアウトだ。


 だから俺はここで『刺し違え』を使う。


「ピピピッ!」


 ゴレームが俺に石のこん棒を振り下ろす。妖精の加護に包まれた俺は、ピンク色の光に包まれていて、その光がこん棒を食い止める。


「いくぞ! ファング・デストラクション!」


 完全な至近距離で『刺し違え』の効果により絶対に外れない一撃を、俺は繰り出した。


 ナイフから伸びた狼のミラージュが、フェアリーゴーレムの上半身を噛み砕く。

 3000超えのダメージを1.5倍してる。巨大な破壊力だ。


「ピ……ピピ――」


 バン、と破裂するように全身を噛み砕かれたフェアリー・ゴーレムは、その場で飛散した。

 俺の勝利だ。


 と、その砕け切った破片の中に、光輝くものがある。

 これが狙っていたドロップ・アイテムだ。


「よし、『石精の鎧』ゲットだ!」


 それはグレーの石造りに見える鎧だが、見た目に反して重さはほとんどなく、防御力を増加させるアイテムだ。


 ちなみに防御力、という数値はなく、防御力の増加は直接HPに加算される仕組みだ。そして超格上モンスターであるフェアリー・ゴーレムを倒した経験値が、一気に俺の中に流れ込んできた。


 急激にレベルアップしていく感触が判る。


「ようし……ステイタス・オープン」


 ライト・ミクリヤ 盗賊 Lv18 スキルポイント 残り9


HP  106

MP  112

体力   37

気力   32

魔力   38

念力   36

敏捷性  57

技能性  61


 ……おお、一気に8レベル上がったか。どの数値も概ね1ポイントずつ上がってるが、2ポイント上がった時もあったらしい。敏捷性と技能性は『強化スキル』のおかげで各2ポイントずつ上がってる。……いや、技能性は3ポイントの時もあったようだな。


「ようし……これでやっとダンジョンに行く準備ができたな」


 俺は一人、笑みを浮かべた。


「まあ、しかし今日のところは疲れた。もう帰って休もう」


 ――そういえば、カプセル宿屋には他のサービスもあったな。特に風呂!

 考えてみたら、この世界に来てから風呂入ってなかったわ。

とりあえず、カプセル宿屋に行こう。


 俺はカプセル宿屋に行って、落ち着いて施設の中を見てみた。

 現世のカプセルホテルには、ネットとか映像見るコーナーとか漫画読むコーナーとかあったけど……さすがにネットはないか。


 一階に食堂と大浴場、これは後で満喫するとして――

 二階から上は個室の並ぶ部屋。けど、四階まで行くとカーペット敷きでテーブルが置いてある休憩ルームがあった。むしろ日帰り入浴場に似てる。


 で――お! 漫画コーナーあった! 漫画というか、絵本? いや、漫画っぽいのもある。まだこういう軽い読み物の文化は始まったばかりっぽい。


「ふ~む、なるほどねぇ……」


 感心した俺は、とりあえず大浴場に行く。

 大浴場は大きな内湯が三つ、なんともう一つは露店風呂! さらにはサウナまである!


 ……恐るべし。絶対、これを作ったのは転生者だと確信したぜ。

 そして大きな内湯で足を伸ばすと――

 ――いやぁ……やっぱり風呂は素晴らしい。一日の疲れがとれるよ、ホント。


 毎日のように残業してた時は、あんまり遅いと帰ってそのまま布団に直行――なんて時もあった。

 けど、できたら本当は風呂は毎日入りたいんだよ。やっぱ、余裕のある生活って大事だな。


 三つの内湯のうち、一つはジェット風呂だ。これで肩とか腰の凝りをほぐす。

 で、もう一つは熱いお湯だった。


 サウナで整える? いや、俺はサウナーではないので、ちょっと入ってみるけどすぐに出て、汗を流した後に傍の水風呂で冷やす。たまに、汗流さずに水風呂に入るオッサンいるけど、ここにはちゃんと『汗を流してから、水風呂に入りましょう』と看板が置いてある。いいことだ。


 で、風呂からあがると専用の部屋着が置いてある。

 黄色でフリーサイズで、ゆったり感たっぷりの奴だ。


 遠慮なくそれを借りて、自分の服を鍵付きロッカールームに入れていく。

 コインを入れると鍵が閉まる式で、よくこの世界で再現できたな、これ。



 浴室を出ると、すぐ傍の食堂へ直行。他にも同じ格好した人が沢山いる。

みんな黄色の部屋着だ。あ、女性もいるねえ。ほ~。


まあ、それはおいといて、まずはビール!

