表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【Web版】追放幼女の領地開拓記~シナリオ開始前に追放された悪役令嬢が民のためにやりたい放題した結果がこちらです~  作者: 一色孝太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

179/183

第179話 追放幼女、侍女たちに進言される

2026/03/18 ご指摘いただいた誤字を修正しました。ありがとうございました

 ふう。あれ? もうこんな時間?


 やっぱりこういう細かいことをしてると時間があっという間に過ぎるね。なんとなく複雑なのをやろうとしちゃったから未完成だけど、あと半分くらいだし残りは明日しようっと。


 そんなことを考えていると、扉が開いてカレンとイヴァンジェリンが入ってきた。


「あら? お嬢様?」

「今日はお早かったんですのねぇ」

「そうですわね。というより、今日はお休みにしましたわ」

「まぁ」

「それは何よりでしたわぁ」

「でも、お休みになさったのでしたら仰ってくださいまし。わたくしたち、ずっと中庭におりましたのに」

「そういえばそうですわね。でもわたくし、ずっと刺繍をしていましたの」

「刺繍を?」

「ええ。まだ半分くらいですけれど」


 あたしはそう言って製作途中の刺繍を見せた。


「え?」


 二人はなぜか目を見開き、驚いた様子であたしの刺繍をじっと見つめてくる。


「どうしたんですの?」


 すると二人はまるでシンクロしているかのようにビクンと反応する。


「あ、失礼しましたわぁ。とてもお上手だったので、驚いてしまいましたわぁ」

「そう? お世辞でも嬉しいですわ」

「お世辞じゃありませんわぁ。王宮でもそこまで細かく刺繍できる者は少ないですわぁ」

「そうなんですの?」

「ええ! きっと、かなり時間を掛けて刺されたのでしょうねぇ」

「え? そんなことありませんわ。これは今日の午後からですから、大体三時間ちょっとですわね」

「「へ?」」


 二人はポカンとした表情になった。


「あら? どうしたんですの?」

「そ、それは本当ですの?」

「ええ。嘘をついたって仕方がありませんわ」

「そんな……」

「一体どうやって……」


 二人はかなり衝撃を受けている様子だ。


「……もしかして、これって早いんですの?」

「ええ」

「とてつもなく早いですわぁ」


 二人ともかなり真剣な表情でそう言ってくるので、本当に早いのだろう。


 でも誰かと比較したことなんてなかったしなぁ。


「サウスベリーにいたころからやっていましたもの。きっとそのおかげですわ」

「そ、そうなんですのね」

「ええ」


 あたしはにっこりと微笑んだ。


「それより二人とも、ちょうどいいところに帰ってきましたわ。わたくし、そろそろディナーにしようと思っていますの」

「かしこまりました」

「お手伝いいたしますわぁ」


 こうしてあたしはやりかけの刺繍を窓際のテーブルの上に置き、着替えを手伝ってもらう。


 するとその最中にカレンのほうから話しかけてくる。


「お嬢様、一つよろしいでしょうか?」

「なんですの?」

「わたくしたち、この家をきちんとお客様をお迎えするに相応しいお屋敷に建て替えるべきだと思いますわ」

「建て替え?」

「ええ。領主の屋敷は領地の顔ですもの。これから発展するスカーレットフォードに相応しい、荘厳なお屋敷にするべきですわ」


 あー……たしかに。言われてみればそうかもね。うちはちょっと広いだけのボロ家だし。


「わたくしもカレンと同じ意見ですわぁ。きちんとしたお屋敷にして、領主としての威厳を示すべきですわぁ。そうすれば、この前のような無礼な輩だって簡単に寄り付かなくなりますわぁ」


 この前の? ああ、あのお漏らしした連中のことだね。


 うーん。あんな奴らはどうでもいいけど……でもたしかに信用金庫を設立してってなると来客も増えるだろうし、その中には今のボロ家だとなめてくる奴もいるかもしれないよね。


 それにお城はすごかったし、サウスベリー侯爵邸だって……あ、いや、まほイケだとかなり下品だったような気もするね。


 とはいえ、あんまり無駄なお金を使うのはどうなんだろう?


「お嬢様、スカーレットフォードは金の産地ですわ。それにシルバーウルフの毛皮をたくさんお持ちですわ。それなのに領主のお屋敷よりも鍛冶屋の工房のほうがしっかりしているなんて、下民どもになめられますわ。それは貴族としては死んだも同然ですわ」


 ああ……そういえばそんなのもあったっけ。二人はあたしに貴族女性らしくあれと言いたいのだろう。


 うん。そうだね。よし!


「わかりましたわ。二人の言葉には理がありますわね」

「では!」

「今すぐには無理だけれど、なるべく早く建て替えますわ」

「聡明なご判断、さすがですわ」

「感服しましたわぁ」


 こうしてあたしは二人に家の建て替えを約束したのだった。


 ま、区画整理のときに一緒に動かせばいいよね。メレディスが帰ってきたら相談しようっと。



◆◇◆


 フランクたちが魔の森に入り、五日ほどが経過した。それまで何度となくワイルドボアやフォレストディアといった魔物に襲われたものの、誰一人として欠けることなく川沿いを西へと向かって進んでいる。


 するとそんな彼らの右手に斜面が現れた。


「フランク卿」

「ああ。ここからなら上がれそうだな」


 ダヴベリー男爵とフランク卿は(うなず)きあうと、すぐに先遣隊が斜面を登り始めた。それから数分後、上のほうから先遣隊の声が聞こえてくる。


「隊長! 上はかなり広い平坦地となっております!」


 その言葉にフランクとダヴベリー男爵の表情が明るくなる。


「よし! 今日はそこで野営とする!」


 こうしてフランクたちは斜面を登り始めるのだった。

 次回更新は通常どおり、2026/03/22 (日) 18:00 を予定しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ここまで言われるってことは本当にボロい屋敷だったのか。 領主の館ならそれなりに格式が必要だよなぁ。 修繕もされずに放って置かれたのは予算の確保が出来なかったからだろうか?
ここをキャンプ地とする!
将来の都市設計考えるなら、防犯なんかも考えないとね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