 あ~、ビールのある異世界でよかった。日本酒とか、テキーラだけの異世界だったら、正直、絶望したかも。


「いただきま~す!」


 俺は出てきたビールで喉を潤す。ん~、美味い!

 若い頃は、「こんな苦いだけの飲み物、どこが美味いの?」とか思ってたけど!


 この苦味が段々よくなるんだよね~……って、東くんに言ったら、「あ~、悪いけど、全然、判んないすね」とサラッと言われた。


 おい東、ふざけんなよ! うめぇって言ってるじゃんかよ!

 ……とか思うのはいいけど。あ~、もう前の世界の話なんだよな。


 もう彼に会う事はないんだ。まあ、俺が死んでも幸せに結婚生活送るだろうけど。それくらいのちゃっかり感が、彼にはある。まあ、安心だ。


酒のつまみになりそうな鳥のからあげとか、サイコロステーキとか頼んでたが、なかなか美味い! いや、なかなかに美味いぞ、どうしたこれ?

 酒呑んで腹も満たして、俺は満足した。


 さ~て、じゃあちょっと漫画読んで寝るか。

 ――じゃねーっっ! 明日のために、スキル取るんだろ、俺! 

 なに、和んでだよ、恐るべしカプセル宿屋。


 俺は個室には戻らずに、四階の休憩ルームに上がる。広い部屋にテーブルが置いてあり、グループで歓談してる人もいれば一人でくつろいでる人もいる。

 俺も一人陣どって、ちょっと飲み物など飲みながら、ステイタスを開いた。


「さて、スキル取得だが――」


 スキルポイントは残り9ポイント。これを、『剣術』に使う。しかも5ポイント使って、一気にカンスト! 


 これから先、ダンジョンに行ったりすると、やはり近接戦闘になったりする。というのも、俺はソロのプレイヤーでパーティーを組むつもりがないからだ。


 現世でもパーティーを組んで、周囲のペースに合わせたりするのが面倒で、俺はずっとソロのスタイルだった。……人に振り回されるのは、仕事場だけで充分――という気持ちの表れなんだけど。


 ……というわけで、残りは4ポイント。これをどうするか?

 ここで俺は『察知』のレベルを上げる。4ポイント使って、『察知』をレベル5でカンスト!


 ちなみに『察知』スキルはレベル5になると、『常時発動スキル』になる。つまり意識して発動しなくても、『察知』しっぱなしということだ。


 これにより、ダンジョンとかで不意に敵に襲われても事前に察知できるようになる。そして『察知』はレベルが上がると有効範囲が広がるし、敵の種類なんかも判るようになる。


「――というわけで、スキルポイントを使ってしまったな~。まあけど、これで明日は冒険者登録に行こう」


 というわけで個室に戻る。相変わらず、立つことができない狭小スペースだが――なんか、この狭さが落ち着く。ウサギとかの巣ってこんな感じかな?

人間でホント最低スペースで、充分、暮らせるんだな。快眠、快眠。


 翌朝、料金を払ってカプセル宿屋を出る。

 ……カプセル宿屋、恐るべし。満足度あって、何より料金が安い。


 食事は別料金だけど、風呂入って寝る場所あって4000ワルド。

 最初に止まった普通の宿屋は、一泊で1万2千ワルドだった。

 三分の一だよ! 恐るべし。


「まあけど……決まった部屋とか借りた方が経済的だけどな」


 そのためには引っ越しにかかる費用とか稼がないと。そのためにも――


「今日は冒険者ギルドに行くぞ!」


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